1920年代からの歴史を誇り、戦前はラジオ、戦後はテレビ、2000年代に突入してからはインターネットと形を変えて中継されてきた大相撲。そしてこの一月場所からはAbemaTVでも放送がスタートする。大相撲中継の歴史を振り返る。
1928年1月12日、大相撲のラジオ中継はスタートした。日本初のラジオ放送が開始されたのが1925年のことだ。なお、この時は中継を懸念する声もあった。当時は相撲人気が低迷していたため、会場の動員が減少するリスクを考慮してのことだったのだが、特に影響はなかった。なお、これに追従する形で野球などのスポーツ中継が開始されている。
テレビ放送が開始されたのは、1953年5月16日のことだ。この頃の相撲中継の影響の高さを物語るエピソードとして、民放でもNHKに追従する形でテレビ中継を行っていたことが挙げられる。1959年にはなんとNETテレビ(現在のテレビ朝日)、日本テレビ、フジテレビ、TBSテレビの在京5局が同時に大相撲中継を放送していたのである。
民放における相撲中継は1966年に終了したが、大相撲中継の関心は非常に高く、1981年1月25日に千代の富士が初優勝を飾った際は視聴率52.2%を記録している。千代の富士全盛期と若貴ブームが大相撲中継の高視聴率を支え、視聴率歴代トップ10はほぼこの時代が占める結果となっている。
衛星放送についても1991年にNHK 衛星第2テレビでハイビジョン放送という形で開始された。BSでのテレビ放送は13時から地上波が始まるまでの間、現在も継続されている。
インターネットによる放送は、2004年から「goo大相撲」で開始された。2005年9月場所にはドワンゴが「パケットラジオ」で「パケラジ大相撲」を放送開始している。2011年の一連の不祥事後はインターネット中継にも力を入れ始めており、技量審査場所で「goo大相撲」は序ノ口からの放送に拡大し、「ぷららTV」と「ニコニコ生放送」では中継配信が行われた。2014年9月には「goo大相撲」終了に伴い、Ustreamによる有料放送が開始され、その後同番組が終了すると2016年3月からは「スポナビライブ」による有料放送が開始された。
時代の移り変わりと共に大相撲中継も形を変えてここまで来ている。2017年11月で「スポナビライブ」による放送終了、2018年1月からはAbemaTVで開始されることになった。2017年の大晦日には朝青龍による八番勝負を中継したことにより各方面から話題を集めている。大相撲初場所は土俵の熱戦もさることながら、新しい時代の新しい放送に期待したい。【西尾克洋】