2017年度の成績、65局で54勝11敗、勝率0.831。将棋の中学生棋士・藤井聡太五段が2月14日の対局を終えた時点で残している成績だ。30年ぶりに記録を更新した29連勝を含め、年度成績の部門四冠を独占する活躍ぶりだが、日本将棋連盟会長の佐藤康光九段(48)は「本人が常日頃から心掛けているように、しっかり力をつけて、とてつもない強さになってほしい」と、さらなる期待をかけた。2月17日に羽生善治竜王(47)との公式戦初対局を控える藤井五段について、話を聞いた。

 棋士として日々戦いながら、日本将棋連盟会長という重責を担う佐藤九段は、デビュー時点でスケールの大きい将棋に、将棋界の明るい未来を見出した。昨春、AbemaTVの非公式対局で盤を挟んだ時の印象は「序盤からしっかり将棋を作っていく。あまり現代的ではないというか、おおらなか将棋」だった。将棋ソフトを駆使し、見たこともない最善手を見つけていくのが今のトレンドだが、当時14歳の藤井五段の指し手には、どことなく将棋の歴史を感じされるものがあった。

 早々に他の若手棋士とは異なるものを感じたからこそ、その先に広がる大きな可能性にも期待を寄せていた。「デビューから1年ぐらいが経ったわけですが、その間、期待にしっかり応えてもらいました。想像以上の活躍です。29連勝は、本人も大変なプレッシャーがあったかと思いますが、見事な戦いぶりでした」と、一大ブームを巻き起こした快進撃に、将棋界を代表する立場からも感謝した。

 誰も経験したことのない29連勝の後、1つ黒星がつく度にそれ以上の白星を積み重ねた。「自分なりに戦った経験が積み重なって、いい方向に行ったんではないでしょうか」と、足踏みすることなく順調に成長しているという。「1年でもかなり伸びた気がするので、ペースを崩さずに行ってほしいですね」と、この春からは高校生となる藤井五段の成長を願うばかりだ。

 長い将棋界の歴史には、その時代に名を刻む圧倒的な強さを誇る棋士が何人もいた。先日、国民栄誉賞を受賞した羽生竜王もその1人だ。この2人が2月17日の朝日杯将棋オープン戦準決勝で激突する。佐藤九段が言う「とてつもない強さ」を身につけつつあるとしたら、日本中があっと驚く結果が待ちうけているかもしれない。

(C)AbemaTV

▶第11回朝日杯将棋オープン戦 準決勝・決勝

第11回朝日杯将棋オープン戦 準決勝・決勝 | AbemaTV(アベマTV)
第11回朝日杯将棋オープン戦 準決勝・決勝 | AbemaTV(アベマTV)
2月17日朝8:30から朝日杯準決勝・決勝を生中継でお送り致します。 全プロ棋士、アマチュア10人、女流棋士3人の計173人が優勝を争うトーナメント戦。 前人未到の「永世七冠」を達成した羽生善治竜王…