将棋界の新たな天才として一躍時の人となった藤井聡太七段と少年時代に戦った男が、プロゲーマーとして勝負の世界に飛び込んだ。人気スマホカードバトル、Shadowverse(シャドウバース)初のプロリーグ、RAGE Shadowverse Pro League(シャドウバースプロリーグ)に、名古屋OJAベビースターのメンバーえすぴーは、小学生時代にアマチュア有段者が集う東海研修会に通い、全国大会でも入賞する実力者だった。「私の記憶が正しければ、藤井さんとは1勝1敗でした」というえすぴーは、なぜゲームで戦うことを選んだのか。
将棋のルールは知らなくても「藤井くん」と名前は知られるほど活躍する将棋界の新星・藤井聡太七段だが、えすぴーは少年時代に対局した。「非常に負けん気の強い人で、よく負けた後には泣き声を発していて、子供心にすごい勝負に執着の強い子だなあと思いました」と、実力よりも勝負への姿勢について思い出した。自らの将棋のプロを目指した時期はあったが、ともに将棋をしていた兄がプロを諦めたこと、学業との両立が難しくなったことから、趣味として楽しむことにした。
ただ、勝負事が好きな気持ちは変わらなかった。そこで出会ったのがeスポーツだ。「今では将棋よりシャドウバースの方が好きですね」と語ると、将棋時代で発揮した頭脳と集中力を発揮し、トッププレイヤーの仲間入りを果たした。自身の目標には「結果を出すことは重要ですが、eスポーツ選手が一般の方々に受け入れられて、尊敬される存在になって、その中の1人でいたいなという思いが強いです」と、プロプレイヤーを含めたeスポーツ界全体の盛り上がりを目指している。
将棋の世界では、もちろん実際に指すファンもいれば、観戦をして楽しむ「観る将」というファンもいる。えすぴーも「基本的にeスポーツのファンの上限は、そのゲームのプレイ人数依存なので、プレイヤーの方々が他の娯楽よりeスポーツの方がおもしろいと思わせるようなよさを示せることが必要だと考えています」と話すように、いかにゲームを見て楽しむファンを増やせるかが、業界成長のポイントだ。「将棋がそうであるように、ルールを知らない人であっても楽しめる何らかの要素があるということは重要です」。表情か、仕草か、コメントか。各界の選手が脚光を浴びるポイントはいくつもある。eスポーツ界でも、そんなプレイヤーが増えてくれば、知名度も比例して高まっていく。
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