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Abema格闘TIMESをご覧の皆様明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い致します。新年最初の掲載ですが、今回は女子プロレス界の女横綱こと里村明衣子選手と対談させていただきました。

小さい身体にどデカイ夢を詰め込んでいる仙女の代表にして現役のプロレスラー、そんな里村さんの著書、『かっこいい』の鍛え方を中心に色々と聞いてみました。しかし対談は毎回緊張で最初は支離滅裂な質問も…笑

そして今夜(1/6)は仙女の東京場所@新宿FACEですので会場でかっこいい里村選手を見に行きましょう

■「営業しなければチケットは売れない」現実を突きつけられた団体運営

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MEGA-G:まず最初に『「かっこいい」の鍛え方 女子プロレスラー里村の報われない22年の日々』を出版されたきっかけを聞かせてください。

里村: 2015年から観戦に来てくださっていた雨宮まみさんが、すごく私に目をかけて下さって、よくブログとかでも書いていただいていたんです。それで、何回かお会いするうちに「本を出したい」と言ってくださって。インタビューを3回くらいやっていただいたんですけれど、その途中で亡くなってしまって……。一旦お話はなくなっていたんですが、今年の4月くらいに出版社の方からお話をいただいて。

MEGA-G:「書籍にしませんか」と?

里村:はい、それで出させていただくことになりました。

MEGA-G:本を読ませていただいて、最初の方からだいぶ飛ばしてるなっていう感じがしたんですが(笑)、まず<GAEA JAPAN>が解散して、<センダイガールズプロレスリング>を立ち上げるところからお話をお聞ききしたいんですけれども。新崎人生さんと出会って、「直感でこの人を信じようを思った」と書いてありましたが、自分の直感をそこまで信じられるものかな……って思ってしまったんです。今でも、自分の直感に従ってきて良かったと思っていますか?

(※新崎人生:<みちのくプロレス>所属のプロレスラー。センダイガールズ旗揚げを里村に提案した人物)

里村:まずプロレス入門のとき、<GAEA JAPAN>解散のとき、その2か月後に新崎社長に出会ってお話をいただいたところまでが、自分の人生の転機のハッキリしたところだったので。その選択というのは全部、自分の直感だったんです。

MEGA-G:それは今、ご自身で振り返ったときに「従って良かったな」と思いますか?

里村:思います!

MEGA-G:即答ですね! 新崎さんとは2回会ってすぐに決めたとのことですが、最初にタッグを組んだのは、何の大会だったんですか?

里村:長与千種さんプロデュースの大会が開催されたときに、私と新崎さんのマッチメイクをしてくださったんですね。

MEGA-G:シングルですか?

里村:いえタッグマッチで、私からは何にも望んでいなかったんですが、長与さんがタッグを組んでくださって(笑)。それが初めてでした。

MEGA-G:そのときの感触というのは?

里村:自分は昔から、中学生の頃からファンで見ていたので「いよいよ憧れていた人に出会ったぞ」っていう感覚でした。

MEGA-G:後に新崎さんとは一緒に事業をやっていかれますが、そこではプロレス以外に営業もしなければならなかったりと、色んな苦労があったと思います。その中で、いちばん辛かったなという出来事はありますか?

里村:まずは“営業しなければチケットが売れないんだ”というところで、すごく現実を突きつけられました。やっぱり知らない町で新しく始めようと思ったら、まずは自分たちの名前を売ること、皆さんに知ってもらうことから始まるので。前の団体では会社にやってもらっていたので、営業をするところから始めるというのは、自分にとってプライドを捨てなきゃいけない部分であったり、“恥ずかしい”というところから入りましたね。

MEGA-G:それをやるのとやらなかったのでは大きく違うと思いますか。

里村:はい。

MEGA-G:ご自身が経営者になったときに、やってみてすごく良かったな、身に染みるな、っていうことはありますか?

里村:それはやっぱり活きましたね。自分が代表を引き継いだときに「もっと自分の足で動いて」「自分であいさつ回りから」っていう行動が増えたので。

MEGA-G:本を読ませていただくと、あいさつ回りとか営業って本当に辛いなっていうのがひしひしと伝わってくるんですけども(笑)。社長になった今でもされていたりするんですか?

