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 24日夕方、北朝鮮が豊渓里(プンゲリ)の核実験施設の廃棄を実行したと、現地に招待された海外メディアが報道した。 

 韓国の記者団は今朝11時、豊渓里の2番坑道と観測所が爆破され、午後4時17分までに5回にわたって3つの坑道と関連施設が爆破されたと報じた。また、中国メディアは北朝鮮外務省の発表として、警備員や研究員を避難させた上で坑道を爆破、関連機関がすべての業務を完全に遂行したと強調している。

 英スカイニュースの記者は「豊渓里で大きな爆発音を確認した。取材団は山に登って、500m離れた場所から爆発を見た。彼らは"3、2、1…"とカウントダウンした」と伝えた。また、米CNNは、豊渓里から取材拠点の元山(ウォンサン)に戻る列車内のウィル・リプリー記者と電話をつなぎ、爆破の様子を伝えた。リプリー記者は「専門家がいなかったため、北朝鮮の主張通り使用できない状態になったかどうかは分からない」とした上で、「撮影したのは驚くべき映像で、(陸路で18時間ほどかかる)元山に到着して映像が送れるようになれば、世界が見たことがないものを見せられる」と話している。

 北朝鮮は2008年にもアメリカによるテロ支援国家指定の解除表明を受け、寧辺にあった核施設の冷却炉を爆破、その様子をメディアに公開している。しかし、その後、アメリカは制裁の一部とテロ支援国家の指定解除を表明したが、北朝鮮は別の場所で核開発を続けていた。

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 24日夜に放送されたAbemaTV『AbemaPrime』に出演した岡崎研究所研究員の村野将氏は「米朝会談の実施へ向けアピールしたいアメリカはもちろん、世界に向けて非核化の意思を発信するためにメディアを入れたということ。撮影ポイントも決められていたと思うし、今後アメリカの衛星写真も出てくるだろうが、外からでは内部の破壊の程度は確認できない。あくまでもパフォーマンスの要素が強く、専門家の視察団を招待していないので留意が必要だ」と話す。

 「岩盤の硬さを測定することで、実験の爆発力も推定できる。つまり坑道を調べれば北朝鮮の技術力を測定することもできる。専門家を入れなかったというのは、そういうことをされたくないという意図があったのではないか。やはり言い方は悪いがある意味で証拠隠滅だ。核実験を行うためのものなので、元々頑丈な施設。入り口だけ爆破したのか、内部まで爆破したのかもわからないし、施設も再生できないわけではない。他方、坑道を爆破したからといって、すでに持っている核の能力が低下したとはいえないし、そもそも金正恩委員長が"超大型核兵器と運搬手段(ICBM)の戦力化に成功した"と主張している以上、今後も使う必要のある坑道だったのかもわからない」。

 また、東京工業大学・先導原子力研究所の澤田哲生助教も「今回の破棄は北朝鮮によるパフォーマンスだ」と指摘する。

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 「一つは、入口付近を限定的に爆破したケース。つまり、実験施設そのものは爆破していないため、再び実験を再開することが可能だという見方。もう一つは、施設そのものが必要ないというところまで核実験の研究・開発が進んでいる見方ができる。核開発は、一定程度まで進めばコンピュータ上でのシミュレーションが出来る。そもそも利用価値のない実験場を爆破した可能性がある。これから仮に爆破の映像が公開されたとしても、施設外から見える範囲の映像であれば信用はできない」。

 実施に向け今も調整が進む米朝首脳会談の行方について村野氏は「保有している核兵器は廃棄していないので、仮に米朝交渉が決裂した場合、北朝鮮が再び攻勢に転じて核実験を行うことも考えられなくはない」とした。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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