業界屈指のプロレスマニアであるラッパー・サイプレス上野さんがファン目線でマット界を語るレギュラー企画、前回に続いて11.9全日本プロレス後楽園ホール大会をバルコニー席で見ながら、所属選手だけでなく大日本、フリーなど幅広い選手が活躍する現在の全日本マットの印象を語ってもらった。
(聞き手・橋本宗洋)

(ファンにはおなじみだが、全日本はグッズも充実)
——関本大介&野村卓矢vs橋本大地&神谷英慶の大日本プロレス対決が「最強タッグ出場者決定戦」として全日本のリングで行なわれてしまうというのも面白いですね。竹田選手もそうですけど、こうやっていいフリーや他団体の選手がどんどん出てくる、フィーチャーされるっていうのも今の全日本の魅力ですよね。
上野 しかもレフェリーが(元・大日本の)李日韓さんっていう。これ狙ってますよね。「これ大日本じゃん」っていう(笑)。
——関本選手は去年、チャンピオン・カーニバルで優勝してますし、宮原健斗選手との三冠戦も名勝負でした。
上野 まあ関本選手はどこのリング上がっても間違いないっすからね。確実にお客さんの心を奪ってくるっていう。また最近はノムタクがいいんですよねぇ。
——体もデカくなってますね。
上野 超デカくなってるんですよ。だから正直言うと、今回は大地&神谷が勝ちましたけどノムタクが最強タッグに出る姿も見たかったなっていう。
——老舗の中で揉まれるというか。
上野 経験積んでね。それは勝ったチームも一緒なんですけどね。神谷選手もいいんですよ、筋肉のつき方が「なんだこれは!?」っていう感じで。
——岡林裕二タイプというか、大日本ストロング体型みたいな。
上野 スクワット死ぬほどやってるんだろうなっていう。関本選手がまさにそうですけど、体からして説得力が出ますよね。
——セミがまた豪華というか、秋山準&宮原健斗&大森隆男&ゼウス&崔領二vs諏訪魔&石川修司&征矢学&TAJIRI&KAIの10人タッグ(宮原が征矢に勝利)。
上野 石川選手は大活躍ですよね。

(メインで三冠王座を防衛したジョー・ドーリング)
——今年はチャンピオン・カーニバルで優勝、三冠ヘビー級王者にもなりました。キャリア全体でいうと大日本、DDT、全日本で頂点を獲ってるという。
上野 しかも全日本でも“外敵”とかじゃなく主役感あるじゃないですか。そこが凄いですよ。
——今はベルト持ってないですけど宮原選手もエースに成長しましたし。
上野 最後マイクもって。久しぶりに見たら「こんな雰囲気になってるんだ」って。よかったですよ。
——その新しさも含めて会場の雰囲気もいいんですよね。
上野 ここからどんな選手になってくか。エースとしてはどっしり構えるようになっても面白いと思うんですよね。今は若いから観客を煽るスタイルが似合ってるんですけど。メイン(ジョー・ドーリングvsヨシタツの三冠ヘビー級タイトルマッチ。ドーリングが勝利)は、意外って言ったらアレですけどヨシタツ選手を応援するムードもありましたよね。対戦が決まった時はもの凄いブーイングだったって聞いてたんで。
——ヨシタツ選手はファンの心を掴めてない感じがありますからね。
上野 そんな中でツイッターとかでもアピールしていって。みんなの応援が必要なんだっていう雰囲気にしていきましたよね。
——そこに反応する全日本ファンの優しさもあったんですかね。
上野 ヨシタツ選手は思いっきりヒールになっちゃっても面白いと思うんですけどね。嫌われるなら嫌われるで、それもいいわけじゃないですか、プロレスでは。
——試合自体はどうでした?
上野 この顔合わせは未知数でしたけど、噂で聞いて予想してたほどズンドコじゃなかった(笑)。
——今のプロレス界のタイトルマッチとしては短時間決着でしたけど、それもありかなって思わせる感じで。
上野 実際「あっさり終わったな」とは思いましたけど、ジョーは関節技にしてもパワーで強引にもってく感じとか、迫力があって良かったですね。
——諏訪魔選手、石川選手もそうですし「デカい」っていうことの魅力がきっちり出てるんでしょうね。
上野 やっぱり全日本ですからね。ということでさっき物販でこれ(ジャイアント馬場Tシャツ)買ってきましたよ(笑)。
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