【インタビュー】「おでこと口の中を見れば適性が分かる――」つんく♂が明かすアイドルオーディションの裏側

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 1992年にロックバンド・シャ乱Qのボーカリストとしてデビューし、モーニング娘。およびハロー!プロジェクトの総合プロデュースを務めた音楽プロデューサー・つんく♂。今でも新しい楽曲が発表されるたび、ハロー!プロジェクトファンが熱狂するなど、多くのファンに支持されている。そんなヒットメーカーとも呼ばれる存在であるつんく♂が、アイドルオーディション番組『ラストアイドル』テレビ朝日系・毎週土曜0時10分より放送 ※一部地域を除く)にプロデューサーとして参加している。

 『ラストアイドル』(現在地上波では3rdシーズンが放送中)では、2ndシーズンからプロデューサーに番組総合企画を務める秋元康のほか、つんく♂、織田哲郎、指原莉乃らが加わった。つんく♂は、2ndシーズンで「Love Cocchi」を担当し、現在放送中のAbemaTV版『ラストアイドル』では「シュークリームロケッツ」のプロデュースを担当。

 私生活では現役絶好調の中、2014年、45歳のときに喉頭がんを発症。著書『だから、生きる。』(新潮社)では、喉頭がんにより喉頭を摘出する手術を決断した経緯をつづっている。今回、数多くのアイドルを育成し、声を発せずとも次世代のアイドルたちの育成にかける思いについてつんく♂本人にインタビューを敢行した。(※取材は文字をPCで打ち込む形式にて実行)

7月15日(日) よる7時放送!
『ラストアイドル in AbemaTV #7』
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ラストアイドル in AbemaTV #7 | 無料のインターネットテレビはAbemaTV(アベマTV)
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テレビ朝日系で放送中の秋元康総合プロデュースによる アイドルオーディション番組『ラストアイドル』。 その1期生たちの新たなバトルがAbemaTVで毎週生放送! 新たな戦いとは…伝説のプロデューサーバ…
AbemaTV

『ラストアイドル』で最初に担当した「Love Cocchi」は“春高バレー感”を

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(▲『ラストアイドル』2ndシーズンでつんく♂がプロデュース担当した「Love Cocchi」)


――『ラストアイドル』では、2ndシーズン(地上波)からプロデューサーに加入したつんく♂さんですが、最初に『ラストアイドル』のプロデューサーを担当する話をいただいたとき、どう感じましたか?

つんく♂:番組総合企画を務める秋元康さんから直接連絡をいただき「いろいろなプロデューサーが集まって対決するんだよ」って聞いて。「なんか楽しそう!」って感じで「いいですよ!」って返事をしたところから始まりました。「まあ、2~3カ月後から始まるのかな?」くらいに思っていたんですが……聞いたら「1カ月後にはテレビで収録です」って聞いて。「わ、やられた!」と思う時間もなく、本人たちとネットテレビで面談したんです。メンバーたちの雰囲気をつかんでから実際に制作に入りました。

――2ndシーズンでプロデュースすることになった「Love Cocchi」を観たときは、どのような印象を持ちましたか?

つんく♂:「劣等生」という印象よりも、“末っ子感”があって。放っておけない感じでした。彼女たちを見て思ったことが、めいっぱい背伸びしながらお姉さんたちの真似をして“頑張ってる感”を出すより、“末っ子感”のまま「何もできません! 頑張ってます!」って感じの汗を感じられたら、応援してくれる人が増えるだろうなぁって思いました。なので“春高バレー(春の高校バレー)感”をもっと伝えたいなって。

――“春高バレー感”。バレーボール甲子園のような場所で、若者たちの頑張っている姿を見ると誰でも応援したくなりますよね。その後、AbemaTV版『ラストアイドル』では「シュークリームロケッツ」をプロデュースすることになりました。

つんく♂:「シュークリームロケッツ」は、3人ともそれぞれ個性も力もある。けれど、実際個人個人が自分の持ち味、方向性が見えないまま、やってきてたんだなって印象を持ちました。チーム一丸となって力を出す前に、個々が近くの目標をこなすことだけで時間に追われてしまっていたのかなって思いました。プロデューサーとしては「このままだと小さくまとまっちゃうなぁ」って危機感があって。実はなかなかのエンジンを積んでいるメンバーなので、これからが腕の見せどころですよね。

つんく♂「現状のベストを見たいわけじゃない」 スターの素質の見分け方

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(▲AbemaTV版『ラストアイドル』でつんく♂が担当する「シュークリームロケッツ」)

――顔合わせ時、つんく♂さんはメンバーの表情や歯並びをチェックしていました。やはりアイドルには表情や歯並びは欠かせないものなのでしょうか? 