里村:今でもやりますよ。今の方が多いかもしれないですね。

MEGA-G:そういう姿を後輩たちに見せることによって、“背中で教える”じゃないですけども、ご自身の中でそういう部分もありますか?

里村:うーん……。

MEGA-G:自分で自発的にやっちゃうっていう感じですか?

里村:自分はできる範囲で動きますが……後輩たちの方が営業が上手かったりするので(笑)

MEGA-G:ちょっと(本でも)触れていましたね(笑)

里村:そこは、もう得意分野の人に任せますね。例えば後輩の地元で開催することもありますし。日本中のいろんな地方で試合をするんですけど、その場所にあった人に任せます。

MEGA-G:そこは社長の手腕ですね、人を見極めて送るっていう。

里村:そうですね(笑)

MEGA-G:<センダイガールズ>が旗揚げしたとき、キャパはどのくらいでやっていたんですか?

里村:旗揚げのときは仙台サンプラザホールで2000人規模で開催したんですが、そこからは月に1回、ZEPP仙台で試合をしていました。

MEGA-G:ZEPP仙台はどのくらいの収容人数で?

里村:700人です。(※プロレス興行時の一例)

MEGA-G:それでも多いですね。

里村:月に1回やっていたので、それで700人の集客は……。

MEGA-G:結構ですよね。旗揚げメンバーだけ見ると人数もだいぶ少なかったじゃないですか? 興行を打つにあたって、他の団体の人とかに声を掛けて人を集めるということだったんですか?

里村:はい、自分たちのメンバーが最初は5名だったんですけど、ほとんどの選手を東京から呼んで、例えば他団体の選手だったり。それで最初は対抗戦という形でやっていました。

MEGA-G:そういった活動を経て、自分たちの団体を膨らませて、という形だったんですね。

■大仁田さんが5万円でFMWを立ち上げたんだから、自分にもできると思って(笑)」


MEGA-G:また新崎社長の話になってしまうんですけども(笑)、本を読んでいると新崎さんはかなりストイックだなと感じたんですけども……。

里村:フフフ……そうですね(笑)

MEGA-G:里村さんにもだいぶストイックな印象を受けたんですけども、新崎さんはやっぱりストイックの度合いが違いますか?

里村:やっぱり社長は“経営者の視点”なので。ほぼプロレスラーなのに、プロレスラーの考え方じゃないというか。

MEGA-G:もっと数字を見ている?

里村:そうですね、はい。

MEGA-G:本に書かれている中でも「過程をまったく見てくれない」というのがかなり印象的なラインだったんですけども。自分も何かを成し遂げるときに、やっぱり過程をもっと評価してもらえたら嬉しいなっていうのは、どうしてもあるんです。

里村:ありますよね。

MEGA-G:でも新崎さんはそこを見ないということで、すごくストイックに感じて。それは、ご自身の中でかなり影響はありますか?

里村:その当時はやっぱり、ところどころ恨んだりもしたんですけど……。

(一同爆笑)

MEGA-G:そうですよね!「もっと褒めてよ」って思いますよね。

里村:「自分は時々しか来ないくせに、私が毎日新人と向き合って、そこで起こっていることを見てないくせに、言うなよ!」っていう感情もあったんですけど(笑)。時々来て、結果を見て、ポッと口を出されるのが、やっぱりすごく嫌だったんですね。そこで私もピリピリしてしまうので、後輩たちにキツく当たったりとかすると、今度は後輩たちが「里村さんに耐えられません!」とかって新崎社長に言うので、それでまたカーッ! となって(笑)。その繰り返しでしたけど……今になると、もう自分がそうなってしまいました。

MEGA-G:過程を見ずに、結果を出してくれと?

里村:なるべく過程を見るようにはしますけど、やっぱり評価するのは自分じゃなくて、お客様なので。当日のチケット売り上げだけではなくて、期待値とか。例えば、自分たちの感情で「これやりたい、あれやりたい」というのは一杯ありますけど、そこを重視してしまうとすごく小さな世界に偏ってしまうんです。

MEGA-G:自己満足に終わってしまう?

