毎年春の恒例野外音楽イベント「METROCK」こと「METROPOLITAN ROCK FESTIVAL」が今年も開催される。
イベントは昨年に引き続き、大阪と東京で開催。5月19~20日に大阪・海とのふれあい広場、5月26~27日に東京・若洲公園にて行われ、この模様がAbemaTVで独占生中継される。
これを記念しAbemaTIMESでは「METROCK」の事業責任者を務めるテレビ朝日・長澤剛史氏、「METROCK」プロデューサーの舘智有里氏に取材を敢行。今年6年目を迎える「METROCK」がスタートしたきっかけや、制作側から見たイベントの魅力など話を聞いた。加えて、中継MCを担当する弘中綾香アナウンサーにも登場してもらい、自身のフェス体験や意気込みなどざっくばらんに語ってもらった。
取材:中山洋平
撮影:小原泰広
FUJIROCKで飲みながら「やろう、やろう!」
--「METROCK」がスタートしたきっかけを教えてください。
長澤:僕と「ミュージックステーション」のプロデューサーがテレビ朝日の「ドリームフェスティバル」っていうイベントをやっていたんです。それはどちらかと言うとJ-POP…というか、頻繁にテレビに出演しているアーティストに寄ったイベントです。そうした中でそのプロデューサーと「ロックバンドを集めたイベントもやりたいね」という話を、FUJI ROCK FESTIVALの会場で飲みながらして、「やろう、やろう!」となったその翌日から、すぐに実現に向けて動き出しました。
--バンドサウンドがお好きだったんでしょうか?
長澤:そうですね。プロデューサーの彼もそうでした。ですので、ロックミュージックに振り切ったイベントをやりたかったんです。
--過去開催に比べて、今年の「METROCK」で進化していると自負する部分は?
長澤:進化とはまたちょっと違うのかも知れないんですけど。アーティストさんのブッキング云々ではなく、イベントの名前だけでチケットが売れるようになってきた事は大きな変化かなって気がしますね。
--「METROCK」というブランドの信頼度が上がってきたというか。
長澤:そうですね。世間に定着してきたんだと思います。大阪開催は今年で3回目なんですけど、去年より2日間で5,000人くらい入場者数が増える見込みです。イベントとしてパワーがついてきたのを肌で感じます。
--今年も販売されたチケットのほとんどがソールドアウト。およそ8万人を動員するフェスを運営する上で、気をつけている事ってなんですか?
長澤:これに関しては1年目からなんですけれど、とにかくお客さんにストレスを感じさせない事ですね。トイレの数だとか、駅から会場までに行くバスの台数だとか、そういう所はすごく気を使っています。トイレの大行列って参加者にとってすごくストレスを感じる部分だと思うんですよ。「快適なイベントを作る」っていうのは、スタッフ全員が意識しながらやっている事です。
--なるほど。
長澤:それはアーティストが過ごすバックステージについても、です。お客さんはお客さんで、快適にイベントを楽しんで欲しいですし、アーティストさんにも「このイベント、環境いいよね」って思ってもらえるように、万全のホスピタリティで迎えているつもりです。
初心者から、音楽イベントのプロみたいな人まで楽しめるように
--「METROCK」の魅力とは?
舘:「METROCK」ってたくさんの大規模な音楽イベントがある中で、圧倒的にほかと違う点は”近い”って事なんですよ。最寄りの駅からシャトルバスに乗ればすぐ会場に着きますし、東京は23区内(江東区)での開催です。なので「フェス行った事ないよ」とか「興味あるけどフェスってなんか怖い」っていう人にぜひ来ていただきたいですね。
--ビギナーにピッタリというか。
舘:もちろん初心者から、イベントのプロみたいな人まで楽しめるような空間作りを心がけていますけどね。誰もが知ってるアーティストさんからコアな音楽を聞いている方が支持するミュージシャンまで、ご出演いただいています。
--運営側から見た、注目ポイントはどこでしょう?
舘:「NEW BEAT SQUARE」(「METROCK」の中で1番小さいキャパのステージ)に出ていただくアーティストさんが今後”大バンド”みたいになっていくのを見届けたいというか。ぜひお客さんにも「NEW BEAT SQUARE」に注目していただきたいですね。
長澤:「METROCK」って「NEW BEAT SQUARE」で入場規制をかけたアーティストは翌年、もう1つ大きいステージへの出演をお願いするというローカルルールがあるんですよ。
泣いていましたっけ、私?
