作家・石田衣良によるベストセラー小説を、2016年の舞台版と同じく松坂桃李×三浦大輔のコンビで映画化した『娼年』のGWトークイベントPart 1「リョウを買った女たち」ナイトが行われ、三浦大輔監督と、松坂桃李演じる娼夫のリョウを買う女性を演じた荻野友里、佐々木心音、大谷麻衣が登壇。来場者とのQ&Aが開始された。

 まずは、激しい濡れ場の撮影での大変だった、面白かったなどのエピソードを尋ねられると、西岡德馬(泉川氏)の妻・紀子役を演じ松坂桃李と3人での場面が大反響をよんでいる佐々木心音が答えた。「(私の濡れ場が)一番激しいですよね。西岡德馬さんが“格闘技のような”とおっしゃったように大変と言えば大変でしたが、それよりもはたから見ていて西岡さんと李くんの最後のところですね(笑)。なかなか狙った通りにいかず10回くらいやっていたかな」。主婦役の荻野友里は、佐々木と大谷のシーンを観て、「どう撮っているんだろうと逆に聞きたくなりました」。リョウの初めての客・ヒロミを演じた大谷麻衣は「いろいろと隠さなくてはいけない大変さですね。体を回転させるのに、逆だと見えてしまうのでこちらからと言われていたのに間違えてしまい、『段取りを守らないな……』と三浦監督に怒られました」。

 撮り方にはそれぞれのシーンごとにこだわりがあったそうで、「最初の咲良とのシーンは、カットをしっかり決めてひとつひとつの行為を丁寧に撮り、ヒロミとのシーンは表情を追ってリョウの心情の変化を描き、泉川夫妻ではあまりカットを割らずに一連の動作で魅せて、主婦との場面は行為自体に重きを置くというよりは彼女の感情に寄り添うようにしました。やみくもに撮っているわけではないです(笑)」と三浦監督は説明した。

 「私しか知らないリョウくん、私しか知らない松坂さんというエピソードはありますか?」という質問に、それぞれ1日くらいしか撮影日がなかったことも明かされたが、荻野は「人見知りの私に合わせてくれて、ワーッと話すのではなく一緒にいてくれるという感じで接してくださったのが印象的でした」。佐々木は「西岡さんと桃李くんとずっと3人一緒だったのですが、西岡さんのお話を桃李くんはずーっと真剣に聞いていて、本当にいい方なんだなと。表裏無く、いつも真剣で。」と振り返った。大谷は「私の控え室が撮影場所から遠いことを知った松坂さんが、(より近いところにある)自分の控え室で休憩したらと言ってくれました。実年齢は1歳差ですが、松坂さんはお兄さん、いや、お父さんのような寛大さがある方でした」。三浦監督は松坂と飲みに行ったときの話で、「付き合いも長いし、もう1歩踏み込もうと思って、『家行っていい?』と思い切って女性を口説く感じで聞くと、速攻『ダメです』と断られました。そこの一線は守るんだ。貞操観念が強い女性のような。」と笑った。

 「濡れ場を演じているとき、どのような気持ちでしたか?」というストレートな問いに、撮影現場では役に合わせて相手の方を好きになってしまうという佐々木は、「今回は、夫婦として西岡さんを愛しているからこその激しさ、見られている羞恥心を感じていたと思います」とコメント。大谷は「役者としてこの瞬間は今しかないので、いい作品に出合えて何か持って帰らないのはもったいないと、楽しいー!と思ってやっていました」。三浦監督が、「段取りは僕がつけて、そこに気持ちを入れていくのですが、松坂くんが本当の感情でぶつかっていくので、すごく導いてくれたと思います。女優さんたちは委ねればよかったのかなと。本気できてくれるのでそれに乗ってできたんだなと。濡れ場は女性もですが、男性も大変だったと思います。」と松坂をねぎらうと、女優もうなずいた。


ストーリー

 主人公の森中領(もりなかりょう)は東京の名門大学生。日々の生活や女性との関係に退屈し、バーでのバイトに明け暮れる無気力な生活を送っている。ある日、領の中学校の同級生で、ホストクラブに勤める田嶋進也(たじましんや)が、美しい女性をバーに連れてきた。女性の名前は御堂静香(みどうしずか)。「女なんてつまんないよ」という領に静香は“情熱の試験“を受けさせる。それは、静香が手がけるボーイズクラブ、「Le Club Passion」に入るための試験であった。 入店を決意した領は、その翌日に静香の元を訪れ、娼夫「リョウ」として仕事を始める。最初こそ戸惑ったが、娼夫として仕事をしていくなかで、女性ひとりひとりの中に隠されている欲望の不思議さや奥深さに気づき、心惹かれ、やりがいを見つけていく。

(C)石田衣良/集英社 2017映画『娼年』製作委員会 

映画『娼年』公式サイト
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映画『娼年』公式サイト。多くの女性が共感した石田衣良の同名小説を、監督:三浦大輔 ×主演:松坂桃李で完全映画化!大ヒット上映中!
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