里村:そういう感情を新崎社長に教えられました。

MEGA-G:実はすごく広い視点で見ていたっていう。

里村:そうですね。私は女子プロレスの世界で10年やってきて、新崎社長はWWEも見てきて男子プロレスラーの畑でずっとやってきて、仙台で一緒になって。私は女子プロレスのプライドがあって、新崎社長にはそのプライドがあって。社長は、いい所は取り入れようとして下さったんですけど、どうしても私と考え方が違うときに、よく「女子プロはそうかもしれないけど」っていう言い方をされたんですね。

MEGA-G:おおお……なるほど。

里村:それも最初は悔しかったんですけど、今になってみると、もう本当に女子プロレスの世界って小っちゃいんだなっていうのは感じますね。

MEGA-G:すごいですね、新たな価値観を植えつけてくれるというか、人の上に立つ人ってそういう視点を持ってるんですかね。

里村:やっぱりすごいなあと思いました。

MEGA-G:ちなみに、社長から<センダイガールズ>を受け継いだときに震災がありましたよね。ほぼゼロの状態から受け継いだ瞬間というのはかなり不安があったと思うんですが、そのときはどういう心境でしたか?

里村:なんか、そういうことを考える余地もなかったので……。ただ「辞める」という方向はなかったので、その選択以外だと「あ、結局やるんだな」という風に、自分で答えが出て。やるんだったら「もう1回ゼロからスタートする気持ちで頑張ろう」と思いました。

MEGA-G:そのときに道場が半壊してしまたったりとか、事務所がなくなってしまったりとか、立ち上がるにしてもモチベーションがなかなか上がらなかったと思うんですが、そのとき何がご自身を奮い立たせるきっかっけになったんでしょうか?

里村:その当時は、自分が“悲劇のヒロイン”になりがちだったんですよ、ほんとに辛かったですし。でも、被災地の沿岸部の避難所の体育館で、ある日突然、全員が合同で生活することになって、最初はトイレも2つ3つしかなくて水も流せない状態で。中に入ってみれば段ボールが仕切りなんですよね、家族の。赤ちゃんがいたり、犬とかもいるのでワンワン吠えたりとか、そういう中でみんなで生活しているところを見たら、もう自分の辛さなんて吹っ飛びまして。

MEGA-G:なるほど……!

里村:その状況を見たことは大きかったです。何日か後に「これは後輩たちに見せるべきだ!」と思って。また一緒に連れて行って、最初は後輩たちもかなり後ろ向きだったのが、帰り道には何も言えなくなっていたといいますか「すごいものを見てしまった」というような状況で。

MEGA-G:それは避難している人たちだけじゃなくて、町の状況だったりとか、すべてを見て「何かやらなくちゃ」という気持ちになったってことですね。

里村:そうですね……。

MEGA-G:仙台に会社を置いて根付いていたから、そういう気持ちになったという部分もありますか?

里村:はい。あとは事務所と道場が、代表を引き継ぐときになくなってしまって。でも資金がなかったので「どうしようかな?」と思ったときに、私が中学生のときに読んだ大仁田厚さんの本があったんですけど、その中で大仁田さんが資金5万円から……

MEGA-G:間違いないですね(笑)、<FMW>を立ち上げたと。

里村:そう、5万円から立ち上げたという話を思い出して。それが頭の中にずっと残ってたので「大仁田さんが5万円から始めたんだから、自分だってできる」って思って(笑)

MEGA-G:素晴らしいですね~。やっぱりプロレスから勇気をもらうんですね!(笑)

里村:そんなプロレスラーのエピソードを思い出して、馬鹿みたいにそれと(自分を)重ねて、家賃3万円のアパートを借りて(笑)

MEGA-G:パソコンとFAXを揃えて(笑)、なるほどですね~。

里村:そこから始めましたね(笑)

■サンドウィッチマンさんみたいに、何かあった時にみんなを助けられる人になりたかった」


MEGA-G:また興行が打てるようになるまで、どのくらいの期間があったんですか?

