勢いに乗った中学生棋士・藤井聡太五段をよく知る男がいる。増田康宏五段だ。デビューからまもない時期に非公式戦で対戦。さらに昨年6月には、30年ぶりに連勝記録を更新する29連勝の相手となった。苦い連敗を喫した増田五段だが、最近の藤井五段の将棋について「全体的に強くなってきている。序盤から終盤までレベルアップしている」と高く評価している。2月17日に行われる羽生善治竜王との対局についても「藤井君が勝つと予想しています」とさらりと言ってのけた。歯に衣着せぬ発言でも注目を浴びる若手棋士に、対局の予想をしてもらった。

 肌身でその強さを感じているからこそ、天才中学生が絶対王者を打ち破る姿がクリアに想像できている。2017年の早春、学生服でスタジオに現れた中学生棋士と、AbemaTVの対局番組でぶつかった。「まだ中学生だし、それほど強くないと思っていたんですけどね。でも実際は大人の将棋でした。勢いだけじゃなくて、実際に強かった。とても本格的でした」と、若さに任せたものではなく、芯の通った強さだとすぐに気付いた。

 その後、29連勝時の相手にもなり、また敗れた。その後の対局はないが、年下のライバルの動向はしっかりとチェックしている。「すべてがレベルアップしている。相手からしたら、勝てなくなってきている気がします」と、戦うごとに隙がなくなっているという。

 羽生竜王が永世七冠、さらには国民栄誉賞に決まったこともあり、17日に行われる朝日杯将棋オープン戦の準決勝は、29連勝時に匹敵する盛り上がりを見せている。非公式戦で1勝1敗の2人だが、公式戦では初対決。同棋戦で過去10回中5回も優勝している羽生竜王有利と見る棋士やファンも多い中「藤井君が勝つと予想しています」と、迷うことなく答えた。「対局の見どころは全部です。羽生先生は、序盤で藤井君が知らないことをやると思うんです。それにうまく対応できれば、中終盤の藤井君はトップクラス。序盤で差をつけられなければ、藤井君が勝つのではと思っています」と、序盤の攻防が勝負の分かれ目と指摘した。

 将棋ソフトを積極的に活用し、研究熱心なことでも知られる増田五段。冷静に戦力分析をした中で、導き出された答えは藤井五段の勝利だった。勝負は約2時間で終わる早指し戦。棋士もファンも息つく暇がない対局はもうすぐだ。

(C)AbemaTV

▶第11回朝日杯将棋オープン戦 準決勝・決勝

第11回朝日杯将棋オープン戦 準決勝・決勝 | AbemaTV(アベマTV)
第11回朝日杯将棋オープン戦 準決勝・決勝 | AbemaTV(アベマTV)
2月17日朝8:30から朝日杯準決勝・決勝を生中継でお送り致します。 全プロ棋士、アマチュア10人、女流棋士3人の計173人が優勝を争うトーナメント戦。 前人未到の「永世七冠」を達成した羽生善治竜王…