(試合後にNEO美威獅鬼軍加入を直訴(というにはあまりにも軽くお願い)した上福。(見習い)扱いに喜びのハイタッチも戸惑う美軍)
赤井沙希の友人としても知られる沙希様(様までがリングネーム)率いる人気ユニット・NEO美威獅鬼軍(びいしきぐん)が新たな展開を迎えた。
東京女子プロレスの大一番、5.3後楽園ホール大会ではTOKYOプリンセスタッグ王座を失った「美軍」は、その2日後、5月5日の板橋大会で再始動。優宇&ヒカリと対戦した。
タッグパートナーのアズサ・クリスティは王座陥落に取り乱したものの、沙希様は泰然自若。「これからも強く、気高く、美しく」と美軍のモットーを口にしていた。まさにその言葉通り、板橋大会ではプロレスとアイドルの二刀流に励むアップアップガールズ(プロレス)・ヒカリの奮闘を引き出すかのような懐の深い闘いぶり。最後は三角絞めからベルサイユ式フットチョークへと連携して快勝している。
(5.5板橋大会、得意のフットチョークでフィニッシュした沙希様)
試合後、あらためてアズサに「(ベルトを失ったことは)この宇宙から見ればちっぽけなこと」と沙希様。屋内会場、かつ昼間の大会だったが「見て、星がきれいよ」と2人で夜空を見つめ、リング上は美軍らしいロマンチックな雰囲気に。
と、そこへ入ってきたのが“ハッピーパリピ”上福ゆき。昨年8月にデビューした新人でモデル、グラビア活動も行なっている上福は、まだ未勝利ながら“誰でもタメ口”“得意技は目突き”“髪を掴まれると英語で激怒”といったクセの強いファイトスタイルで観客を楽しませてきた。
(アズサとの連携も絶好調。王座陥落も変わらぬ強さ、気高さ。美しさを見せた)
デビューから半年以上が経ち、ここでもう一段階レベルアップするにはどうすればいいのかとファンも考えていたところに、上福が選んだのは美軍入りだった。沙希様とアズサを「めっちゃイケてるしスタイルいいし、可愛いし、歯並びいいし髪色いいし最高じゃん」と自分なりに褒め称えたかみーゆこと上福は「美軍、ワンチャン入りたいんだけど。おね!」。
美軍はマット界屈指のお上品ユニットだけに、アズサは「無礼者!」と激怒。しかし沙希様は「面白いじゃない」ということで「NEO美威獅鬼軍(見習い)」として、次回の試合を入団テストとする模様だ。
バックステージでも「サキリン(沙希様のこと)は友だちいないなって思ってて。ゆきなら仲良くなれるから。強いしカッコいいし可愛いし」とマイペースな上福。沙希様も後半部分に関しては「間違ってはいないわね」と認めている。また沙希様は「いつもフルコースを食べていると牛丼も食べたくなるもの」、「クサヤみたいなものかもしれなくってよ」という見解も示した。
ここでも懐の深さを発揮した沙希様。実際、キャラはともかく長身の上福はビジュアル的にも沙希様に匹敵する存在になる可能性はある。上福は沙希様のもとで“楽しさ”だけではないプロレスの厳しさ、哲学や美学も学んでいくことになるだろう。
“強く気高く美しいパリピ”が誕生するのか。そして敬語を覚えることはできるのか。まずは次回大会のマッチメイクが気になるところだ。
文・橋本宗洋