南北首脳会談を巡って水面下の交渉が続く中、28日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、北朝鮮から脱出、亡命した脱北者の金柱聖(キムジュソン)さんに話を聞いた。

 日本で生まれ育ったため、日本語を話せる金さん。「本当に脱北したのか?と言われることもあります」と笑う。1970年代の帰還事業で中学3年生の時、祖父と共に"地上の楽園"と言われていた北朝鮮へ渡る。

 「70年代は個人よりも組織が重要で、例えば家族が何人いて、パンツが何枚、靴が何足という状況をみて、国がみんな支給してくれた。しかし金日成主席が94年に亡くなってからガタガタになった。金正日総書記がやっていた時代には集団餓死も起きた」。

 そして2009年、金さんは約30年過ごした北朝鮮から脱出。現在は韓国・ソウルに暮らし、脱北者の支援活動、さらには北朝鮮国内から寄せられる情報を元に、作家として金正恩体制のリアルな今を伝えている。「僕の場合、40歳を過ぎて脱北したから、ろくに就職もできなかった。国家機関で北朝鮮についての講師をするうちに、放送に出演したり、コラムなどを書いたりするようになった」。

 金正恩体制になってから6年、北朝鮮国内の様子は変化してきているという。

 「以前の北朝鮮は、徹底した社会主義制度。"はい、食料はこれだけ"と国家が一切の供給をしてきた。しかし、私有財産を認めてくれなかったあの国で、最近では個人が車を買って個人タクシーをやっている。土地の所有権も認められず、家を建てても国家所有だった。それが、"このアパートの部屋はあなたに国家が貸をしてあげている"という使用権が売買可能になって、家賃をもらっても良い。地盤を固めた金委員長が、中国式に徐々に変えていっていると思う」。

 しかし、今も市民をコントロールしているのは"恐怖"だという。「何があるかと言ったら公開処刑。僕も10回くらい見た。今でも公開処刑をやっていると聞いている。例えば韓国のテレビを見から反逆者とみなされ処刑される。一旦家を出たら、3人の敵がいると思えと言われる。同じ職場の仲間同士でも監視していて、3人集まれば1人が密告する可能性があるので、自分の本音を明かすときは1対1」。

 脱北者が3万人を超えた現在、当局による任務を帯びた"偽装脱北者"もいるのだという。「金正日時代は脱北者に関しては容赦なかった。でも金正恩は違う。再入国を誘導したり、自分の足で戻った人をメディアに出して脱北者が戻ってきて幸せに暮らしている"とPRしたりしている」。

 日本で生まれ育った金氏。故郷と呼べるはずの日本・北朝鮮の両国で差別を受けたことが今でも忘れられないという。果たして、日朝が手をとりあうには何が必要なのか。

 「あの若さで王座に座った金委員長が、みすみすそれをふいにする行動を取るだろうか。僕は違うと思う。彼は早く国際社会で、ちゃんとした一国の主だっていうのを認めて欲しいはず。僕が望むのは、北朝鮮の人もちゃんとパスポートを所持して、行きたい時に海外旅行へ行けるようになること。金正恩さんも結局は在日の系統。大阪の鶴橋でお好み焼きを食べている正恩氏の横に与正さんが立っていて、涙ぐむ兄にハンカチを渡す。"この味は忘れられないな""じゃあ兄ちゃん、このお好み焼き屋を平壌にも作りましょう"と、そんな会話が出る日がくるといい。核やミサイルを作る指導者じゃなくて、日本のお好み焼き、韓国のキムチチゲを平壌で北朝鮮の住民たちに食べさせる、そういう指導者になって欲しい。期待というより夢。そうなって欲しい」。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

AbemaPrime - 脱北者に聞く北朝鮮のリアル!北朝鮮での恋や娯楽とは? (18/05/28) | 動画視聴はAbemaビデオ(AbemaTV)
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