「北朝鮮による完全検証可能、そして不可逆的な方法による核・ミサイルの廃棄の実現に向けて、最大限の圧力を維持していく、そのことを確認していきたいと思います」「拉致問題解決に向かって、前進するよう全力を尽くしていきたい、しっかりとトランプ大統領とすり合わせをしていきたいと考えています」
一方、アメリカにとっての最大のテーマは「貿易問題」だ。トランプ大統領は秋の中間選挙前の得点稼ぎとして、貿易赤字の削減のために数々の要求をしてくるのではないかと見られている。
支持率が低迷する中、日米首脳会談に臨む安倍総理。そこに秘策はあるのだろうか。
17日放送のAbemaTV『AbemaPrime』に出演した手嶋龍一氏は「首脳会談が行われる場所には、いわば"松竹梅"がある。プライベートな別荘に一緒に行って寝食を共にするのが、最も格が高い"松"。"竹"はワシントンから１時間半ほどのところにある郊外の施設。そして非常に実務的な"梅"はホワイトハウスの執務室ということになる。その点で言えば、今回は"松"。２日間、特別なおもてなしだと言える。ただ、歴代大統領はスケジュールが秒刻みだったが、トランプ大統領の予定スカスカで相当自由だったということもある。そして、厚いおもてなしを受けるということは、それによって依頼が断りづらくなる状況になるとも言える」と話す。
また、国際弁護士の湯浅卓氏は、会談前のトランプ大統領のTweetに注目。「気に入らない人にはニックネームを使うが、そうではない。また、普通は"PM"と書くところを"Prime Minister of Japan"とわざわざ書いているのは、それだけ関係が良好ということ」と指摘する。その上で、「トランプはめちゃめちゃ元気だが、出発前の安倍さんの表情や日本のメディアの反応を見ると、客観的には楽観できるわけではない。森友・加計問題もあるから、安倍さんとしてはアメリカに行って笑顔で迎えてもらえてもらいたい。トランプ大統領も人間味があるので、それをよくわかっていて、"よく来たな"と歓迎するだろう。ただ、同じくフロリダで会談中に習近平主席がシリア攻撃を突きつけられて震え上がったように、何かサプライズがあってもおかしくはない。また、貿易問題ではトランプのお気に召すようなものを出せるか。フロリダは選挙で揺れる"スイング・ステート"の一つなので、フロリダ州にも有利だよというパッケージを安倍さんが用意して行ったかどうかだ」と話した。
注目の北朝鮮情勢について手嶋氏は「金正恩委員長は中国に対し"北朝鮮の非核化"ではなく、"朝鮮半島の非核化"という表現をした。つまり、韓国も含むことになる。一般論として、アメリカの戦術核は韓国から撤去していることになっているが、アメリカに"本当に韓国に核は無いのですか"と尋ねたら、トランプ大統領であっても一切答えないはずだ。有事の場合は核を持ち込むこともあるし、今すでに持ち込んでいるのかもしれない。北朝鮮はそこに踏み込んできているということ。来るべき米朝首脳会談で"韓国に核は配備しません"とは口が裂けてもいえない。妥協するわけにはいかないが、非核化が前に進まなくなる可能性もある。実に巧みに攻め込んできている」と説明。「アメリカ自身の核、空母機動部隊、そして沖縄を中心とした在日米軍基地、日米安保体制が圧力の源泉だし、完全な非核化を勝ち取るための礎。だから両首脳の息がピッタリ合っていなければいけない。苦境の安倍総理が外交で打開、と思う気持ちもわかるが、こうういうときこそ、淡々と堂々とした外交をするのがポイントだ」と指摘した。
湯浅氏は「北朝鮮の策に、トランプは人事で対抗してきている。新たに就任した強硬派のボルトン大統領補佐官は"北朝鮮への先制攻撃は合法だ"とはっきり言っている人物。これがトランプ戦略だ。北朝鮮への核の横流しをがんじがらめにしてこそ、拉致問題も解決に導ける」とコメントした。（AbemaTV／『AbemaPrime』より）
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