里村:そのときが8月だったので、約3か月で。

MEGA-G:おお、結構思い立ったらすぐって感じだったんですね! 本の中では興行を打つまでの間にトークショーだったり、いろんなイベントを重ねて資金を貯めたと書いてあったんですけども。他に資金を貯めるためにやったことは、パチンコ以外でありますか?(笑)

里村:その頃にはもう足を洗ってたので。

(一同爆笑)

MEGA-G:ああ、そうなんですね! ちなみにパチンコに大ハマりしたっていうエピソードは、めちゃくちゃ面白かったです(笑)。ハンパじゃなかったです、60万円イッキに使っちゃったりとか。

里村:「海物語」に(笑)

MEGA-G:ああ~! マリンちゃんに持ってかれちゃったんですね。

里村:サムにも(笑)

MEGA-G:それは急にハマっちゃったんですか!?

里村:急にハマりましたね。

MEGA-G:誰か先輩に連れて行かれて?

里村:最初に先輩と連れて行っていただいたときはそんなに長居できなかったので、そこまでハマらなかったんですけど。同期と一緒に行ったときに、12万円くらい勝ってしまって。

MEGA-G:「これは……!」ってなっちゃったんですね(笑)

里村:そうなんですよ……(笑)

MEGA-G:そこからピタっと止められるまで、だいぶ危ない感じでしたね(笑)

里村:ほんっとにもう、人間腐ってるっていう感じで……(笑)

MEGA-G:はじめてプロレス以外で好きになっちゃったんですか?

里村:もう、こんなに簡単に楽しめて、簡単に大金が手に入るっていうのを、一番最初に味わっちゃったんですよね。

MEGA-G:危ないですね~(笑)

里村:(代表を引き継いだ)当時は、もうパチンコはしてなかったので(笑)

MEGA-G:地道に資金を貯めて。

里村:そうですね、地道にやってました。自分が苦しかったときにニュースを見て、例えばいちばん身近な人でもあるサンドウィッチマンさん(※仙台出身)が1000万円を寄付したっていうニュースが流れたときに、自分はプロレスの試合を沿岸部ですることしかできなくて。お金の寄付とかもそこまでできなかったので、「いつかちゃんと、何かあったときに助けられる人になりたいな」と思いました。

MEGA-G:なるほど。サンドウィッチマンさんは仙台を代表するお笑い芸人なので、外から見てても、かなり……。

里村:すごいな~と思いましたね。


MEGA-G:はい、すごく東北のことを応援してるなっていうことが分かって。でも、サンドウィッチマンさんはサンドウィッチマンさんができることをやっていて、きっと里村さんは里村さんができることを仙台に向けてやっていたと思うんです。

里村:そのときは、それが精一杯でしたね。

MEGA-G:ちなみに新崎さんとかは炊き出しもやっていたと書いてありましたが、そういうときにプロレスラーの大きな体は役に立ちますか?

里村:そのときは炊き出しする姿を見てなかったんです。もうまったく別々で。

MEGA-G:里村さんも炊き出しとかを行ってたんですか?

里村:たまに合流させていただいたときに。私たちはプロレスのリングを設営して、社長は隣で炊き出しを従業員の方とやられて、っていう。そういうのは何回かやりましたね。

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■団体の旗揚げ戦デビューのために中3の3学期はパスしました(笑)


MEGA-G:では、入門したときのお話を伺ってもよろしいでしょうか? 15歳で、中学の卒業を待たずに入門されたということですが、当時はまず柔道をベースにやっていたと書いてあったんですけども。そこからプロレスを目指すきっかけ ――男子のプロレスを見たって書いてあったんですが―― どの試合を見られたんですか?

里村:誰の試合というわけではなくて、プロレスのルールが分からなかったので(笑)。試合はあんまり真剣に見ていなったですね。

MEGA-G:お姉さんに会場に連れて行ってもらったそうですが、お姉さんはプロレス好きだったんですか?

里村:姉は好きだったみたいですね。家に雑誌はあったんですけど、もう気持ち悪くて(笑)

MEGA-G:ハハハ! そうなんですね!(笑)

里村:「こんな、男の裸が載ってる雑誌なんて買わないでよ!」って、いつも言ってました(笑)

MEGA-G:なるほど~。それが会場に行ったことによって180度変わったんですね。

里村:入場で、選手に触るためにみんなが群がるんですね、入場口の通路のところに。それで、自分も行って選手を触って、その興奮とか(笑)。あと帰りに、まだ新人だった小島聡さんが、すごく気軽に一緒に写真を撮ってくださって。それが嬉しくて嬉しくて!

