■党内の"安倍一強"に対し度々釘を刺す小泉氏
8月、自民党の筆頭副幹事長に抜擢された小泉進次郎氏。党の選挙対策や広報などを担当、衆院選では、全国50カ所以上で応援演説し存在感をアピール、自民党勝利の立役者となった。そんな小泉氏が、党内の"安倍一強"に対し釘を刺す場面が増えている。
自民党の圧勝が伝えられた直後には「今までは"野党をぶった切る自民党"というイメージが強かったと思うが、その野党の声に耳を傾ける自民党でなければいけない。総理へ向けられている厳しい目というのは、誰よりも総理自身が感じていると思う。だから、この議席の数が信頼を物語っているものかといえば、私はそうだとはいえないと思う」とコメント。また、野党の質問時間を削減するという自民党の提案にも猛反発、「野党の質問時間をしっかり確保すること。それは当然だと思う。そして、野党にとっては政権に対峙する唯一の機会と言っても限らないのが、この質問だから、それはすごく大切なこと」と注文を付けた。
小泉氏の特徴といえば、やはり国民からの高い注目度と人気だろう。
25日放送のAbemaTV『みのもんたのよるバズ!』に出演した政治評論家の有馬晴海氏は「民主党政権ができた2009年、民主党の若手が百何十人も当選する中、自民党の新人は4人しか当選できなかった。そのうちの一人が小泉進次郎さん。演説をしても誰も聞いてくれない寂しさから、何とかしてこっちを振り向かせ、話を聞いてもらおうという努力を彼が始めて今に至る。努力の賜物。材料は2つあると聞いている。一つは落語の間の取り方や話のつかみをすごく勉強している。ある喋りのうまいアナウンサーの独演会を一人でこっそり聞きに来ていたそうだ。もう一つは父親のビデオ。そうやってトークを勉強しているそうだ」と話す。
将来の総理候補としても注目される存在だが、自身は来年、さらにその次の自民党総裁選に関してどのように考えているのだろうか。
「選挙中、大分県で『2020年の9月6日、東京パラリンピックが閉幕する。翌7日から日本は正念場を迎える。子どもたちを支える社会を作るため、今までとは全く違う政策を打ち出す』と話している。つまり、2020年までは安倍さん主導でいくが、オリンピックが終わり、景気が冷え込み、人口が減っていく時こそ、我々若い世代が次の日本を考えなければいけないと。今は勉強中だが、そこから表舞台で発言していくということだろう」。
■足立議員「彼はリスクのある場には絶対に出てこない」
そんな小泉氏は、安倍総理がトップダウンで幼児教育無償化の財源を財界に求めたことにも「党は何も聞いてない。全く党で議論していない。このままだったら自民党は必要ない」と猛反発。今月17日、経団連と経済同友会がそのための財源負担への協力を表明すると「現状を見ていると一番ものが言えないのは経済界。賃上げをしてくれと言ったら賃上げをする。足りないからお金を出してくれと言ったらお金を出す。おかしいことはおかしいと言う経済界であってほしい」と訴えている。
自ら練り上げた「こども保険」政策で財源を確保しようと考え、安倍総理に反発した小泉氏に「小泉さんの提案を僕ははっきり言って、これはアホだと思う」と噛み付いたのが、日本維新の会の足立康史衆議院議員だ。小泉氏は「足立さんらしいと思う。足立さんの"アホ"と言う言葉には愛がある」と笑顔を見せ、動じることはなかった。
小泉氏らの提案については、実質的に単なる増税ではないかとの指摘もある。足立議員は「国民が負担しているお金には、租税と社会保険料の2つがある。税金を上げるときは国会も大揉めして政治的に大変だが、社会保険料は知らぬ間に上がっていて、上げやすい。だから小泉さんは社会保険料に乗っただけ。現役世代の負担を軽減するための子ども政策なのに、その財源を現役世代から取るという発想も違うのではないか」と指摘。
「ある雑誌から子ども保険について対談してほしいという話があった。相手は小泉さんかと思ったら、仲間の村井英樹先生が出てきた。僕は小泉さんが討論しているのを見たことがない。彼はリスクのある場には絶対に出てこない。それで総理候補と言われても問題があると思う。だから出てきてほしい。小泉さんはまだ仕事では成功したことがない。これまでにも色々やっているが、全て失敗していると思う。国会議員になってから、いくつかのプロジェクトをやっているが、成功しているのを一つも知らない。そうであるにも関わらず、これだけ人気が出るっていうのは、小池百合子さんと同じ。やっぱりどう映るかよりも中を磨いていただく方が大事だと思う」。
■有馬晴海氏「勝負は今から10年後くらい」
「今はまだ勉強の過程。自民党の人も『進次郎さんは将来総理になると思うよ。ただし、まだ政策が追いついていないからこれからだ』と話している」と有馬氏。
「派閥には入らないと思う。お父さんも最初に福田派に入っていたが、自由な発言をするために出ていって総理になられた。彼もやはり、派閥にいると兄貴分から『おい!』と注意され、発言がちょっとぼやけてしまうので、無派閥でやった方が良い。だから選挙の応援に行って、仲間を作っている。選挙で進次郎さんに助けてもらった議員がどのくらいいるか。そして今、官僚が進次郎さんに目をつけて、チームを組んでレクチャーを始めている」。
今後の動きについて有馬氏は「勝負は今から10年後くらいかなと。昔は派閥政治だったが、今は国民的な支持があると『選挙に勝てる人を顔に立てたい』という党内事情もある。このままいけば、進次郎さんには圧倒的な支持が集まると思うので、総理になる可能性はある。ただ政治の世界は”一寸先は闇”。彼も今回の選挙で色々なことが見えてきたと言っている。本人なりに自覚を持って2020年の9月を目指して活動していこうと思っているだろう」とコメントした。(AbemaTV/『みのもんたのよるバズ!』より)