来年1月4日に開催される、新日本プロレスの東京ドーム大会『レッスルキングダム 12』で、王者のケニー・オメガにクリス・ジェリコが挑戦するIWGP USヘビー級選手権試合は、反則裁定なしのノーDQマッチで行われることになった。
11月5日の新日本プロレス大阪大会で、ジェリコが場内ビジョンからケニーに挑戦表明をしたことによって決定したこの一戦。当初はどちらがベスト・イン・ザ・ワールドか、というテクニカルな試合になると思われていたが、12月11日の新日本プロレス大阪大会にジェリコがサプライズ登場したことで風雲急を告げてきた。
この日、オメガはニック・ジャクソン、マット・ジャクソンと組み、SHO、YOH、ロッキー・ロメロ組と対戦。自ら片翼の天使でロメロを下し、IWGP USヘビー級のベルトを誇示して余裕の表情を見せていたケニーだったが、突然、照明が消えると場内ビジョンにジェリコのメッセージ映像が流れた。そして、再び照明が点くとリング上のケニーの背後にジェリコが仁王立ち。突然のジェリコの登場に客席からどよめきが起こった。
そして、ジェリコはケニーを急襲。得意技のコードブレイカーを炸裂させると、ベルトで殴打するなど、激しい暴行を加えてケニーを流血に追い込む。ケニーの血を自分の顔になすりつけ、ベルトは俺の物だと言わんばかりのアピールをしたジェリコだったが、言葉を発することなくリングを後にした。
翌12日に都内の明治記念館で行われた記者会見では、ケニーとジェリコが個別にコメントを出した。前日のダメージから包帯を巻いた姿で登場したケニーは、「もう人としてのクリス・ジェリコに尊敬の念を持つことはできない。東京ドームでは、お前を虫ケラのように扱ってやる。ジェリコ、お前は、真のケニー・オメガを覚醒させてしまった。まだ、新日本に来てからは見せたことがない、真のケニー・オメガを東京ドームで見せることになる」と、これまで新日本マットでは見せたことがない姿を見せることを予告した。
続いて登場したジェリコは、「昨日、すべての想いはリングの上でぶつけたつもりだ。あの攻撃で自分自身も満足したし、昨日のことを見た誰もが、俺がケニーをどれだけ上回っているか、そして俺の実力が分かっただろう」とコメント。そして、質疑応答に移り、ジェリコが話し始めようとした瞬間、ケニーが会見場に乱入。ジェリコに襲いかかり大乱闘になった。
外道やロッキー・ロメロが止めに入り、両者は引き離されたが、興奮状態のジェリコはマイクを手にして「1月4日はケニー・オメガの最後の日だ。新日本プロレスでの最後の試合になる」などとまくし立て、遺恨が深まった両者の要望により、後日、反則なしのノーDQマッチが正式決定となった。
現在、WWEとビジネス上の契約で縛られていないというジェリコだが、この一連の行動はまさに“WWEスタイル”だ。まず、場内ビジョンからのアピールは、WWEでは当たり前の光景であり、場内暗転からのサプライズ登場は、引退したアンダーテイカーや、最近ではブレイ・ワイアットなどの常套手段となっている。
そして、記者会見場などでの乱闘だが、WWEでは王者戦の調印式などで必ずといっていいほど乱闘が発生する。ノーDQマッチも遺恨が深まった同士が闘う際によく行われる試合形式だ。これら一連の流れは、試合に向けてファンの期待感を煽る、WWE流の仕掛けともいえる。
東京ドーム大会では、ダブルメインイベント第1試合として行われることも発表されたケニーとジェリコの一戦。ジェリコはケニーを相手にどんな闘いを見せてくれるのか。覚醒したケニーはどのようなヒールファイトを繰り出すのか。世界中のプロレスファンが注目するドリームマッチは見逃せない闘いとなるだろう。
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