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 先月、大手携帯会社のSoftBankが新たな学割プランを発表。これにより大手3社の2018年度の学割プランが出揃った。月額料金は、docomoが280円(通話・パケット代別)、auが1480円、SoftBankが3980円(データ量50GB)とどれも安い価格設定だが、これは「格安スマホ」の勢力に抵抗するためとも言われている。

 店頭やCMなどで多く見かけるようになった格安スマホ。ユーザー数は右肩上がりで、契約数は2016年3月の599万から2017年9月には1012万に増えた。ビックカメラ有楽町店の格安スマホ売り場を訪れている人に話を聞くと、料金の安さを指摘する声があがる。

「今までは1万円いかないくらい。格安スマホにすると5000円程度まで抑えられそう」

「実際に変えて大体6000円位安くなった。機種代を普通に払っても元がとれる」

「(今までは)1万円くらい。格安スマホにすると3000~4000円くらいになりそう。(普段は)ネットを見たりLINEしたりするぐらい。ゲームもそんなにしているわけではないので、何で(毎月)9000円とかかかるのか分からない」

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 ビックカメラ有楽町店主任の野嶋優さんによると、1日にインターネットを約1時間、通話を約30分、1カ月に約1万円を支払っている人の場合「2000~3000円程度」で済むという。格安スマホ事業者は大手3社から回線網を借り受けて運営しているため、設備投資や維持費などがかからず低価格で提供することができる。

 現在この回線を借りている会社には「大手サブブランド」と「独立系」の2通りの事業形態がある。大手サブブランドはUQモバイル(KDDI系)やワイモバイル(ソフトバンク系)、LINEモバイル(ソフトバンク系)など。独立系はmineo、トーンモバイル、楽天モバイル、DMM mobile、イオンモバイルなどだ。こうした会社750社以上がサービスを競い合っている。

 ところが、大手系と独立系でとある揉め事が起きた。先月15日、総務省主催の「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」で、“独立系”格安スマホ事業者が「格安スマホでも大手系は通信速度が格段に速い」と主張。対して大手携帯電話キャリアは「どの格安スマホ会社も同じ条件での、平等な通信環境だ」と反論した。

 独立系のケイ・オプティコムによると「利用者が多く回線が混雑する時間帯に独立系の格安スマホは通信速度が落ちる」といい、大手サブブランドが親会社からの優遇を受け“安定して速い通信”を実現していると主張した。ケイ・オプティコムの浜田誠一郎執行役員は「同じような条件で本当にサービスを作っているのか。(競争が)公正で活性化されて、そのうえでお客様にメリットが出るような見直し改善をして頂ければと思う」とコメント。一方、大手系のUQモバイルCSR部門の西川嘉之副部門長は「親会社のKDDIから優遇を受けているということはないので、批判は当てはまらない」と述べた。

■格安スマホのメリット・デメリットをおさらい

 金額面でのメリットがある一方で、街の人からあがるのは「最新機種があまりないイメージ」「機能が少なそう」「保証とか大丈夫かな」「安い分何か不備があるのでは」といった不安の声。それぞれについてITジャーナリストの三上洋氏が解説した。

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・「最新機種がなさそう」

 「そんなことはない。例えばiPhoneだと、アップルストアで買えば定価にはなるが、それに格安スマホと契約したSIMカードを入れればすぐに使える。今は中国系のスマホで安く高性能のものがたくさん出てきて、格安スマホの方が品揃えはよかったりする」

・「機能が少なそう」

 「携帯電話会社の機能・サービスとほぼ変わらない。1つだけ注意が必要なのは、それまで大手3社で使っていたメールアドレスが使えなくなること。GoogleのGmailなどに変えれば、(携帯を)変えてもそのまま使うことができる」

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・「保証は大丈夫か」

 「保証・サポートという面では正直大手3社よりは落ちる。大手3社はどの街に行ってもショップがあるが、格安スマホはない。これは弱点だが、その弱点を補うために頑張っている会社もある。例えば、イオンの『イオンモバイル』は、全国のイオンモールにそのショップがある」

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・「安い分不備がありそう」

 「サポートがやや良くないとか、スピードが落ちるという点は否めない。朝の8時台、昼の12時から13時、夕方17時以降は、仕事の昼休みや仕事終わりでみんなが使うため通信スピードは落ちる。格安スマホは2次販売で、道路で考えると1車線を借りている状態。混む時間になっても、携帯大手は自社で回線を持っているのでコントロールして何とか通行できる。格安スマホの場合は1車線しか借りてないのでそこにみんな集中する。すると動かなくなってしまうので、入り口で入るスピードを遅くする制限をかけている」

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 格安スマホのメリット・デメリットを解説した三上氏。では、大手3社はこれらのサービスに危機感を持っていないのだろうか。「料金に圧倒的な違いがあるので、その料金を安く抑える仕組みを大手が始めている。『学割』プランは格安スマホの会社にはないので、大手3社は頑張ってやっている。学生の時に初めて使ったキャリアは変えずにそのまま使うことが多い。だから大手3社は学生については安くして、そのままずっと使ってもらおうという考え。大手3社は今すごく焦っている」との見方を示した。一方で「自分でスマホの設定をできる人でなければ格安スマホを使ってはいけない」とも述べた。

(AbemaTV/『けやき坂アベニュー』より)

次回『けやき坂アベニュー』は2月18日(日)12時から!「AbemaNews」チャンネルにて放送

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