29日の日本時間午前4時過ぎ、北朝鮮が発射したミサイルが日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。午前3時18分ごろ、平壌近郊の平城から発射された飛翔体3つは午前4時11分ごろに青森県西方約250kmに落下。飛行距離は約1000km、最大高度は4000km超と過去最高で、飛行時間は約53分とみられている。

同日昼、朝鮮中央テレビは「重大報道」として、発射されたミサイルがアメリカ全土を射程におさめる新型のICBM(大陸間弾道ミサイル)「火星15」だと発表した。火星15はICBMの「完成版」だとしている。
テレビ朝日・前ソウル支局長の大野公二氏は、北朝鮮の「重大報道」と「完成版」という表現について、次のように見解を述べる。
「大陸間弾道ミサイルの『完成版』、いわゆる“最後”という表現を使った。また、金正恩委員長が自ら発射のサインをしたところと命令書の写真もあえて出した。これまでの大陸間弾道ミサイルでやってこなかった『重大報道』がなぜ今回なのかと思うと、これでICBMができたということ。『核弾頭も装着できる、アメリカ全土を射程に収めた大陸間弾道ミサイルを完成させ実験に成功した』としているので、これで目的としていたものが完成しましたよ、そのきっかけとして重大報道をしましたよ、というのが北朝鮮の立場だと思う」

北朝鮮側の発表では、今回の火星15の高度は4875km、飛行距離は950kmとしている。大野氏はその射程について、「高度500kmにある宇宙ステーションの10倍まで飛んだとなると、そこまでエンジンや燃料、推進力を持つ技術を手に入れている。横に飛ばせば必然的に1万kmは超えてくる。アメリカ全土に届くということ」と懸念を示した。
一方で、ミサイルを日本海に落としたのは「太平洋には落とさない実験で完結版だとしたことは、最後までやらない交渉の余地を見せたとも捉えられる」と北朝鮮の“余地”だとした。
今回のミサイル発射は約2カ月半ぶりとなり、それ以前の頻度と比べると間が空いている。その点については「2012年からの核・ミサイル開発は計画的に進めてきた。ゴールとなるのは来年建国70年にあたる記念の年に、核でアメリカ本土を攻撃できる能力を持つこと。今日完成版をして、来年に『目的を達した』と建国70年を迎えるのは、計画通りのスケジュールで進んだということだと思う」と述べた。
(AbemaTV/『けやきヒル’sNEWS』より)


