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 放送と通信の融合、国民の財産である電波の有効利用などを含む放送事業の大胆な見直しに向け動き出している安倍政権。4日、政府の規制改革推進会議は放送制度改革を柱とした答申をまとめ、安倍総理に提出した。

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 背景にはインターネットの普及による"テレビ離れ"が進んでいる状況もあると言われており、座長の原英史氏は「若年層のテレビ離れが進んでいる。すでにアメリカではNetflixやAmazonなどOTT事業者(=ネットでコンテンツ配信)が放送との激しい競争に入っている」と指摘している。

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 安倍総理も放送法をめぐる規制改革については、今回インターネット同時配信の推進をはじめ、通信と放送の枠を超えたビジネスモデルの構築、ローカル局の経営基盤のあり方改革など、イノベーションの視点、グローバルの視点、そして何よりもユーザーの視点に立って、総務省を中心に未来を見据えた放送のあるべき姿について総合的な検討を進めてもらいたいと思う」と述べている。

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 若者から「本当につまらない。悲しいニュースだとか、見てて気分が下がるような話題多いし、政治の問題もくだらないものばっかりだから全く見ない。ネットを見た方が正しい情報を得られるし、早いし、偏りがないから好きだ」(20代男性)、「クイズ番組しかないのかよ、みたいな感じ。それか外国人を招待して、こういうの日本にあります、とか。もういいやと思って見ない」(20代女性)と厳しい意見が聞かれる一方、上の世代からは「小さい時からよく見ていたし、ネットは苦手なので」(50代女性)、「しょっちゅう見ている。朝から晩まで」(70代男性)と、世代間で意識に違いがあるようだ。

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■ふかわ「信頼関係を破壊するようなことをせざるを得ないシステムが続いている」

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 タレントのふかわりょうは「昔は自分が他人と違うということをアピールするために"テレビ見ない"と言う人もいたが、今はむしろ"テレビ好き"が個性のようになっている。ある時からテレビの引力が間違いなく弱くなったし、"前はこれ面白いと思っていたのに"と思うこともある。それは自分が年を取ったからではなく、別の要因が働いている気がする。みんながテレビ番組の内容に疑問を持つようになり、コンテンツが萎縮しだしたということもあると思う」と指摘。「みんなサッカーならサッカー、音楽なら音楽という専門的なことを掘り下げるコンテンツを望むし、それがネットにはある。テレビがしんどいと思うのは、興味のない人を取り込むためのコンテンツ、つまりサッカーが大好きな人にとってはいらないコンテンツを盛り込まなければいけないこと」とコメント。

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 「視聴率が伸びないという途中でドラマの放送を止めてしまうのに象徴されているが、あれは本当によくないと思う。音楽ライブでいえば、スタジアムに観客が少ししか集まらなかったからといって予定の半分で終わらせるようなもの。来てくれた人達を大事にしなきゃいけないのに、人数が少ないからといって止めてしまうのは裏切り行為。そして、結論の前に必ずCMを挟む。テレビしか無い時代は、それでもテレビの前に座って待っていてくれたかもしれないが、今はそういう時代ではないということに気づかないといけない。せっかくテレビの前に来てくれた人に対して誠実に向き合うことが視聴習慣につながるのに、信頼関係を破壊するようなことをせざるを得ないシステムが続いているのが問題だ」。

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 テレビ解説者の木村隆志氏は「今のような状況に陥っている最大の原因は、視聴率を追っていくビジネスモデルだからということ。CSのように完全に視聴者層を区切ってしまえばいいが、地上波はそうはいかない。そのため番組が画一化したり、自主規制したりするようになる。趣味趣向の多様化が進んで、選択肢も増えてはいるが、スマホやパソコンで好きな映像コンテンツを視聴してはいるので、決まった時間に放送しないといけないということがジレンマになっている。また、たくさんタレントさんが出てくる予定調和な番組が嫌われていて、今はドキュメンタリー系のバラエティが増えている」と指摘した。

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 コンサルタントの宇佐美典也氏は「地上波はマス向けなので、自然と人口が多い層=団塊の世代と団塊ジュニアに向けて作ることになる。『オレたちひょうきん族』の頃は、団塊の世代が30~40代で、団塊ジュニアは子どもだったので、そこに向けてどんどん面白いこと、新しいことをやって、既存のものを破壊してきた。今は団塊ジュニアも40代半ば以上になっているので、人口の少ない若者向けにやるインセンティブがなく、守りに入らざるを得ない」と話す。

■視聴率の考え方が時代に合わなくなっている?

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 東京工業大学の柳瀬博一教授は「こんなコンテンツ要らない、こんなタレント出すなよ、というツッコミは、みんな60年代からしてきたと思う。チャンネルが多様化し、ネットも出てきたことで、それが見えるようになっただけではないか」とした上で、「新聞や雑誌の広告費が落ちている中、実はここ数年、地上波の広告費は下げ止まっていて、マーケットサイズは変わっていない。むしろ1000万人単位を相手にするビジネスが無くなっている中、マーケットの設定が時代に合わなくなっているということではないか。つまり、かつては視聴率10%でも低いと言われているが、深夜でも100万人くらいを集められるというのはすごいことだし、新進のネット企業が深夜枠にCMを打っているのは、コアな層や若い層へのリーチを期待しているからだ。無料で見られるというテレビの仕組みは民主的ですごくいい」と話した。

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 番組のコメント欄には、「テレビはテレビじゃないと見られないから、めんどくさい」「ネット見るのに忙しくて時間がない」「テレビはオブラートに包みまくるから。ネットは偏向もあるけど反論もある」といった書き込みが寄せられた。

 テレビ朝日の小松靖アナウンサーは「偏向はしないようにとやってきたが、その視野こそが狭かったのかもしれない。作り手が信念を持つというのは独りよがりになることもある。ネットの意見はあくまでもネットの意見、極端なものもある、ということで蓋をしてしまうマインドがテレビにはある。しかし『AbemaPrime』を2年ちょっとやらせていただいて、そうではないということが分かってきた。ネットの声=世の中の声だと言い切ることはできないが、真摯に意見を聞きながら制作しないと、業界にしっぺ返しが来るというのが実感だ」と語った。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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