持ち時間5分、1手につき5秒が加算される超早指し戦「AbemaTVトーナメント Inspired by 羽生善治」の予選Bブロックの1位決定トーナメント1回戦(三番勝負)が7月1日に放送され、増田康宏六段(20)が佐々木大地四段(23)を2勝1敗で下し、1位決定戦へと進出した。最年少棋士・藤井聡太七段(15)とともに、「東の増田、西の藤井」と呼ばれる天才棋士が、お互い手の内を知る若手同士の激しい戦いを制した。
20歳の天才が、戦うごとに未体験だった超速将棋に順応した。1局目、先手番で相掛かりを採用したが不発。「作戦がよくなかったですね。もっと違う作戦の方がよかった」と、128手で敗れた。だが、今回の大会は1つの顔合わせで三番勝負。いかに次局の間に修正するかが、大きな鍵となる。すると2局目、角換わりからの激しい攻め合いに90手で勝利。終盤、手堅く守って勝ちを確保することもできたが、見事に攻め切った。
完全に時間の感覚を把握した増田六段は、第3局には仕上がっていた。佐々木四段が、あまり指さない中飛車を採用したことに「意表を突かれた」と言いつつも、「(佐々木四段は)研究会仲間なので、手の内は分かります。中飛車は得意じゃないなと思いました」と見透かしていた。終わってみれば68手という短手数での快勝。「感覚がつかめてきたというのは大きいかもしれないですね。慣れてきたので、上手く指せたんだと思います」と笑顔で振り返った。
先日、公式戦では1年ぶりに藤井七段に勝利し、“29連勝達成”の借りを返した増田六段。その地力と感性が、超速将棋でさらに研ぎ澄まされていく。
◆AbemaTVトーナメント Inspired by 羽生善治 将棋界で初めて7つのタイトルで永世称号の資格を得る「永世七冠」を達成した羽生善治竜王が着想した、独自のルールで行われる超早指し戦によるトーナメント。持ち時間は各5分で、1手指すごとに5秒が加算される。羽生竜王が趣味とするチェスの「フィッシャールール」がベースになっている。1回の顔合わせで先に2勝した方が勝ち上がる三番勝負。予選は藤井聡太七段が登場するAブロックからCブロックまで各4人が参加し、各ブロック2人が決勝トーナメントへ。シードの羽生竜王、久保利明王将を加えた8人で、最速・最強の座を争う。
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