
京都土産の定番「八ッ橋」の老舗メーカー・井筒八ッ橋本舗は、同じく老舗の「聖護院八ッ橋総本店」を提訴した。創業文化二年(1805年)の井筒は、聖護院が創業元禄二年(1689年)としているのは「根拠がなく虚偽」だと主張。この年に八ッ橋が存在したことを示す文献がないことや、聖護院が過去に作った冊子の中で「正確な創業年は不詳」としていたことを指摘している。
井筒は公正な競争を妨害しているとして、聖護院に対し創業年の表示をやめることと600万円の損害賠償を求めている。井筒の津田佐兵衛オーナーは「嘘を重ねていくということが起こると、京都の土産品業者の全部が大変な迷惑をこうむる」と主張。また、津田オーナーが94歳と高齢になり、論争に区切りをつけたいという考えが強くなったという。

一方、聖護院側は「現段階では驚いておりまして、お答えしようがございません」とコメントしている。
八ッ橋老舗によるライバル老舗の提訴。歴史学者で東京大学教授の本郷和人氏は「訴えられたとおりで、聖護院八ッ橋さんの方で元禄2年に確かに店がありましたという資料は出てこないだろう」との見方をしつつ、当時八ッ橋が作られていた可能性については「ある」と説明する。

「元禄時代の将軍は徳川綱吉で、庶民の生活が花開いた『元禄文化』が栄えた時代だった。僕らが生きていた昭和という時代はよく元禄時代と比べられていて、何となく平和な時代になった、天下泰平という形で良いイメージ。日本には古くから甘いものがなく、果物ぐらいしかなかったが、この元禄時代ぐらいから庶民の口に甘いものが入る時期になった。その頃に八ッ橋ができたという言い伝えがあったとしてもおかしくはない」
一方で、このような「言い伝え」で資料・文献がないといった話はよくあることだといい、「仲良くやってほしいのが本音。落とし所を見つけてほしい」と述べた。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)
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