『オール・ザ・マネー・イン・ザ・ワールド(原題)』に出演したクリストファー・プラマーが、第90回アカデミー賞助演男優賞のノミネートされた。クリストファー・プラマーは今作のノミネートで3度目のアカデミー賞助演男優賞ノミネートとなり、88歳でのノミネートは『タイタニック』(1997年)のグロリア・スチュアート(当時87歳)を抜き、“史上最高齢でのノミネート”となる。さらに今回受賞すれば、第84回アカデミー賞において、『人生はビギナーズ』(2010年)で助演男優賞受賞した際の自身が持つ、”史上最高齢での受賞”記録を更新することとなる。

リドリー・スコット監督がメガホンをとった『オール・ザ・マネー・イン・ザ・ワールド(原題)』は、1973年に起きた、世界初の億万長者でアメリカの石油王ジャン・ポール・ゲティの孫ポールの誘拐事件を描く実録サスペンス。孫の身代金1700万ドルの支払いをゲティが拒否したことで知られる事件の顛末が描かれる。ポールの母親で、誘拐犯やゲティと闘うことになるゲイルをミシェル・ウィリアムズが演じ、マーク・ウォールバーグ、ロマン・デュリスらもキャストに名を連ねた。

本作は当初、アカデミー賞受賞の名優ケビン・スペイシーが出演するはずだったが、昨年10月末、ケビン・スペイシーのセクハラ疑惑発覚。しかし、11月13日にはクリストファー・プラマーをピンチヒッターとして起用することが発表され、11月20日から再撮影がスタート。11月28日には撮影を終え、僅か9日間という短い期間で再撮影を終えた。
この9日間というスケジュールで、クリストファー・プラマーは1日18時間、22シーンをロンドンとローマで撮影。12月上旬には作品が完成し、当初の全米公開に間に合わせ、第75回ゴールデングローブ賞、第71回英国アカデミー賞、第90回アカデミー賞ノミネートという大逆転劇を成し遂げ、クリストファー・プラマーの名演が一つの作品を救った結果となった。また、この短期間で作品に参加しアカデミー賞にノミネートというのは史上最短記録となる。
リドリー・スコット監督は、キャスト変更にあたり「クリストファーにはあえてケビン版の本編を見せなかった。クリストファー自身が思い描くゲティ像にしたかったからだ。ケビンの演技はもちろんすばらしいものだったが、二人のゲティはまるで違う。ケビンのゲティは冷徹なのに対し、クリストファーのゲティは人間的な深みが強調されている。」と語っている。
アカデミー賞のノミネートを受け、クリストファー・プラマーは「アカデミー賞のノミネーションを受け、感激しております。全く予想外のことでしたが、非常に喜ばしく思います。すべての出来事があまりにも短期間で起こりましたので、少々唖然としつつも興奮を覚えております」とコメントを寄せており、百戦錬磨の名優もこの短いスパンでの撮影スケジュールに驚いた様子を覗かせている。

また、今回新たに解禁となった場面写真は、クリストファー・プラマー演じる、ジャン・ポール・ゲティが孫の誘拐事件について初めてメディアの前に姿を現し、身代金は支払わないと語りに行くシーンで、クリストファー・プラマーの貫禄ある演技とジャン・ポール・ゲティの冷酷な一面が見事に合致し緊張感溢れるものとなっている。
アカデミー賞授賞式は現地時間3月4日(日)、日本時間3月5日(月)の発表となる。
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