
世界が注目した南北首脳会談の結果、両国は5月1日から軍事境界線付近での拡声器放送とビラ散布を含むすべての敵対行為を取りやめるという内容を含む共同宣言に署名した。
元山梨学院大学教授で宮塚コリア研究所代表の宮塚利雄氏は、そうしたビラを含む"北朝鮮グッズ"を30年にわたって3000点以上収集、人々の暮らしや思いをグッズから読み解こうとしてきた。山梨県甲府市にある研究所を尋ねると、2月の平昌オリンピックで北朝鮮の美女応援団が振っていたものだという旗が出迎えた。

「北朝鮮を研究する人には文書などの資料から見る人がいるが、私の場合はモノから。人間は嘘をつくけれど、モノは嘘をつかない。工業技術水準や北朝鮮の人々の好みが見える」と話す。そんな宮塚氏が北朝鮮の庶民の生活に欠かせないというのが、「酒、タバコ、滋養強壮剤」だ。「北朝鮮の人は自由にものを言えない。男性も女性も大人も子供もそうだが娯楽が少ない。そうすると、自分が生きていくためにお酒を飲むし、よくタバコを吸う。そしてなぜか知らないけれど、滋養強壮剤の薬類がたくさんある」。

コレクションには、朝鮮戦争時の共産主義を批判したビラや中国語と英語で書かれたビラなど、多くの種類があった。今回の宣言に散布の中止が盛り込まれたビラについて「韓国と北朝鮮は未だに休戦状態。だからいつ戦争が起きるかわからない。それでお互いに相手の国を批判したり、誹謗中傷したりするのにビラを使う」。かつて韓国では北朝鮮から飛んできたビラを持つことは許されなかったといい、「北朝鮮の不穏な宣伝物はこの収納箱に入れてください。お願いします」という箱も置かれていたという。宮塚氏はその箱も所有している。「文在寅政権は非常に北に好意的な政権。だから北は韓国にビラを飛ばすことが必要なくなってきた。そうすると、こういう箱も必要なくなるので、競売にかけられていた」。


宮塚氏は今回の南北首脳会談の映像を見て「金正恩委員長が軍事境界線を渡ってきた時、韓国の文在寅大統領のネクタイの色が統一旗と同じ水色だった。そこまで神経を使って、平和とか統一について金正恩委員長に示した。グッズから見ても、韓国側はかなり気を使っていることがわかった」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)




