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(打撃、投げなどあらゆる技がパワフルだった入江)

(C)DDTプロレスリング

昨年3月の戴冠以来、1年以上DDTの頂点に君臨、KO-D無差別級王座を保持してきた竹下幸之介が、ついに敗れた。

4月29日の後楽園ホール大会。12度目の防衛戦となる竹下に挑戦したのは入江茂弘だ。入江は2013年に同王座の最多防衛記録を樹立しているが、その記録を昨年、更新したのが竹下。2人は大阪プロレスのプロレス教室に通った少年時代からという旧知の仲。いわば運命の対決である。

また竹下と入江は、2015年にDDT総選挙の結果を受けてのマッチメイクにより、アンダーボーイズとして後楽園大会のダークマッチ(本戦前の前座試合)で対戦している。この試合は竹下にとっても入江にとっても忘れられないものになった。リングで見せている試合内容には自信があっても、ファンからの評価につながらない。その悔しさと不甲斐なさは、レスラーとしての大きな経験だった。

そして今回、ダークマッチの“続き”がメインイベントで、タイトルマッチとして行なわれることになった。ただし、現在の竹下と入江は敵対する立場だ。王者と挑戦者というだけではない。常にDDTの中心で団体を盛り上げ、守ってきた竹下。一方の入江は自分を高めるために頻繁に海外で試合を行ない、DDTからは離れていた。今年はアメリカのレスリングスクールで自分を鍛え直したという。アメリカで“個”としての強さを重視するようになった入江はDDTに窮屈さを感じるようにもなったようだ。

DDTを守ってきた竹下に対し、「DDTをぶっ壊す」と宣言してタイトルマッチに挑んだ入江。試合は序盤からパワー勝負となり、竹下はエプロンでのバックドロップ、コーナー最上段からのブレーンバスターも。入江は大技だけでなくラリアットやエルボーといったシンプルな打撃で王者を追い込む。入江は竹下の必殺技であるジャーマンスープレックスでのフィニッシュを阻止すると、前方回転しながら全体重を相手にぶつけるキャノンボールをコーナー最上段から投下。そこから渾身のビーストボンバーへとつなげて3カウントを奪った。入江は実に4年8ヵ月ぶりの王座奪取だ。

一騎打ちが終わったところで、ようやく2人の関係は元に戻ったのか。竹下は昨年春から巻き続けたベルトを入江の肩にかけて退場。そんな竹下に、入江は「幸之介、本当に素晴らしいチャンピオンだった。アンダーボーイズがこのベルトをかけて、メインで闘えたのが嬉しいよ」と声をかけた。

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(勝者・入江にベルトを渡してリングを降りた竹下。“身軽”になった前王者の動きにも注目だ)

(C)DDTプロレスリング

「これからDDTを変えていく。昔のように自由なDDTにしたい。このベルトを持って海外にも行きたい」という入江。初防衛戦の相手には、かつて同じユニットだった石井慧介が立ち上がった。

入江vs石井もまた、ドラマ性がある対決だ。しかし、王者に求められるのはDDTを引っ張るためのビジョンを試合や言葉で示すこと。“DDTの王者だから入江は凄い”ではなく“入江が王者だからDDTは凄い”とファンに感じさせること。それが新王者の使命だろう。

文・橋本宗洋

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