
アフリカ大陸の南部に位置し、雄大な自然に囲まれるスワジランド。日本とは1971年に外交関係を樹立した。ただ日本国内に大使館はなく、在マレーシアの大使館が日本を管轄しているという。日本側も在南アフリカ大使館が兼ねている。外務省によると人口は134万人、面積は1.7万平方キロメートルと、日本の四国よりもやや小さい。言語は英語とスワティ語だ。

スワジランドは台湾を国として外交関係を結ぶ数少ない国の一つでもある。17日には台湾の蔡英文総統が独立50周年を祝う式典に参加するために同国を訪問。空港では色鮮やかな衣装に身を包んだ女性たちがダンスで出迎えた。共同声明の調印式で国王のムスワティ3世は「台湾が国際社会に参加するための支援とロビー活動を維持し、再確認したい」と述べた。

19日、そのムスワティ3世が、独立50周年と自身の誕生日を祝う式典で「スワジランドが元の名前に戻ることを発表する」「英語ではなくスワティ語の名前に」とし、国名を"スワジの地"を意味する「エスワティニ」に変更することを宣言した。国名変更の事例としては、キルギスタンがキルギス、ビルマがミャンマー、ローデシアがジンバブエといった例がある。2015年には、グルジアがジョージアに呼び方を変更した。
今回の国名変更の背景については、スワジランド・「Swaziland」とスイス・「Switzerland」が似ているためにスイスと間違えられるからだという理由もあるが、立命館大学国際関係学部の白戸圭一教授は「ガス抜きだった」と指摘する。

スワジランドは1968年にイギリスから独立した数少ない絶対王政国家で、ムスワティ3世は1986年に18歳で即位、一夫多妻制のため、妻は13人とも14人とも言われている。経済的に依存する南アフリカ共和国がゼロ成長を続けていることから、スワジランドの経済状況も停滞、失業率は25%に上る。その一方、ムスワティ3世は浪費家として知られており、6年前の誕生日には"国民からのプレゼント"として自家用ジェット機を贈られている。つまり、今回の国名変更は、現地語に復することでのナショナリズムの高揚を狙ったものという見方ができるのだ。
ナショナリズムによる求心力回復策は、果たして功を奏するのだろうか…?(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


