
「商品レビュー」や「ゲームの解説」、体当たりの「やってみた系」動画を配信、今や「子どものなりたい職業」の上位に入る人気を見せるYouTuber。
一方、『日刊SPA!』のアンケート調査では、親世代が「子どもになってほしくない」と思う職業でぶっちぎりの1位となったのがYouTuberだった。街で保護者たちに話を聞くと「この子たちが大きくなる時代を考えると、やはり人を傷つけたりしないという一定のルールを持ちながら、そういう仕事をするのも成り立つのではないかと思う。ある程度のモラルやルールを親として提言はした上で、子どもの表現の自由を守っていきたい」「子どもがなりたいと決めたら、どんな職業に関しても応援するしかないと思っている」と、困惑しながらも応援しようという姿勢が見られた。

保護者たちの間には「安定していない」「今だけの職業だから子どもにはやってほしくない」というイメージもあるが、その活躍の場は広がっている。新発売のメイク道具の紹介や飲食店での企画、さらには京セラがYouTuberを起用した新発売のフライパン紹介を行うなど、国内市場も急成長しているという。トップクラスになれば年収は"億超え"ともいわれ、昨年にはマネジメント業務や動画制作支援などを行うUUUM社がマザーズ上場を果たしている。2017年の国内市場規模は、前年比およそ2.2倍、219億円規模に拡大する見込みで、2022年には、579億円に達するとの予想もある。

ITジャーナリストの三上洋氏は「低年齢層にリーチさせたい商品やサービスの場合、YouTubeを使うことで爆発的に売れることがあるので、多額の広告費を使ってでもYouTuberを起用しようとする。ただ、日本に数万人いると思われるYouTuberのうち、これだけで食べていける人は全国で200~300人くらいしかいない」と話す。

■人気YouTuber、ハードスケジュールも月収は30万円あまり
「やってみた」動画で人気を集め、チャンネル登録者数が約32万人に上るYouTuberグループの「6面ステーション」。メンバーの6面さん、しもDさん、サカナギさんは、中学生だった2011年頃にチャンネルを開設した。両親の反応について6面さんは「ただ遊びでやっているのを見守ってくれていて、いつのまにか稼げるようになったら、”じゃあ続けちゃえば”みたいな感じ」と話す。

昨年8月には"ナイトプール全力水泳動画"で炎上したこともある。お笑い芸人のパックンは、アメリカでの事情について「日本ではそこまでではないが、アメリカでは差別発言などでも稼げるから、それがYouTuberの商法のひとつして成り立っている。反社会的な行動も広まってると思う」と懸念を示す。サカナギさんも「"ラブホテルから出てくる男女にインタビューしたら絶対に断られる説"という企画をやりたかったが、もし浮気などだった場合、誰かを傷つけることになるのでやめた。また、YouTubeが厳しくなっちゃて、安易に視聴回数が稼げるエロ系には広告がつかない。ただ知名度が上がるだけ」と話す。

3人はYouTuberの収入だけで生活をしている。睡眠時間は午前3時から9時まで。正午から午後6時まで撮影を行い、午前3時まで編集や翌日の打ち合わせを行うというハードスケジュールだ。週休は2日、これで3月の月収は30万円あまりだという。ただ、高校生から大学生を主なターゲットとしており、コンタクトレンズのキャンペーンなど、商品とのコラボ経験もあるという。

「もう大学4年生になる。周りが就活を始めて、"俺どうするんだ"となった時に、メンバーで話し合って、これからYouTube1本でやるなら、お互い頑張ってこうと毎日投稿を始めた」と話すサカナギさん。今後について「いずれYouTubeはなくなってしまうと思う。そしたら他の媒体に移っていく。タレント化という感じ」。メンバー全員が就職は考えていないといい、企画やイベント、編集などの道に進んでいきたいとした。
■YouTubeチャンネルを運用する一家や、育成教室も出現
そんな6面ステーションのメンバーだが、自分の子どもをYouTubeに出すと尋ねられると、「僕は嫌。自分が大変なところもわかっているから」(しもDさん)と、少し複雑な思いもあるようだ。
しかし、YouTuberの中には小学生の長女・次女を含む家族6人で出演、チャンネル登録者数は200万人以上、視聴回数は50億回以上の「Kan & Aki’s CHANNEL」や、小学生の女の子を中心に家族4人で出演、チャンネル登録者数が92万人以上の「Princess Hime Suite TV」などが注目を集めている。

さらにはYouTuberになるための技術を教える育成教室「YouTuber Academy」なども存在する。「動画は一生残るもの」「個人情報を守ること」といった情報リテラシーや、アイデアを創造する企画力、被写体としての感情表現方法、iPadやPCを用いた編集技術を教えている。子どもを通わせている保護者たちは「やりたいことをやらせてあげたい」「YouTubeの正しい知識を持って使ってほしい」「人前に立って話す力や自信をつけてほしい」と期待の声が上がる。

YouTubeチャンネル「りんりんTV」を運用する"りんちゃん"は小学校4年生。編集担当の母・sacoさんは「私たち親世代が子どもの頃にはYouTubeが存在しなかったので、理解が薄い部分はあると思う。でも頭ごなしに反対するのではなくて、YouTubeのことを調べてほしい」と話す。「今の時代はインターネットがあって、子どもがやりたいと思ったことは大体なんでもできる。基本的にはあまり反対しないで、やれる範囲でできることを手伝っていこうかなと。YouTubeというツールを通して、将来必要になるネットに関するマナーも学んでいけたらなと。習い事のような感じでやらせている」。収入面は厳しいというが、「YouTubeを通じて、知り合えないような方と出会えたりして得るものも大きい。超絶赤字でなければ、今のところはいいかなと思っている」。

ただ、幼い女の子がネット上に顔を晒すことには心配もあるようで、少しメイクをさせているのだとう。りんちゃんは「職業としてやりたいのではなくて、趣味として自分の好きなようにやっていきたい」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
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