プロ麻雀界屈指の引き出しの多さと対応力の高さを見せ続ける鈴木たろう(日本プロ麻雀協会)。だが、昨年のRTDリーグでは、アガリ条件をシビアに捉え、あえてアガらずに見逃しを繰り返した。「麻雀は選択のゲームゆえに、アガらない選択肢もある」ことを伝えたかったのだが、結果的にその見逃しが響き、準決勝で敗退。今年はアガれるものはすべてアガる「完食」で、初優勝を目指す。
誰もやらないことを平然とやってのけ、その引き出しの多さで、視聴者をワクワクさせてきた。「僕は普通だと思ってやっているんですけどね」と本人に特別感は毛頭ない。 ただRTDリーグ3度目の出場を迎えるにあたって、改善しようと思っていることがある。それは「見逃しを減らす」こと。過去2年間、見逃しを数多く敢行した結果、痛い目にも数多く遭ってきたというのだ。
いわく、麻雀は選択のゲームなんで「アガらない選択」もあって当然。なんでもかんでもアガればいいわけではなく、打点や着順を考慮し、今自分に必要な「アガリ方を選択する自由もある」ことを教えてくれた。ただ意識しすぎて、天邪鬼的な無茶な見逃しもあったと自省する。しかし今年からは新たに降級システムが導入され、予選7位は入れ替え戦、8位だと出場停止となることもあり、アガれるものはできるかぎりアガっていくつもりだ。
また昨年は、同じくRTD選手でもある鈴木達也と小林剛とトークイベントを行うなど、プロ活動の幅も広げた。会場には、麻雀はやらないけど見るのが趣味という10~20代の女性のお客さんもいたそうだ。「技術を磨き、プレイヤーであり続けたい」。その結果として、プロ活動の幅は広がっていく。だからすべては「プレイヤーとしての評価を上げた先にある」と、イベントを通じて自身の「プロとしてのあり方」も再認識できた。
そのためにも「(協会の)雀王決定戦は勝たなきゃいけないもの。RTDは勝ちたいもの」と、RTDに出場している以上、自団体のリーグ戦で結果を出すことは必須と、あえて己に負荷をかけている。
そしてRTD2018の開幕を迎えるにあたって、強く意識していることがある。「萩原さんにだけは絶対負けたくない。プロが芸能人に勝たれるわけにはいかない」と新たに参戦する芸能界最強雀士、萩原聖人の実力を知っているだけに、その決意には並々ならぬものがある。
たろうvs萩原聖人が実現するとしたら、準決勝以降。予選からアガリにこだわる「完食宣言」で初優勝を目指す。【福山純生(雀聖アワー)】
◆鈴木たろう(すずき・たろう) 1973年10月4日、茨城県生まれ。B型。日本プロ麻雀協会所属。第15期最強位、第9・11・12・13期雀王、第8回野口恭一郎賞他多数。著書は「迷わず強くなる麻雀」他。異名は「ゼウスの選択」。
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