「軽い気持ちでした書き込みで、まさかこんなことになるなんて…」
インターネット上で現役プロ野球選手の妻に向けて書き込まれた20代女性会社員の暴言。FRIDAYによると女性は去年7月、インターネットの匿名掲示板で「そりゃこのブスが嫁ならキャバクラ行くわ」と選手の妻を罵った。すると、その3カ月後の11月に選手から女性に「通知」、12月中旬には「訴状」が届いた。内容は「原告である選手の妻に191万9686円支払え」「訴訟費用は20代女性会社員の負担とする」というものだった。
匿名掲示板だからバレないはず…。そこにある大きな落とし穴とは?『けやきヒルズ』(AbemaTV)では、インターネット上の誹謗中傷に関する裁判を多く手掛ける清水陽平弁護士に話を聞いた。
インターネット上の誹謗中傷に対して「相手を特定できれば訴えることができる」と話す清水弁護士。では、匿名掲示板でどうすれば相手を特定することができるのか。基本的な段取りは、(1)掲示板運営会社にIPアドレスなどの開示をしてもらう、(2)開示されたIPアドレス等の情報をもとに、プロバイダに契約者の情報を開示してもらうこと。権利侵害が明らかな場合、被害者は情報開示請求(約70万円前後)を行えるが、運営会社は基本的に拒否してくるため実質裁判所が認めた時にはじめて開示されるという。
相手を特定し裁判を起こした場合「慰謝料の請求ができる」と清水弁護士は話すが、金額は権利侵害された内容によって異なってくると説明する。
「想定されるのは『プライバシー侵害』や『名誉毀損』『名誉感情の侵害』など。名誉感情の侵害は、自分が持っている“自意識”のようなものを侵害されたということで、名誉毀損より賠償額は低くなる。賠償額は、名誉毀損が最高100万円ほどで平均は50~80万円程度、プライバシー侵害が20~50万円程度、名誉感情が10~30万円程度。また、情報開示請求にかかった約70万円も請求することができる」
またこのような訴えをする人の気持ちには、お金で責任を取らせたいということ以上に大きな要因があるという。「誰が書いているかわからないという理由。ひょっとしたら自分の親しい人が裏では自分の悪口を言っているかもしれないと疑心暗鬼になってしまって、誰がやっているのかを知りたい、そうでないと外で生活することがすごく怖い、となる。それが一番大きな理由」と述べた。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)