
「将来の夢はありますか?」もし中学生のときそう聞かれていたらハッキリと答えられていただろうか。周りを見渡してみれば、趣味や特技を見つけて「やりたいこと」をはじめる人が出てきて、自分自身もそろそろ将来を決めなければと焦りだす時期だ。
2月24日の京都・神戸を皮切りに、全国で順次公開される映画『神さまの轍-checkpoint of the life-』では、ロードバイクに魅せられた幼なじみの中学生、佐々岡勇利と小川洋介が、そうした進むべき道を見いだしていくというストーリー。数年後、勇利はロードバイクで夢を掴んだものの挫折。一方の洋介はその夢すら見つけられないまま話は展開していく。
今回、この映画でダブル主演をつとめた荒井敦史と岡山天音に、中学時代に描いていた未来予想図を聞いた。
中学生で親に「このままの人生は嫌だ」と訴える

荒井:芸能界に入ったのは中学生のときだったんですが、当時は別に勉強もできるわけじゃないし、サッカー選手になることを諦めた時期でもあったのでモヤモヤしていて、親に「このままの人生じゃ嫌だ」って言ったんですよね。そしたら「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」を教えてくれて、結果的に今の道に進みました。
岡山:中学の時から親にそんな話をするなんてすごいね。僕は当時マンガが好きで、漫画家になりたかったんです。それとドラマ『中学生日記』も好きだったので、オーディションに応募して、撮影に参加したときに「めっちゃ楽しい!」って思って。もっとこの機会を得るためは事務所に所属しなければということで、ここまできました。
でも僕も洋介みたいに、流されていたといえばそうなんですよね。身近にいて、影響を受ける存在でもあった母親が「自分の人生は全部自分で決めていい」と言ってくれる人だったので、そもそも学校とか勉強が好きではなかったのもあって、その言葉に乗ったというか。
岡山天音が「サラリーマンに向いていない」と実感した瞬間

中学生で早くも進むべき道を見つけていた二人だが、もしも役者になっていなかったら、どんな仕事に就いていたと考えるのか。
岡山:小さい頃から、自分はサラリーマンには向いていないだろうなとは思っていました。それを実感したのが、以前工場で日雇いアルバイトをしたとき。そもそも面接とかもないし、ライン作業なので簡単なはずなのに、誰よりもスピードが遅くて劣等感を持っていましたね。漫画家もそうですけど、だから専門性のある珍しい仕事をチョイスしているんじゃないかな。
荒井:自分はやっぱりサッカー選手かなあ。さきほども言ったように、本当になりたかったんです。でも、幼なじみや、対戦したチームの選手がどんどんとスカウトされていくのを見て、勇利のように途中で挫折しました。 でもいま生活していて思うのは、サラリーマンは人としてのすべてが備わっていて、本当にすごいなと。誰かが「芸能界は社会に合わない人たちが来るところだ」って言っていて(笑)。そこまでとは言わないけど「何か変わっている奴」が多いから。
岡山天音が「僕にはできない」と語る荒井敦史の“特技”

近年出演作を増やす二人だが、実は今回が初共演。同世代で、気になる存在だったはずだが、お互いの印象について聞いてみた。
荒井:僕は(岡山)天音のことを一方的に知りまくっていました。同世代の俳優さんの中でも出自が違うというか、僕はD-BOYSというグループで活動することが多かったので、これまで「個」としてやっていることを尊敬していました。
岡山:僕は人見知りで初対面の人と話すのが苦手なんですけど、荒井くんは壁を気にせずコミュニケーションしてくるのがすごいなと。
荒井:壁をぶち壊して土足で入ってきたんでしょ(笑)。
岡山:いやいや(笑)。でもそれだけじゃなくて、ふとした時に陰があったりもするし、いろんな色があって人として魅力的だなと。撮影現場も大人数だったんですが、良い雰囲気づくりを荒井くんがしてくれていました。そのコミュニケーション能力の高さは僕にはないところですね。
荒井:でも、自分も以前は人となるべくコミュニケーションしたくなかったんです。デビュー当時のインタビューで、趣味・特技を全部「寝ることです」って答えていたぐらい(笑)。グループに入って、自分から率先して発言することが求められていたし、メンバーには後輩もいたので「しっかりしなきゃ」と考えるようになったのが大きいのかも。
今回、この『神さまの轍』は京都を舞台とした作品のため、セリフも終始京都弁。関東出身の二人には難しかったのではないだろうか?と聞いたところ…。
荒井:僕は難しかったんですが、天音は本当に自然で、対峙していて「セリフに説得力があるなあ~」と。俺は一生懸命ついていくだけでしたね。
岡山:見る人のハードルが上がるのでやめてください!(笑)
岡山の言う通り、荒井が軽妙な語りで和やかな雰囲気を作り上げていたのが印象的なインタビューだった。

スタイリスト:岡村春輝
ヘアメイク:菅原美和子
テキスト:東田俊介
撮影:岡田誠
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