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 トランプ大統領の側近だったスティーブン・バノン氏が来日、17日には会見で「フェイクニュース」に言及した。「私はメディアに反発したいわけではないが、(誤っているのが)真実だから語っている」として、ニューヨークタイムズやCNNとともに、NHKを挙げて批判した。

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 流行語大賞にノミネートされるなど言葉としても定着してきたフェイクニュースだが、その対策は容易ではない。20日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、インターネットの信頼性を高めるべく、検証を通じてその拡散防止に尽力してきた「BuzzFeed Japan」の古田大輔編集長とともに、フェイクニュースについて議論した。

 「オバマ大統領が"真実の底が抜けてしまった"と指摘したように、まるっきり事実と違うことを言ってしまう政治家も出てきた。その点においては、そもそものソース自体を疑わなければいけない大変な時代に来ている。また、使う人によってもフェイクニュースという言葉の意味が異なってしまっている。例えばトランプ大統領が言うフェイクニュースと、CNNが言うフェイクニュースは全く違う」と指摘する古田氏。"風刺"がSNSで拡散されて行く中でフェイクニュース化していくケースなど、情報の質や出処・拡散の仕方もバラバラという状況を踏まえ、BuzzFeed Japanでは独自の分類で検証やファクトチェックを実施してきた。

■次々にフェイクニュースを検証したBuzzFeed記者

 BuzzFeed Japanの籏智広太記者もその一人で、衆院選前に拡散した「立憲民主党がTwitterのフォロワーを購入した」という情報を検証、根拠がないことを示した記事は大きな反響を呼んだ。

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 「Twitterでデマを常に監視している。ある情報をデマだと指摘する人がいれば、ネット上に同じような情報がないかとか、誰が言い出したかなどを調べてみる。ただし、併せて公的機関などに取材をするなどしないと、しっかりとした検証はできない」。

 そんな籏智記者が今年最も印象に残っているのが、『大韓民国国民報道』というサイトの問題だという。1月17日、同サイトは「2000年にソウルで起きた日本人女児レイプ事件で、無罪判決が出た」という情報を発信。そこで籏智記者は外務省に事件そのものがあったかを確認。記事の出処が存在しない新聞社であることにも気づき、"完全なフェイクニュースだ"と報じた。

 「取材を重ねるうちに、管理者とも話ができ、『嘘です』と認めた。思想が偏っている人かと思ったけど、全然そんなことはなかった」。広告収入を目的にサイトを立ち上げたというサイト管理者。早々に更新を停止した。

 「ぽっと出てきたものをできるだけ早く火消ししないといけない。消防隊員ではないが、フェイクニュースの芽が出てきたときに摘んでおかないと、情報がバッと広がって取り返しのつかないことになる」。

■拡散する情報を6分類で対応

 「自分にとって耳触りがいいものは信じがちで、自分の意見に近くないものは嘘と思ってしまいがち。誰が出した情報であろうと、間違っているものは間違っていると言うのがBuzzFeedだが、色々なところから非難を受けてしまう。僕がどういう情報が好きかとか、自分の思想信条とかは関係なく、ファクトをちゃんと押さえて、ひとつひとつ丁寧に検証しないといけない」(古田氏)。

 そんなBuzzFeed Japanでは、以下の6分類を元に情報の検証を行っている。

 1 誤情報(誤りがある)

 2 偽情報(そもそも存在せず)

 3 不確かな情報(誤りとはいえないが正確でない)

 4 ミスリーディングな情報(見出し等で誤解を生じさせかねない)

 5 根拠のない情報(事実と証明する根拠なし)

 6 風刺や冗談(存在しないか大幅に脚色)

 例えば座間市のアパートで9人の遺体が発見された事件では「容疑者の目的は臓器売買にあった」という情報が拡散された。古田氏によると、これはネット上の勝手な憶測をまとめ、"ニュース"として出す人がいた結果、拡散してしまったものだったという。また、「安倍首相が国連の選挙監視団を拒否した」という情報についても、反安倍政権の人たちを中心に「絶対に自民党が勝つようになっていた」という憶測とともに拡散していた。古田氏は「発展途上国で政治が不安定な国に日本が監視団を送るのであって、国連から日本に来ることはありえない」と指摘、これらの情報は分類では2に相当すると説明した。

 また、黒髪を強要されたとして地毛が茶色の女子生徒が大阪府に賠償を求め提訴したニュースでも、誤った情報が拡散した。

 「『保守速報』というサイトが、BuzzFeedが取材した別の女性の写真を勝手に取ってきて、"この人が提訴した女子生徒、これ地毛じゃないよね?"とミスリーディングな情報を拡散させ、提訴した女子生徒へのバッシングが広がった。分類でいえば2か4に当たるので、BuzzFeedではすぐにデマだという記事を書いた。最近、『保守速報』さんは200万円の賠償金を命じる判決を下されている。だからと言って法律で発信を禁止することは難しいと思うので、"保守"でも"速報"でもなく、何度も間違えているサイトだと分かった上で、利用しなければならない」(古田氏)。

■増え続けるフェイクニュース、今後の課題は

 「ネット上で記事を読む時に2つ注意してほしい。匿名で書かれているかどうか。次に、そのページのどこかに問い合せ窓口があるかどうか。記事が全部匿名で書かれていたり、運営会社や問い合わせ窓口がなかったりするサイトは危うい可能性が高い」(古田氏)。

 一方で、増え続けるフェイクニュースに対抗するのには、BuzzFeed Japanの力だけでは追いつかない。欧米に比べて対応の遅れる日本でも、研究者らで作るファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)が組織されるなど、対策に向け気運も高まってきた。「JX通信」の米重克洋社長は「『デマ』か『事実』かの判別は最後、人間の緻密な検証が必要だが、『仕分け』は十分機械化できる。それによって人間の負荷が減り、人間にしかできない取材・検証に振り向けることができるようになる」と話す。

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 古田氏も「その通りだと思う。BuzzFeed Japanも"正義の味方"ではなく、あくまで一つのメディアなので、有志のメディアによる連合体がファクトチェックを担っていくのが良いのではないか。来年中には、判定の部分の取材に時間がかけられるようになっていくのではないか」と期待を込めた。スマートニュース松浦茂樹氏も「そういう情報をもとに、GoogleやFacebookなどは危ういサイトからの情報が届きにくいように対策すべきだ」と訴える。

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 フェイクニュース対策のため、常習性の高いサイトをリスト化したり、ペナルティを科したりすればいいのではないかといった意見もある。これに対し小松靖アナウンサーは「間違った情報を流すことへのペナルティはあっても良いかもしれないが、難しいのは仕組み化してしまうと、正しく運用できない人が権限を握ったときに言論統制をしかねない。メディアには怖い力があるということを認識しないといけないと思う」と語っていた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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