８日、希望の党、民進党の元議員が参加し結党した新党「国民民主党」が誕生した。源流となる民主党の基盤を引き継いで結成されたというが、かつて政権を担った時期の幹部の姿はなく、立憲民主党など、他党へ流れていった議員も少なくない。
同日夜のAbemaTV『AbemaPrime』に出演した国民民主党の原口一博・代表代行は「枝野さんが厳しい中で立憲民主党を立ち上げてくれたことは大きい。一方で、穏健保守からリベラルまでを包摂する政党はない。連休中、地元で"依存と分配じゃなく、税金の使い途や特殊法人を追及していた、あの民主党を作ってくれ"という声を聴いた。もう一度、政権交代ができるかどうか崖っぷちだと思っている」と話す。
そして、民進党との違いについては「民主党、民進党の21年間の政策の積み上げ、スタッフや基盤は同じ。ただ、今まで中央集権型の"縦型リーダーシップ"だったのを、地域の声をしっかりと汲む"横型リーダーシップ"へと改革した。さらに、自民党の良さでもある総務会を設置し、ガバナンス改革をした」と説明した。
希望の党から参画した泉健太・国対委員長は「希望の党は地方議員ゼロ、党員・サポーターゼロという状態だった。そこで衆議院議員がほとんどいなくなってしまった民進党と一緒になることで、本格国民政党になった。また、国民民主党では、かつての"与野党激突型"を経験していないメンバーが主流になって、今の時代に合った政治をやろうとしている。与党を引きずり下ろすことを画策するだけでは評価されないことも肌で感じている。提案もするし、与党と協力して良い法律を作ることが国民のためになる。基本的に審議拒否はしないし、立憲民主党と自民党がガチンコ勝負になって国会がなかなか動かないときには解決策を出していく」とした。
綱領では「穏健保守からリベラルまでを包摂する中道改革政党をつくる」と宣言。基本政策では憲法改正について「9条に自衛隊を明記することを認めない」とし、安保法の「違憲部分を白紙撤回」という従来の民進党の主張を取り入れた。また、原発については「2030年代ゼロ」を目指すとし、結党大会で了承された。ただ、民進党と希望の党の意見の違いも乗り越えての離合集散を、有権者にどう説明するのだろうか。
泉氏は「今回の希望の党の顛末はみなさんにはお詫びしないといけない。しかし前原さんが"名を捨て実をとる"と言って、全員で満場一致で行くことを決めたので、僕らは"先に行く"という感覚だった。小池都知事がいなくなり、玉木代表になってからは"運転停止の状態"に入っていく過程で、売り出していくというよりは、次の段階に進んでいくという感じになっていた」と説明した。
原口氏も「あの時に目の前にあったのは立憲主義の危機。だからといってコアがどこにあるか分からない希望の党と一緒になったのは痛恨のミスだった。その反省を持って、地道に足元を固めていかないと、という総括からできたのが国民民主党だ」と語った。
■基本政策は「ABC政策」とは？
そんな原口氏は、国民民主党は「政策で見せていく」と話す。基本政策は「ABC政策」と呼ばれており、「A」はAI（人工知能）を通して第４次産業革命に取り組む。「B」はBI（ベーシックインカム）による、長寿時代における安心社会の仕組み作りだ。「C」はCI（コミュニティーインディペンデンス）で、地域コミュニティーの自立に取り組むという。
原口氏は「I情報通信で生産性を上げる。AIやあるいはブロックチェーンの技術で、日本を飛躍させる。ベーシックインカムは、競争してこぼれた人たちが路頭に迷うのではなくて、みんなが安心できる社会の仕組みをつくり、人間の尊厳を保障する。CIは、なんでもかんでも東京でやるのではなくて、地域社会を自立させるという政策だ」と説明。
泉氏は「例えばセグウェイは日本の街中では走れない。いい技術があるのに規制がちょっと多すぎないか、ということも含めて変えていかないといけないと思う。また、東京・大阪を中心に周りが栄えるのももちろんだが、地方にはいっぱい観光資源になるものもたくさんあるし、それぞれが自らの戦略で価値を発揮すれば、もっと日本は栄えていくと思う」と話した。
スタジオで両氏の話を聴いていた元大王製紙社長の井川意高氏は「私も自民党を積極的に支持しているわけではないし、もう少し野党に頑張ってほしいし、実績を見せてもらいたい。厳しい言い方をするが、どうしても言葉が軽く聞こえる。ABCも語呂合わせで、学園祭のスローガンみたいだ。私には20～25歳の子どもが３人いるが、この子らの20年、30年後をちゃんと託せる政党になってほしい」と注文をつけた。（AbemaTV／『AbemaPrime』より）
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