MEGA-G:それ、すごいわかります。自分もやっぱり小さいころに全日本プロレスを見に行くと、売店で(ジャイアント)馬場さんが葉巻をくゆらせながら大きい椅子に座っていて。何か商品を買うとサイン書いてくれて、握手してくれたときに「プロレスラー、すげー!」って思いますね。そういう感動をもらっちゃうと「プロレスラーになりたいな」って気持ちが絶対、芽生えちゃうと思うんですよ。自分も長州力にあまりにも憧れて「専修大学受けようかな」「レスリング部を目指そうかな」なんて時期が一瞬だけあって、家でブリッジの練習とかしてました(笑)

里村:えー! そうなんですね。

MEGA-G:それがちょうど、自分が14とか15歳くらいのときで。でも、その気持ちを維持したまま実際に入門までいくっていうのは、かなり自分の中でハードルが高かったんですけど、それを超えるきっかけっていうのはなんだったんですか?「もう入門するしかない!」みたいな気持ちにさせたものとは?

里村:もう、それがすべてだと思ったので……「この道だ!」と思ったら「どうやったらなれるんだろう?」しか考えられなくて。オーディションの日にちとか募集も、インターネットがなかったので『週刊プロレス』しか情報がなくて……。

MEGA-G:インフォメーションのところですね!(笑)

里村:「絶対、中3になったらオーディションを受けてやる!」と思ってたので、オーディションの日程も毎週『週刊プロレス』を端から端まで読んで、1週でも忘れるとオーディションの募集とかを逃してしまうので、ずっとチェックしてました。

MEGA-G:すごいですね……! それで、長与さんが新団体立ち上げるということで「ここだったらまだ人も少ないし、トップを目指せるんじゃないか」ということで、門を叩いたと?

里村:はい、そうですね。

MEGA-G:では入門してからなんですけども。まず中学を卒業する前に、学校の先生にお願いして3学期はパスしたっていう物凄いエピソードがありますよね。そんなことが義務教育で可能なのか!? ってちょっとビックリしたんですけど(笑)。やっぱり学校の先生も協力的だったんですか?

里村:はい、校長先生が協力的でして。

MEGA-G:将来を応援するよっていう? すごく良い先生ですね!

里村:教育委員会に掛け合って下さったんです。

MEGA-G:普通なら「それはちょっと認められないよ」ってなっちゃいますよね。

里村:あの時はありがたかったですね。団体の旗揚げ戦が4月だったので、もし3学期に入門できなかったら旗揚げ戦でのデビューは無理だったので。

MEGA-G:トレーニングも入れたら、3学期の期間はトレーニングに使いたかったっていうことですよね。う~ん、すごいですね(笑)。ちなみに卒業式はどうされたんですか?

里村:卒業式の1日だけ新潟に行って卒業式に出て、午後はまた道場に帰ってきて。卒業式の歌が歌えなかったので、1人でボーッと立ってました(笑)

MEGA-G:15歳でデビューしてから“脅威の新人”っていう触れ込みだったりとか、周りからもすごく期待されていたと思うんですけども、それが逆にプレッシャーになってしまうこととかはなかったですか?

里村:そのときの自分はトップに行くのが当たり前だったので、プレッシャーも何もなかったですね。「頂点に立ったときが1番大事」だと思っていたし、新人に向けられる歓声とか期待とか、脅威の新人と言われて注目されていることに喜んでちゃいけないなと。

MEGA-G:そこら辺もまたストイックですね~。素直に受け取らないんですね。

里村:毎週読んでいた『週プロ』も「これがすべてじゃない」って思ったので(笑)、あまり見なかったです。

■トップにいたときが一番、いま振り返っても苦しかったかもしれない


MEGA-G:まだ長与さんの付き人をされていたときのエピソードでも「そんなことあるんだ!」って思うところがあったんですが(笑)、そこからトップに上り詰めて、実際にチャンピオンに辿り着いた瞬間ていうのは、ご自身の中でちょっとした解放感とかはあったんでしょうか?

