
25日、東スポ映画大賞の授賞式が都内のホテルで行われ、作品賞・監督賞など5冠に輝いた『アウトレイジ 最終章』の出演者が、21日に急逝した大杉漣さんの早すぎる死を悼んだ。
大杉さんとともに助演男優賞を受賞した大森南朋は「この賞を大杉さんと取れたことを誇りに生きていこうと思います」と挨拶。最期を看取ったという松重豊は「僕が映画デビューしたとき、大杉漣さんに映画の楽しさを手取り足取り教えていただいて、漣さんが世間的にも評価を受け、認知されることになった北野映画に僕も出演することができて、こんな晴れやかな場所に一緒に立てるんですね、という喜びをつい4日ほど前に千葉の海で言いました。本当に残念ですけど、でも湿っぽいことが嫌いな漣さんなので、前を向いて頑張っていきたいと思います」と話し、天井を見上げて「漣さん、これからも日本の映画を、僕たちを見守ってください。ありがとうございました」と締めくくった。
主演男優賞を受賞した西田敏行と塩見三省は、共に闘病生活から復帰した直後の撮影を振り返り、北野監督の暖かい配慮に感謝。そして大杉さんに追悼メッセージを送った。

西田は「これからも世界の北野武として、ますます素晴らしい作品を作り続けていってほしいなと思います。そこにいつも私が…ちょっとキャストの中に入っていればなおさらありがたいなというふうに思います(笑)。ただ惜しむらくは、大杉漣という戦友を失いました。僕にとっては釣りバカにも出ていただいて、楽しげに演じていた思い出があるのでとっても辛いんですけど、あんなに突然に逝ってしまうというのは、今思うと大杉漣さんらしいなと思います。やっぱり人間の死は寿命だと、そう思うようにしないと納得出来ないので、そう考えるようにします。あまりにも早いんですけど、多分、家族や周りに迷惑をかけまいとして一気に逝っちゃったんだろうなって、自分の中で思います。漣ちゃん、すみません。これからはあなたが 出演していた北野作品に、私がそのままスライドすることになるかもしれませんので、よろしくお願いします」とユーモアを交えて大杉さんに語りかけた。

塩見は「"このリアルな身体を見せてやる"って気持ちで撮影に臨みました。身体が動かないから静かにいるっていうことも、この映画で体験しました。それを北野監督が撮ってくださいました。深く深く感謝します。衣装合わせの時の、"じゃあ塩見ちゃんよろしくね"っていう一言から、こんなところまで連れてきてくださいました。今日のこの日を、僕はこれからの人生の中で何度も思い出すと思います。そしてこの一日を糧にして、また俳優というものに、映画というものに近づいて行きたいと思います。監督、そして北野組のスタッフのみなさん、キャストのみなさん、そしてここに俺を立たせてくれた全ての人にお礼を言います。ありがとうございました」と挨拶。会場が拍手に包まれる中、塩見は「大杉!」と語りかけ、「大杉、俺はこんな身体になったけど、もうちょっとやってみるよ。ありがとう!」と、呼びかけた。

同賞の審査委員長として登壇、俳優たちの言葉にじっと耳を傾けていたビートたけしは「俺が自分に表彰してんのが実につらいんだけどね」「俺いらねえけどなあ、かっこわるくて…」と苦笑、司会のガダルカナル・タカに「お決まりのパターンでしょ!」と突っ込まれると、「漣さんは今日は残念ながらいらっしゃらないけれども、やっぱり役者さんがすごくてね。映画って半分は役者なんだなって思う。現場ではもう演出させてくれないくらいの迫力があって、どうぞって言ったら、思った通りやってくれて。ほんと素晴らしくて、ありがたかった。監督の仕事というのは、ちょっと緊張感を持たせて、自由にやらせてるようでちょっと重圧をかけるっていうのが一番にいいのかな。上手い人ほどプレッシャーを感じてくるし、そこを脱皮する瞬間、上手いなあと思う」と、出演したベテラン俳優陣、そして新人賞の金田時男の演技を絶賛していた。




■第27回東スポ映画大賞
▼作品賞 『アウトレイジ 最終章』
▼監督賞 北野武(『アウトレイジ 最終章』)
▼主演男優賞 西田敏行、塩見三省(『アウトレイジ 最終章』)
▼主演女優賞 長澤まさみ(『散歩する侵略者』)
▼助演男優賞 大杉漣、大森南朋、ピエール瀧、松重豊、金田時男(『アウトレイジ 最終章』)
▼助演女優賞 広瀬すず、斉藤由貴(『三度目の殺人』)※是枝裕和監督が代理出席
▼新人賞 金田時男(『アウトレイジ 最終章』)
▼外国作品賞『ラ・ラ・ランド』
この記事の画像一覧

