現在76億人が暮らす地球。日本では人口減少が叫ばれる一方、世界では人口は増加の一途を辿り、2050年には97億人、2100年には111億人になると予想されている。それに伴って直面するとみられるのが食料危機だ。そこで国連食糧農業機関がウルトラCとも言える解決策を発表した。カギを握るのは、昆虫だ。
昆虫食の科学的な研究や普及活動を行うNPO法人「食用昆虫科学研究会」の佐伯真二理事長は、クロオオアリ、デュビアなどを"食べるため"に育てている。
「2013年の国連食糧農業機関（FAO）の報告書が契機になった。昆虫を食べる文化がほとんどないヨーロッパの人たちも昆虫食を見直している。温室効果ガスを出しにくい家畜だということでも注目されている」と話す。栄養価が高く、環境にもやさしいことが、国連食糧農業機関が昆虫食を推奨した理由だ。昆虫にはビタミン、ミネラルが豊富に含まれ、高タンパクで栄養豊富な食材なのだ。さらに家畜などよりも少ないスペースで育てることができるメリットもある。牛の肉を１kg増やすために10kgのエサが必要なのに対し、コオロギなら1.7kgのエサで済む。すでにアメリカではコオロギ入りのプロテインバーがセレブの間で大人気だという。ヨーロッパなどでは昆虫食のスタートアップ企業が続々と生まれているという。
佐伯氏の案内で、タイの食材を輸入・販売している「アジアスーパーストアー」（東京・新大久保）を訪ねると、店内にはタガメやアリの卵の缶詰が。タイでは昆虫が郷土料理として親しまれており、とりわけ東北部は世界的な昆虫食スポットだという。
さらに「昆虫食パーティー」を覗いてみると、そこには女性たちの姿も。「昆虫趣味の男女比は９：１くらいの割合だが、"昆虫食趣味"となると男女比は半々くらいになる」（佐伯氏）。
会場を提供する家主の内山昭一・昆虫料理研究会代表は、部屋の中で８種類の昆虫を"養殖"している。この日、参加者に振る舞われたのはラオスの家庭料理「チェオ」だ。まず素揚げにしたタガメと唐辛子を磨り潰し、グリルで焼いた玉ねぎ・ライム・生姜を混ぜ、砂糖、塩、こしょうで味を整えて完成だ。さわやかな辛さとタガメの風味がマッチする一品だという。
また、デュビアの炒め物、コオロギ、バッタを使った炒め物、オオクロアリとツムギアリの卵を使った昆虫サラダなど、５種類の"フルコース"だ。参加者からは「昆虫の微妙な弾力感がうまい」「コブミカンの香りがふわっとして、肉厚なバッタのカリカリいい感じの合わせ」「タガメの香りが後からする。おいしい」と絶賛の声が聞こえてきた。
昆虫食パーティーメンバーたちはレシピ開発も行っており、エリサンの幼虫をトッピングしたカレー、トノサマバッタのピザなど新たな可能性を探っているという。
昆虫食の今後について佐伯氏は「ラオスの人たちは昆虫学者ではなくても、ここの昆虫をこの時期にたべるとおいしいといった知識を持っている。昆虫を養殖する技術を開発して、ラオス国内で栄養不良に陥っている地域の改善、低身長、低体重の緩和を目指すプロジェクトを進めている」と話す。
また、食用昆虫学者の水野壮氏は「昆虫市場への投資はこれから増えていくと予想されている。また、食用に昆虫を品種改良するのも新しい分野だ。養殖も盛んになってきており、今後は家畜化する。また、キノコ狩りとかイチゴ狩りのように、野生の昆虫を楽しむ分野も出てくる」と今後の見通しを述べた。
スタジオではカイコ、コオロギ、タガメなど、昆虫の姿そのままの料理をREINA、パックン、宮澤エマらが躊躇しながらも次々に試食。「美味しい」「普通」「食べられる」とコメント。水野氏は、見た目（デザイン）で抵抗感を減らす工夫も研究されていると話していた。（AbemaTV／『AbemaPrime』より）
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