里村:まったくなかったです。トップにいたときが一番、いま振り返っても苦しかったかもしれないですね。

MEGA-G:自分が目指していたものになってしまったから、逆に「そこからどうしたらいいのか」ということですか?

里村:そうですね。新人ときの想像ではトップに立ったら、もちろん強くて、生活も環境も人に憧れられるような立場じゃないと、っていう想像をしてたので。それが現実ではまったく違ったことが……そのうち悩みに変わっていきましたね。

MEGA-G:チャンピオンになってもまだ長与さんの付き人をしなきゃいけないとか、理想と現実のギャップっていうのをなかなか埋められなかった時期も長かったと思うんですけども、そういう苦悩の時期に「これを打開しなきゃいけない」っていう気持ちをどうやって維持できたんでしょう?

里村:なんでしょうね……けっこう“禁止事項”がたくさんあって。外部の人とあんまり食事に行っちゃいけないとか、記者と仲良くしちゃいけないとか。

MEGA-G:そういうのもあるんですね!

里村:とにかく外部と接触して情報が洩れるっていうのが会社的にはすごく怖かったのかもしれないです。ただ、それはもう決まりとして自分たちの中で当たり前なんですよ、そういう風に植え付けられていることが。門限があるのも当たり前ですし、私は特に長与さんといることが多かったので、そのぶん時間も制限されていて……そんな中で、段々と諦めるようになって。「こんなにどこも行けないんだったら、近くの本屋とかビデオレンタル屋とか全部制覇してやろう」っていう(笑)

MEGA-G:逆に小さな楽しみを!?

里村:本屋でずっと立ち読みしてたり。できる範囲内で想像だけ膨らまそうと思って(笑)

MEGA-G:いろんな禁止事項の中で、一番どれを破りたかったですか?

里村:タバコとお酒はまったくやりたいと思わなかったんですけども、男性に“片思い”はするじゃないですか。でも、それはちゃんと守っていました。

MEGA-G:いつくらいまで守っていたんですか?

里村:24歳くらいですね。

MEGA-G:う~~~ん、やっぱりストイックですね!(笑)

ちょっと質問を変えて。まず、盛り上がっていた女子プロレス界がどうして元気がなくなってしまったのか? っていうことに対しての考察はありますか?

里村:う~ん、スター選手が……

MEGA-G:若い選手の中から出てこなかったということですか?

里村:そうですね。例えば全日本女子プロレスだったら、そういった(スター)選手が大量離脱してフリー化して、観客動員数も減って。そうすると憧れる人がいなくなるので入門者が減って、でも(組織の)中の厳しさとかしきたりとか、そういうものは全然変わらなくて……。選手って、その環境にいるとそういうところに気づくのがすごく遅くなるので。どんどん悪い方向に行ったのが、ちょうど1997年から2002~2003年くらいまで。本当にガタ落ちした時期だったと思うんです。

MEGA-G:なるほど。でもそこから徐々に回復していって、今では色々な女子プロ団体があります。例えば<センダイガールズ>の中から<WWE>だったり、海外に発信できる選手も多いと思うんですが、今後も輩出していきたいという気持ちはありますか?

里村:輩出すると……うちの選手が取られてしまうので(笑)

MEGA-G:間違いない!(笑)そうですね。

里村:<WWE>にはちょっと行かせたくないんですけども、そのくらいのスター選手でしょうか。もう1回盛り上げるきっかけっていうのは、やっぱりスター選手の誕生だと思います。

MEGA-G:ご自身の団体からスター選手を出す自信はありますか?

里村:あります!

MEGA-G:おお~! それはご自身ではなく、後輩から確実に出てくると。

里村:まだ見ていない子かもしれないですし、今いる選手も十分に素質はあると思うので。

MEGA-G:それはすごく楽しみですね。やはりスター選手がいないと、目標にする人もいなくて、新しい存在も出てこないと思うんです。それはすごく重要ですよね。

>後編につづく

「かっこいい」の鍛え方 女子プロレスラー里村の報われない22年の日々(しごとのわ) - インプレスブックス
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報われなくても、がんばっている女性はかっこいい!
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