NHKが受信契約を拒む東京都内の男性に受信料の支払いを求めた裁判で6日、最高裁は初めて「合憲」の判断を示した。

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 今回の争点となったのは、放送法の規定に基づく受信料制度の合憲性について。NHKが根拠とするのは、放送法64条1項「受信設備を設置した者はNHKと受信についての契約をしなければならない」という項目だ。最高裁は「NHKの目的にかなう適正・公正な受信料徴収のために、必要な内容の受信契約締結を強制する定めとして憲法に違反しない」と判断した。

 判決では「NHKが訴訟を起こし勝訴が確定した時点で契約が成立する」とし、支払い義務は「テレビを設置した時点まで遡る」というNHK側の主張が認められた。男性にはテレビを設置した2006年3月からの受信料約21万円の支払いが命じられ、男性側の代理人は「大山鳴動して鼠一匹も出なかったという判決で、納得いかないですよ。受信料制度の改革には全然寄与しませんよ」とコメントした。

 2016年度のNHK受信料の支払い率は約8割で、約900万世帯が支払っていない。不払いが増えたのは2004年以降、NHK職員の不祥事が相次いだころで、その後NHKは裁判を起こすなど徴収を強化。法的手段に出た件数は9000件を超えている。

 NHKが受信料徴収に頼るのは“政治的な介入を避けるため”でもある。運営資金に税金が投入されると自主性が損なわれ、NHKは報道機関の役割を果たせなくなる。しかし2014年、当時の籾井勝人会長が「政府が右と言っているものを我々が左を言うわけにはいかない」と発言し物議を醸していた。

 今回、最高裁の判決が出たことで、未契約世帯はNHKとの裁判に負ければテレビ設置時点まで遡って受信料を請求される可能性がある。NHKは判決について「NHKの主張が認められたと受け止めています。引き続き、公平負担の徹底に努めていきます」とコメントしている。

 最高裁の判断や一連のNHKの対応について、ハフポスト日本版編集長の竹下隆一郎編集長は『けやきヒル’sNEWS』(AbemaTV)で「今のネット時代に合わせた公共放送を」と意見を述べた。

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 現在、NHKの受信料(衛星契約)は月2230円。ネットの動画配信サービス「Netflix」の月950円(スタンダードプラン)、「Hulu」の月933円と比べるとやや割高だ。一方で、子会社13社を含むNHKの利益剰余金は約948億円とお金が余っている印象も受ける。

 竹下氏は「NHKのネット展開が時代に追いついていない」とし、「せっかくお金を集めているのであれば、新しい時代にフィットしたメディアを作ったり、新しいユーザーに合わせて欲しい」と指摘する。

 また、1950年に制定された放送法も時代に合っていないとし、「NHKが持っている過去の映像は財産だと思う。20~30年前の日本人がどのような暮らしをしていたのか、確認するのに一番いいのはNHKの映像を見ること。それを整理してネットで自由に見られるようにしたり、受信料を払ったサービスとして過去のアーカイブを自由に使えるようにしたり。それによって視聴者が自分で番組を再編集したり、学者やジャーナリストの方が過去の日本の生活や政治を調べる際に映像を参考にできる。そうすると本当の意味でも公共放送となると思う」と述べた。

 判決に対するNHKのコメントについては、「裁判は自分のメッセージを社会に訴える機会。そこを全然理解せずにシンプルなコメントしか発信していないと『嫌なことが去って良かったな』という印象を受ける。自分たちの意見・ビジョンを発表するチャンスを逃したと思う。然るべき人が出てきて説明するべきだった」と指摘した。

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 さらに、海外における公共放送の事例も説明。「イギリスのBBCやアメリカのNPRはどちらもパブリックだが、日本の公共とは意味が違う。日本だと公共は政府とイコール、政権とイコールと捉えがちだが、海外は公共性が異なると思ったら時には政府と対立する。NHKの籾井会長が政府を踏まえた発言をしたが、NHK自体が公共を定義できていないのでは。公共には中立とみんなに使ってもらうという意味が含まれていて、そういった施策や楽しみ方が足りない。今のネット時代にNHKがあって良かったと感じられるまでには至っていない」と見解を述べた。

(AbemaTV/『けやきヒル’sNEWS』より)

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けやきヒル’sNEWS キャスター:柴田阿弥 | AbemaTV(アベマTV)
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