映画『猫は抱くもの』の初日舞台挨拶が6月23日、新宿ピカデリーにて行われ、沢尻エリカ、吉沢亮、峯田和伸、コムアイ(水曜日のカンパネラ)、犬童一心監督が登壇。犬童監督がサプライズで朗読した手紙に、沢尻が感激する一幕があった。
本作は、思った通りの自分になれず、投げやりな毎日に慣れてしまった元アイドルの沙織(沢尻エリカ)と、自分を沙織の人間の恋人だと思い込んでいる猫が、自分らしい生き方を見つけていく物語。猫の良男が擬人化された姿を、吉沢亮が演じている。
吉沢は舞台挨拶のトークセッションで、沢尻の印象を聞かれると「本当に素敵な女優さん」と一言。続けて「僕から近づいていくところが多いので、嫌がられたらどうしようという不安があった」と、ペットと飼い主という親密な間柄を演じる上で、当初感じていた戸惑いを明かした。しかし、吉沢を見る沢尻の目が「完全にペットを見る目」だったことから、「受け入れてくださったという安心感があったので、僕は沢尻さんに甘えっぱなしでした」と撮影を振り返った。
トークセッション後は、翌日が犬童監督の誕生日であることから、サプライズで猫の良男をイメージしたバースデーケーキが登場。会場が一体となって「ハッピーバースデートゥーユー」を合唱し、一日早く犬童監督の誕生日を祝福した。
会場が温かい雰囲気に包まれる中、次は犬童監督から沢尻に手紙のサプライズが。犬童監督は手紙の中で「スクリーンで沢尻エリカに出会うとまず見入ってしまうのは、そのしなやかな体と嘘みたいにかわいい笑顔。でも一撃でやられてしまうのは、その上に突如宿る野生です」と語りかけ、沢尻は猫というよりも「サバンナを駆け巡るチーター」と印象を語った。
さらに、「女性が生きにくい時代に自分の生き形で立つその立ち姿に、多くの女性たちが励まされることでしょう。いつまでもそうあってください。いっぱい助けてくれてありがとうございます。またさらなる作品で出会えたらと思います」と手紙を締めくくった。
犬童監督からの手紙を受け、沢尻は「嬉しいです。ありがとうございます」と感謝し、感無量の様子。その後は時折涙をこらえ、言葉に詰まるような素振りを見せつつ「本当にすごくいい現場だったんです」と撮影を振り返り、「自分の映画人生の中で大切な作品になりました」とコメントした。
すると峯田も「こんな幸福な現場あまりないと思うんですよ」と、沢尻の言葉に賛同。「私女優だから、でもいいじゃないですか。俳優部の一員として作品を作る、その姿勢に感動しました」と、現場での沢尻の姿勢を絶賛し、同じミュージシャンであるコムアイに「ね、コムアイさん」と話を振った。
本作が映画初出演となったコムアイが「私初めてなんで、こんな良い現場なんだと思って。他は違うんですか?」と問いかけると、会場は温かな笑いに包まれた。
テキスト・写真:水野梨香