大晦日のRIZINキックトーナメントでも優勝、試合ごとに知名度を高めていると言っていい“神童”那須川天心が、2月12日のKNOCK OUT(大田区総合体育館)で今年初ファイトに臨む。

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(最強の相手にも落ち着き払っていた那須川)

ヒジ打ちありの純キックボクシングルールで行なわれるKNOCK OUTで、これまで那須川は強豪ムエタイ戦士と対戦してきた。ヒジ、ヒザはムエタイの真骨頂とも言える技術。それが認められた試合で勝つことに意味を感じると那須川は言う。

今回、対戦するのはスアキム・シットソートーテーウ。ムエタイの殿堂ルンピニースタジアムの元スーパーバンタム級王者で、現在はプロムエタイ協会のチャンピオン。しかしあまりの強さに敵が見当たらず、階級を上げて試合を行ない、それでも勝利している強豪中の強豪だ。2階級上となるスーパーフェザー級の相手をもKOしてしまうのだから凄まじい強さ。主催者はスアキムに“神童キラー”というキャッチフレーズをつけている。いわば那須川を倒すためにタイから送り込まれた刺客だ。

キャリア最強の相手と言われていることに対しては「自分もそうだと思います」と那須川。このマッチメイクに「そろそろ那須川が負けてもいいんじゃないか、みたいな周りの空気も感じますね」という。だがそのことで闘志に火が付いた面も。「負けるかもって思われてるかもしれないけど、負けないです」。何より「強い相手と闘えるのは嬉しいし、期待されてるってことですから」。

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(これまでになく疲れているという那須川だが、ミット打ちは相変わらず強烈)

組まれてからの展開とヒジには警戒すると那須川。しかし今回、特別な練習をしているわけでもないそうだ。余計な緊張感も一切ない。

「(スアキムは)強い選手ですけど穴もある。同じ人間ですからね。前に出てくるタイプなのでやりやすいとも思います。(相手が攻撃する際にできる隙を)僕は逃さない」

“打倒ムエタイ”はキックボクサーにとって大きなロマン。しかし那須川はムエタイを評価しすぎるあまり「越えられない壁」だと思い込んでしまいたくはないという。

「挑戦する気持ちもありますけど、日本なので迎え撃つ気持ちもあります」

「日本代表として、ムエタイにレベルの差を見せつけたい。そうすれば、みんなムエタイが越えられない壁じゃないってことに気づくと思うんで」

那須川が目指すのは勝つことだけでなく倒して勝つことであり、その結果として常識を覆そうとしているのだ。“神童”は革命家としてリングに上がろうとしている。

文・橋本宗洋

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