初のFリーグ優勝を目指すペスカドーラ町田にとって、ピレス・イゴールの不在は大きな不安要素だ。しかし開幕戦のフウガドールすみだ戦では、小野寺優介が好守を連発し守護神不在を感じさせないパフォーマンスを見せた。これまでも、チームの危機を救ってきた第二GKはどのような思いで開幕のピッチに立ったのだろうか――。
ピレス・イゴール不在の中で芽生えた強い気持ち
名古屋オーシャンズの牙城を崩すべく、ストーブリーグで大型補強を敢行したペスカドーラ町田。初のFリーグ制覇に向けて開幕戦からスタートダッシュを決めたいところ。迎えたフウガドールすみだとの東京ダービーでは、守護神であるピレス・イゴール不在という不安要素をまったく感じさせない完勝劇となった。
その立役者は小野寺優介。“コンボイ”の愛称で親しまれている小野寺は、これまでもピレス・イゴールのバックアッパーとして、出場した試合では存在感を示してきた。町田は2014/2015シーズンにピレス・イゴールの負傷離脱から9連敗を喫してプレーオフ出場を逃した苦い経験がある。
翌シーズンには、バルドラール浦安を率いていた頃の岡山孝介監督の教え子である小野寺をデウソン神戸から獲得。2016/2017シーズンにはピレス・イゴールが大腿四頭筋の筋挫傷や、テレビ収録の際に口と歯を負傷するなど2度の長期離脱がありながらも、小野寺がその穴を埋めてチームはプレーオフ出場を手にした。岡山監督も以前から「間違いなくいいゴレイロ」と小野寺への厚い信頼を口にする。
バックアッパーの立ち位置は色々な部分で難しさがあるはずだ。それでも小野寺は「イゴールがいないから負けたと思われたくない」と、闘志を燃やして開幕のピッチに立った。
「町田に入ってからずっとそういう気持ちはあります。絶対的なGKがいて、そのチームに行くということは、代わりに出たら比較されるので、その気持ちはいつも持っています」
また、この日のパフォーマンスについては「0で抑えたことはうれしいですし、自信がつくいいゲームでした」と手応え十分。さらに「イゴールが戻ってきて役目は終わったと、すんなりポジションを渡す気はありません。このパフォーマンスを維持していきたい」と強い気持ちを見せた。
そんな小野寺だが、ピッチから出ると素顔は優しい男。試合後のフラッシュインタビューではインタビューアーを務める加藤未央さんのマイクが額に直撃する場面があったが、「大丈夫ですよ(笑)あれは僕が悪かったですから」と笑って許す。
優しさの中に熱い気持ちを持つ小野寺。優勝を決めるピッチに彼が立っていたとしても不思議ではない。
文・川嶋正隆(SAL編集部)
(C)AbemaTV
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