人気麻雀プロとして、多忙な日々を送る村上淳。昨年はゲスト仕事を半減してまで、プロ同士で行っているふたつの勉強会に加え、RTD出場選手と最高位戦日本プロ麻雀協会Aリーグ所属選手の研究に多くの時間を割いた。その結果、3年ぶり3度目となる最高位にも返り咲いた。緻密を極める勉強法と悲願のRTDリーグタイトル獲得に向けた思いを聞いた。
「『リーチしてツモる』これまで磨き上げてきた戦い方を変えるつもりはありません」。昨年、第42期最高位に返り咲いた村上淳の言葉だ。誰にでも出来ることと思われがちだが「読みの精度」が高くなければ、絶対に勝てない打法でもある。最優先事項はテンパイではなく、ツモれる牌は何なのか。この打法は、仮にヤミテンが入ったと感じれば、すぐさまオリを選択する。要は守備もしっかりしていなければ、村上が追い求める鳴きの少ない麻雀は通用しないからだ。
RTDリーグ3年連続出場を前に「これまでの2年間はなんとか戦えている」と手ごたえも十分ある。タイトルにこそ手は届いていないが、敗因となったであろう“ミス”をした感覚もない。細かいミスはあったにせよ、単純な力負けと受け止めている。そのため昨年は、ゲスト仕事を半分に減らし、学びの時間を確保した。有志のプロ同士で10年近く継続しているふたつの勉強会に加え、RTD出場選手をはじめとする対戦相手を研究する独学の時間を設けたのだ。
勉強会では実戦と検証を2日間かけて行う。1日目は実戦。普段通り相手の手牌構成を推理しながら半荘を5回打つ。それをすべて牌譜として記録してもらい終了。後日その牌譜がまとまった時点で検証し、推理の答え合わせをしていく。実戦と検証を徹底的に行うためには、対局者4人と記録者4人、さらに記録をまとめてくれる人がいないと出来ない根気のいる作業だ。
実際、対局中は相手3人の手牌は見ることはできない。でも対局映像を見てしまうと相手が何をやっているのかは一目瞭然。要するに、通常の対局時に推理するであろう答えを先に見ている状態となる。もちろんある程度の傾向はつかめるので、知識にはなるけれど「推理する行程」が抜け落ちるので、読みの経験値にはならない。そう考えると、受験勉強も同じ。答えを先に確認するのではなく、自分で考え抜いてから答えを確認するからこそ、実力は身についていく。
そして独学では、対局動画を見ながら対局相手の特徴を書き出していく。こうして昨年1年間、これまでのプロ生活の中で最も多く、学びの時間を確保した。その結果として、イメージ通りに戦うことができ、最高位復活にもつながった自負がある。
最高位を取った時とまったく同じ服装で、3度目のRTDリーグ開幕戦を迎える。悔し涙をうれし涙に変えるべく「リッチ!」の声は一段と響き渡るにちがいない。【福山純生(雀聖アワー)】
◆村上淳(むらかみ・じゅん)1975年4月10日、東京都出身、B型。最高位戦日本プロ麻雀協会所属。第35・39・42期最高位、第5・9期最高位戦Classic、第8期日本オープン、第14回モンド杯、第10回モンド王座。著書は「最強麻雀 リーチの絶対感覚」。愛称は「ずんたん」、「リーチ超人」。
(C)AbemaTV