春場所七日目、幕下最後の取組で東幕下筆頭の白鷹山が千代の海を押し出して初日から4連勝。早々と勝ち越しを決めたと同時に来場所の新十両をほぼ確実にした。

 山形県白鷹町出身の22歳は県内の中学校を卒業後、2011年五月技量審査場所、15歳で高田川部屋から初土俵を踏んだ。入門前の相撲経験が全くないにもかかわらず、負け越しなしで三段目に昇進するが、入門1年後には右膝の前十字靭帯を断裂して手術。序ノ口まで番付を落としたが、その後は順調に出世を果たし、2016年五月場所は東幕下筆頭まで躍進。しかし、関取目前で糖尿病を患ってしばらく低迷。2度の試練を乗り越え、関取の座を手中に収めようとしている。

 高卒、大卒力士が大半を占めるようになった角界にあって、白鷹山のような中卒力士は今や少数派になった。しかし、輝、竜電に次いで3人目の関取誕生も間近の高田川部屋は、いずれの力士も中学卒業と同時に角界入りした叩き上げだ。“既製品”には敢えて目もくれず、自前で一から相撲をたたき込むのが師匠・高田川親方(元関脇・安芸乃島)の方針だ。

 中学生ですでに注目される選手のほとんどは、高校の強豪校の推薦を受けるのが昨今のご時世。進学する大学へのルートも確保されているケースも少なくないため、“スカウト合戦”で相撲部屋はほぼ勝ち目がないのがほとんど。これを逆手にとって高田川親方では相撲以外のスポーツに打ち込む子供たちに声を掛けている。

 角界では1、2位を争うほど、稽古の厳しさには定評のある高田川部屋。稽古場には5本の鉄砲柱を設えるなど、誰もが強くなれる環境が整っている。

(C)AbemaTV

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