
文部科学省と厚生労働省は18日、今年の春に卒業した大学生の就職率が過去最高の98%(4月1日時点)だったと発表した。空前の“売り手市場”となった大卒新入社員。一方で、入社後まもなく会社を辞めてしまう新入社員は後を絶たない。
新入社員について街で声を聞いてみると、「右に倣えで辞めるときにも一斉に辞めちゃう」「4月のひと月で辞めた。メール1本で『体調悪いんで辞めます』と。昨日まで営業で盛り上がっていたのに」「今までは買い手(市場)で厳しかったからギラギラしていたが、今はのほほんとしている」「休暇がきちんととれる会社じゃないとダメとか、残業はしないとか。それを守ってくれないとすぐ辞めちゃう」との意見があがる。
新入社員10人のうち3人が3年以内に辞める――こうした状況を打開すべく、企業側は様々な取り組みを行っている。
■今の新入社員の特徴は「チームパシュートタイプ」

今の新入社員にはどのような特徴があるのか。産労総合研究所の佐藤健一局長は「『チームパシュートタイプ』。一人で冒険はしないけれど、みんなで目標を達成していく」との見方を示す。平昌オリンピックのスピードスケートのように仕事を助け合いで乗り切るが、リーダーシップをとることを嫌うという。
その特徴をうまく捉え離職率を抑える会社があった。焼きたてチーズタルト専門店を運営する「PABLO」が導入したのは「スター制度」。小野由起子サブマネージャーは「スター制度は社員・アルバイトクルーが、各々素晴らしいパフォーマンスをした人に投票できる制度なので、モチベーションにも繋がる」と説明する。スター制度では、数カ月ごとに様々な分野のナンバーワンを従業員同士の投票で決めている。

項目は4つ。客や仲間にホスピタリティを発揮する「コミュニケーション」。整理整頓を提案・実行する「クリーナー」。マニュアルを正しく理解する「プロフェッショナル」。そして、笑顔が一番いい人を選ぶ「ベストオブスマイル」。1位になると報奨金ももらえるという。
全店舗618人の中でトップスマイルを取ったのがPABLO mini 秋葉原店の倉田真珠子さん、28歳。現在2連覇中だ。この笑顔が離職の歯止めにつながるそうで、小野さんは「倉田さんの笑顔というのは周りのクルーにすごく元気を与えている。(周りが)倉田さんのようになりたいと思う」と話す。

周りをよく見るチームパシュート。その特徴を利用して互いを評価し、なおかつ明確な目標を設定することで離職を防いでいた。実際に倉田さんは「具体的にどう頑張ったのかを知ることができるし、気を付けて見ていられるし、思い出すことができる。モチベーションが上がる」と語った。また目的意識を高めるため、チームパシュートのように3人でダンスをする試みも。この制度を導入してから、離職率は3分の1にまで下がったという。
■「ブラザーシスター制度」で“絆を重視”
産労総合研究所の佐藤局長は、指導方法も重要だと指摘する。
「俺の背中について来いとか、俺の言うことを聞けばいいんだということではなくて、理路整然と成果までイメージさせて育てていくというやり方が必要になる」
一風変わった指導方法を取り入れているのが、飲料メーカーのアサヒビール。その方法は「ブラザーシスター制度」というもので、人事部の村瀬進さんは「新入社員1人に対して、必ず1名の育成係“ブラザー”が付きます」と説明する。

誰に聞いたらいいかわからず溜め込んで悩むことを防ぐため、アサヒビールが行っているこの制度。1人の新入社員に先輩1人を教育担当として付け、何でも相談できるようにするというもので、さらにその先輩社員には他部署の先輩が必ずフォローで加わるという徹底ぶりだ。

村瀬さんによると「新入社員が8月末までにしっかり成長していくため、求めるスキル項目を設定している。5月・6月の2カ月でこなす目標は31個ある」といい、「挨拶をきちんとする」から「自社商品を完璧にプレゼンできる」というものまで、細かく設定されている。毎日1個ほどのペースで目標を設定することで、全新入社員が同じ能力を持てるという。実際、アサヒビールではこの3年で新入社員が辞めたのはわずか1人。「ずっと同じでは進化がない。毎年変えるべきところは変える、変えないところは変えない。残っていってほしい制度」だと村瀬さんは話した。
(AbemaTV/『けやきヒルズ サタデー』より)

