2月17日に開催される「ベラトール194」。先月開幕したヘビー級トーナメント第1回戦、第2戦目であるロイ・ネルソンとマット・ミトリオンが激突する。
なかなか因縁の深い2人である。共にUFC登竜門番組シーズン10にあたる「The Ultimate Fighter: Heavyweights」出身。この時は経験不足のミトリオンがTUFのトーナメント2回戦で敗退、ネルソンはトーナメントを制している。続いて、共にUFCファイターとなり実現した2012年の対戦では、ネルソンの強打にミトリオンが沈んでいるが、代役として立てられたミトリオンは当時準備不足だったこともあり、今回は万全の準備のもとリベンジをかけた「パート2」という側面がある。とはいえ前回の対戦から6年が経過し39歳のミトリオン、41歳のネルソンと、キャリア晩年でもうひと花咲かせるべく新天地をベラトールを選んだという意味でも大事な試合となる。
ベラトールが今年肝いりで行っているヘビー級トーナメント、1月の大会でランペイジ・ジャクソンとチェール・ソネンの対戦は、不利との下馬評だったソネンがレスリングテクニックでランペイジを完封、10キロを超えるウェイトさを覆す番狂わせ起こし大きな話題を呼んだ。こちらは共に120キロ近い巨漢同士のぶつかり合いということで、ヘビー級ならではのド迫力の対戦が見られることだろう。
元アメフト出身のアスリート、ミトリオンと、「ビックカントリー」こと野性的なモジャモジャなルックスのネルソン。猪突猛進型のミトリオンに対し打撃と柔術と引き出しも多いネルソン。正面衝突になるか、もしくはグラップリングに持ち込み試合を作るか、戦術次第で、試合の内容も大きく変わってくる。懸念点はネルソンの、UFC時代から抱えて来たスタミナの問題が挙げられる。その点ではここ数戦好調を維持し充実しているミトリオンに分があるだろう。
ミトリオンは、粘り強いせめぎあいからの強烈な打撃一発を狙ってくるネルソンの強固なゲームプランが、よりテイクダウン主体のものに変化していることを警戒している。
ヘビー級ならでは一発で決まる結果も当然ながらあるものの、ベテラン同士の対戦となると体力の温存と、一発をもらわない技術に裏付けされた守りと攻めのバランスなど、よりラウンドの戦い抜く知能も必要とされる。ミトリオンはネルソン戦を「一種のIQテストのようなものと」コメントしている。
一方のネルソンだが自身のキャリアでも初となるリマッチに「最初の勝利はもはや忘れなければならない」と謙虚に語りつつもベラトールでのデビュー戦となるハビー・アヤラ戦の判定決着について「あの試合の収穫は素晴らしいレスリング技術に目覚めたこと。これまで自分は技術を持っていたのに使わなかった。キャンプを重ねてどんどん良くなっている。このトンネルを越えたらタイトルという光があるんだ」とモチベーションの高さを感じさせる発言を連発している。
前回の「ベラトール NYC」でエメリヤーエンコ・ヒョードルを1ラウンドでKO、移籍後2連勝をして円熟期を感じさせるミトリオンと技術的な探求心とともに再始動したネルソン。共に同じTUFの門下生だった2人の拳をあわせた再会に注目したい。