--弘中さんは地上波の老舗音楽番組「ミュージックステーション」のサブMCも担当されています。就任した当初の思い出はありますか?
弘中:何も解らない頃から舘さんとずっと一緒に「Mステ」をやっていて、すべて舘さんに教えていただいたんですよ。※舘氏は弘中アナが「Mステ」サブMC就任当時、同番組のスタッフだった。
舘:弘中、初回放送の時、泣いてたもんね。
弘中:えっ。泣いていましたっけ、私?
舘:うん。最後のアーティスト紹介だかの尺が収まりきらなくて、泣いてて。「かわいいなぁ、頑張ってるなぁ」って思ったけど、段々とふてぶてしくなっていって(笑)、今じゃもう泣かないもんね。
弘中:あははは(笑)。ケロッとしていますからね。
--ある種、成長を感じるというか。
舘:うん、成長ですよね。今じゃ「弘中さんに任せておけば」みたいな雰囲気も局内にあるし。
--自分の成長を感じる瞬間はどんな時ですか?
弘中:まぁもう4年もやっているんでね…。
舘:(弘中の話を遮るように)最初は猫被っていたからね。
弘中:違いますよ(笑)! 最初はなかなか慣れなくって、いっぱいいっぱいだったんですけど、最近は周りを見られるようになったので落ち着いたっていうだけ。それだけです(笑)。
舘:素が出てきたよね。
弘中:そうですか?
舘:うん、良い意味でね。
レキシが好きで稲穂を振ってます
--これまで「Mステ」出演者の生パフォーマンスを観て強烈に印象に残っているアーティストは?
弘中:みなさん、もちろんすごいんですけど。私、宇多田ヒカルさんがすごく好きで。「ウルトラFES」に出演して頂いた時に、空気が変わった印象を受けましたね。私はその1度きりしかお会いしていないんですけど、活動休止をされていて、「出演できるか、できないか」みたいな中で、復帰後初パフォーマンスの場が「ウルトラFES」でした。そこに立ち会えたのはうれしかったですね。
--プライベートでイベントに訪れる事はあります?
弘中:「Mステ」に携わるようになって、行くようになりました。「VIVA LA ROCK」とか「ROCK IN JAPAN」にもプライベートで行きましたよ。友達にフェス好きな子が多くて、誘ってもらって行ったり。
--よく観る、好きなアーティストは?
弘中:レキシが好きです。客席で稲穂を振っています。ふふ(笑)
※レキシのオーディエンスはライブ中、グッズの稲穂を振るのが恒例。
アーティストさんの知られざる一面を引き出せたら
--AbemaTVで「METROCK」中継をスタートさせて今年で3回目になります。
舘:「METROCK」って数あるメジャーな音楽イベントの中でもそこまでキャパが大きくない方だと思うんですよ。東京公演なんかは早々に完売しちゃうんで、残念ながら来られない人も観る事ができるし、東京に足を運べないっていう人も無料で楽しむ事ができるのは良いですよね。
長澤:初回の時は大変でしたね。1年目はAbemaTVが出来ていない時に企画がスタートして、開局して1ヶ月目くらいのタイミングで「METROCK」が開催されました。まだAbemaTVが観られない時に、企画書のみで各アーティストさんや事務所に説明してっていう(笑)。
舘:そうそう。こっちもあまり状況が解ってない中でしたから。イラスト1枚でフワッと説明したり(笑)。
長澤:それで、先方もキョトンとするみたいな(笑)。なので1年目から比べるとAbemaTVも認知度が上がってきて、ずいぶんとやりやすくなりましたね。
--弘中さんはいかがです? 今回の番組にかける思いを伺えれば。
弘中:私は今回出演して頂くアーティストさんにインタビューさせていただくんですけど、初めてお会いする方もたくさんいらっしゃるので、単純にそこが楽しみです。「Mステ」に出て頂いた方もいるんですけど、アーティストさんの知られざる一面を引き出せたらなって思っています。
<プロフィール>
長澤剛史
テレビ朝日 総合ビジネス局 イベント事業センター イベント担当部長
舘智有里
テレビ朝日 総合ビジネス局 イベント事業センター
弘中綾香
テレビ朝日アナウンサー 2013年入社。同年に「ミュージックステーション」の9代目サブMCに就任。