安倍政権が成長戦略の一つとして成立を目指すのが、IR=統合型リゾート実施法案、いわゆる"カジノ法案"。安倍総理は去年4月、IR推進本部の初会合で「クリーンなカジノを含んだ魅力ある日本型IRを作り上げたい」と述べた。カジノ解禁の最大の旗振り役は安倍総理本人だった。かつてシンガポールを視察した時も「この統合型リゾートは日本の成長戦略の目玉となる。世界から人を呼ぶ」と意欲を見せていた。
 そのシンガポールは10年で観光客数を2.5倍、観光収入を3.4倍にまで増加させた。カジノのVIPルームのチップの最高額は1枚約850万円だ。そのカジノの圧倒的な収益をベースに、国際会議場やショッピングモール、ミュージカルシアターや美術館まで併設した統合型リゾート「IR」を実現した。ただ、アジアには既にマカオ、シンガポールに加えて、フィリピン、カンボジアなどにカジノがあり、過当競争が進んでいる。また、かつてのような勢いを失った中国富裕層がもたらす効果について疑問視する声もある。