AbemaTVで放送中の人生逆転リアリティーショウ「リアルカイジGP」で、賞金1億円を目指した人数、実に約3万5000人。参加動機は借金返済から投資、親孝行などさまざまだが、クラウドファンディングでも成立しそうな夢を掲げる男がいた。はるばる岩手県から東京予選に参加した佐藤直樹さん(Twitterアカウント@x_3_B) だ。
まだ大学生の佐藤さんが志すのは「ぼっちの多い料理店」だ。一見、「注文の多い料理店」のパロディのようだが、その内容は真剣そのもので、社会問題をクリアしようというものだ。「ぼっち(1人ぼっち)以外立ち入り禁止というコンセプトの飲食店です。引きこもりの方や他人との対話になれていない方でも集まりやすいような、温かいコミュニケーションの場を提供したいです。家庭や学校、職場に居場所がないけれど、別の場所に人とのつながりが欲しいというニーズにも応えられたらなと思います」と、熱い思いを語った。
現代のコミュニケーションといえば、SNSに代表されるように、お互いの顔が見えないままのネット空間が増えているが、医学部の佐藤さんは「リアルなコミュニケーションも人間にとって、自然界の生物にとって必要なものではないかと感じています」という。実際には心優しく、でもふとした理由や経験地のなさから、新しい人間関係を持つ機会を逃してしまう人は少なくない。仕事、介護、恋愛、LGBTなど、人により悩みもさまざま。「敷居の低い雰囲気を作るというのが理想です。孤独というのは活動性の低下、過食や生活習慣病、精神疾患につながっていくのではないでしょうか。医療費の削減や医療現場の疲弊を抑止するためにも、病人を減らす必要があると考えています」と、医学生らしく増え続ける日本の医療費についても考えをめぐらせている。
最近では、母親が仕事で遅く、子どもが1人寂しく食事をすることがないようにと、各地で「子ども食堂」が増えている現状もある。過酷なチャレンジをクリアし、1億円で日本の孤独を減らそうという佐藤さん。もし途中で脱落しても、クラウドファンディングで呼びかければ、それなりの額は集まるのではないか。そう思わせる夢だ。
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