先日12月22日に最終回を迎えたドラマ「コウノドリ」。全11話を通して、命の尊さや、お産はどれも奇跡であることを視聴者に教えてくれた作品だった。その中の9話で描かれた「出生前診断」 では、命のあり方を考えさせられた人も多いのではないだろうか。
「出生前診断」とは、胎児への診断を目的とした妊娠中の検査のことだが、一般的には胎児に遺伝子的な疾患があるかどうかを調べるための「出生前遺伝子検査」を指すことが多い。デリケートな問題ながら、有名人の中には検査を受けたことを公表している人がいる。
医師でタレントの友利新は、第2子を妊娠していたときに「出生前診断」を受けたことを12月15日に更新したブログで振り返っている。友利が受けたのは「エコーと血液検査で診断するFMFコンバインドプラス」という検査。「夫婦で結果が出た時の事はしっかり話をしていましたが、やはり迷いがなかったと言えば嘘になります」と悩んだ末に受けたという。また、出生前診断を受けた経験を番組で話した結果、「上の子の為に検査を受けたと言われても、万が一、遺伝子疾患がわかれば9割の人が中絶を選択しているのが現実なんだから、結局は選別の為の検査で言い訳は偽善だ」と指摘されたことも明かした。
それ以来、出生前診断を受けたことを公言するのが怖くなったという友利だが、今回ドラマ『コウノドリ』のなかに「検査をした人 しなかった人 産む決断をした人 産まない決断をした人 どの人の選択も間違えていない」との台詞があり、心が軽くなった気がしたとつづっている。
歌手のSILVAも公表した1人だ。悩んだ末に「クアトロ検査」と呼ばれる出生前診断を受けたとブログで明かし「クアトロ検査だけを受けて、そのどんな結果も私たちは受け止めてこの世界に赤ちゃんを迎えようとなりました」と、結果がどうであれ受け入れる気持ちだったことを語っている。
また、現在第3子を妊娠中の東尾理子も第1子妊娠中にクアトロ検査を受け、82分の1の確率でダウン症という結果が出たことをブログにつづっている。羊水染色体分析を受けると正確な結果がわかるとのことだったが、「主人とゆっくり話した結果、受けない事にしました」「だってどんなにユニークでも、りたりん(編集部註:胎児につけていた名前)は私達を選んでくれた大切な我が子だから」と、それ以上の検査は行わず、出産するに至った。
出生前に胎児の遺伝子的疾患の有無を調べ、もしも障害が見つかった場合には中絶をするケースも多いということから、倫理的な問題を取り沙汰されることもある出生前診断。ゆえに、この診断を受けたことを告白するのは、批判を受ける可能性もあるということでもある。
これに対し、医師の宋美玄氏は自身のブログで「有名人ママや妊婦の発信されるものはとても影響力があります。ポジティブで優等生で幸せいっぱいのものは、好感度を保つにはいいのでしょうが、一般のママや妊婦さんを落ち込ませることもしばしばあります。難しいでしょうが、有名人の方が出生前診断のついても正直に発信していってくれるとそれを機に考えるきっかけを持つ人も増えるのではないかなと思います」と言及。有名人が出生前診断を受けたことを発信することに意義はあるとの見解を示している。
高齢出産が増加傾向にある近年、「出生前診断」を受けるのか、受けないのかを悩む夫婦は増えていくだろう。そんな時、有名人が発信してくれた体験談は一つの判断材料になるのではないだろうか。