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 9日に行われた日中韓首脳会談の後、記者会見で「拉致問題の早期解決に向けて、私から両首脳の支援と協力を呼び掛け、日本の立場に理解を得た」と述べた安倍総理。その後の報道番組では、北朝鮮と水面下で接触していることも認めている。

 そんな中、『週刊現代』(5月26日号)が安倍総理の"密使"として森喜朗元総理を平壌に派遣することが決定したと報じた。

 政府関係者の話として同誌が報じたところによると、日本は当初、米朝首脳会談の現場に安倍総理が駆けつけるというプランを構想していたというが、中韓が金正恩委員長に対し"先に南北米中会談を行うべきだ"と説得したため頓挫したのだという。そこで白羽の矢が立ったのが、1997年に与党訪朝団団長として訪問するなど北朝鮮に一定の信頼がある森元総理で、訪朝は米朝首脳会談直後にセッティングされているという。さらに米朝の条件交渉で大枠がまとまれば、すぐに安倍総理の訪朝へと繋げるシナリオなのだという。

 同誌の近藤大介編集次長が19日放送のAbemaTV『みのもんたのよるバズ』に出演、スクープの背景を解説した。

 中国・朝鮮半島取材をライフワークとする近藤氏は「これは日朝問題と言うよりも"日本問題"が背景にある。日本には外務省という立派なお役所があって、5、6000人の方々が日々頑張っておられるが、その外交が通用しない世界で米朝交渉が動いている。そこに日本が入っていけるような人物を特使として送った方がいいのではないかということだろう」と話す。

■北朝鮮は数兆円規模の援助を念頭に?

 北朝鮮は数兆円規模の援助を念頭に、拉致問題への対応を検討済みだという見方もある。その一方、圧力路線を崩さない安倍総理を厳しく批判、6日付の朝鮮中央通信は「制裁だの圧力だの憎たらしく振る舞っていては1億年経っても我々の神聖な地に足を踏み入れることはできない」と主張している。

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 脱北した元北朝鮮外交官の高英煥氏は「北朝鮮が日本批判を強める背景には、日本を牽制して、有利な経済的条件を引き出したいという思惑がある。経済の飛躍を目指し、必ず日本に近づいてくる」と指摘、同じく脱北した元北朝鮮外交官の太永浩氏は「金正日総書記は"拉致問題を認めれば日本から1兆円が来る"と言っていたが来なかった。日朝交渉が再開すれば北朝鮮は改めて経済支援を提起するだろう」と述べている。

 近藤氏は「2002年の例を見ても分かるように、北朝鮮が日本にすり寄ってくるのは米朝関係が最悪の事態になった時だ。そこで日本を呼び寄せ、拉致被害者5人を帰し、日朝国交正常化を成し遂げたら日本が経済援助をやるんだということを平壌宣言に盛り込んだ。ただ平壌宣言には諸問題については"お互いに誠意をもって取り組むと"なっており、"拉致"という文字は入っていない。したがって最悪の場合、北朝鮮から"拉致はどこにもない"と言われたらどうするのか。北朝鮮が今すぐに日本を必要としているわけではないし、日本がどう動くのかという点では、やはり日本国内、安倍政権内部の問題だ」と指摘。

 また、「当初、小泉政権は早期の国交正常化を進めようとして、そのためには生きている拉致被害者を全員返してほしいと主張した。それで5人が帰ってきた。そこで、当時の福田官房長官以下の国交正常化をしろうという勢力と、"全員帰ってきていないではないか"と主張する安倍官房副長官たち強硬派の間で非常に激しい意見の衝突が起こった。結果として、世論とブッシュ政権が支援した安倍さん側が勝利した。今回も国交正常化を早くやれとトランプ大統領が安倍総理の背中を押すかもしれない」との考えを示した。(AbemaTV/『みのもんたのよるバズ!』より)


▶次回『みのもんたのよるバズ!』は26日(土)夜8時から生放送

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