つんく♂:我々スタッフ、ましてはプロデューサーに対して、嘘や偽りがあるようでは売り出しようもないんです。後々になって問題が出てきても困るし、それよりも女性にとって隠したい“ウイークポイント”が、実はその子の魅力だったというケースもある。

――これから羽ばたくかもしれないその子の魅力を見逃さないために。

つんく♂:一例ですが、低身長をコンプレックスだと思っている子が、ずっと厚底ブーツで面談し続けていたら僕の中で「150cm以下のメンバーを集めたユニットを作ろう!」という発想にはならないですから(笑)。

髪型で雰囲気を作っている子が多いことも事実です。でも、僕たちプロデューサーやスタッフが見たいのは、その子の中の“現状のベスト”じゃないんです。飾らないそのままの“野面(のづら)な状態”で、これからどんな風に広げていけるか、適性があるかどうかを想像したいんですよ。その子の中にある“現状のベスト”なんて実際どうでもいいんですよね。

――過去バラエティ番組などで、オーディションの中でスターの資質を見抜くエピソードについて「まずおでこを見せてもらう」とおっしゃっていましたが、それも関係していますか?

つんく♂:“現状のベスト”で満足しているのであれば、その出来上がった状態で、原宿や秋葉原を歩いていたら、それなりの事務所から声がかかるかもしれませんが……でも、僕はそういう子に興味がなくて。野面な状態から判断して、積み上げていくことをしたい。だから、初対面では、おでこと口の中を見せていただき、頭の中で未来を想像するようにしているんです。声チェックもダンス(リズム感)チェックも同じことが言えます。

――AbemaTV版『ラストアイドル』#4では、「シュークリームロケッツ」が1回戦に挑み、結果、勝者となりました。

つんく♂:根本的なリズム感や、演者としての心得みたいなものは、一気に上達するわけではないので、そのあたりはおいおい鍛えていくしかないですよね。最後のリハーサルで気になった点を伝えて、本番では指摘した点をクリアしていた。「本番でやれる」という点で、落ち着きや肝っ玉、運は持ってるんだなぁって思いましたね。楽曲披露の最後も良い“ドヤ顔”をしていたので、「ええやん。なるほどね」と。「シュークリームロケッツ」は地上波の2ndシーズンで勝ち進んで、勝者になっている。覇者である意味も感じました。これからの展開にも期待してもらえたら。

(つんく♂作詞&作曲 シュークリームロケッツ/『夜中 動画ばかり見てる…』⇒Abemaビデオで視聴可能

――8月下旬に頂点のユニットが決まります。現状、勝算の見込みはどれくらいありますか。最初の顔合わせで「ヒントがなんも見えてこない」と「シュークリームロケッツ」のメンバーに明かしていましたが、今だからこそ見える展望みたいなものがあれば教えてください。

つんく♂:最初は「ヒントが見えてこない」って自分で言ったんですが、本当は難しい楽曲にチャレンジさせたくて、うずうずし始めていました。心の根底から歌うことに、正面からぶつかってほしいなって。「シュークリームロケッツ」は3人とも良い意味でズルそうな顔をしているので、芸能界では大成する可能性を持っている子たちだと思います。

僕なりには、ここ最近、作っていなかったタイプの曲が作れたので、それだけでも楽しいですね。メロディ、歌詞ともに「よく出来上がった!」と思っているので、バトルがどんな結果でも問題ないです。ただ、できれば早い段階で音質のいいトラックダウン済みの音源で、世の中の人たちに聞いてもらいたいと思っています。

――お忙しい中、インタビューにお答えいただき、ありがとうございました。今後放送されるつんく♂さんのプロデュースの模様を楽しみにしています。

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【プロフィール】つんく♂

1968年10月29日生まれ、大阪府出身。音楽家・エンターテインメントプロデューサー、作詞家、作曲家、総合エンターテインメント株式会社であるTNX株式会社代表取締役社長。

1988年シャ乱Qを結成。1992年にメジャーデビューし4曲のミリオンセラーを記録。その後、日本を代表するヴォーカルユニット「モーニング娘。」をプロデュースし大ヒット、代表曲「LOVEマシーン」(1999年)は176万枚以上のセールスを記録した。

ハロー!プロジェクトを始め数々のアーティストのプロデュースやNHK Eテレ「いないいないばぁ!」を含む数多くの楽曲提供、サウンドプロデュースを手掛け現在ジャスラック登録楽曲数は1800曲を超える。2015年第57回日本レコード大賞・作曲賞「うまれてきてくれて ありがとう」受賞。著書として『だから、生きる。』(新潮社)を出版。

『ラストアイドル』(テレビ朝日系)の2ndシーズンではアイドルユニット「Love Cocchi」をプロデュース、現在放送中の『ラストアイドル in AbemaTV』ではアイドルユニット「シュークリームロケッツ」の担当プロデューサーを務める。


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(C)ラストアイドル製作委員会

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