持ち時間5分、1手につき5秒が加算される超早指し戦「AbemaTVトーナメント Inspired by 羽生善治」の予選Bブロックの2位決定戦(三番勝負)が7月8日に放送され、佐々木大地四段(23)が大橋貴洸四段(25)を2勝1敗で下し、1位通過を決めていた増田康宏六段(20)とともに決勝トーナメント進出を決めた。
若い力が真正面からぶつかりあった。どちらもプロ入りは2016年。半年早く四段に昇段した佐々木四段はフリークラスからのスタートだったため、順位戦C級2組のデビューは同じ第76期。最年少棋士・藤井聡太七段(15)とともに昇級争いも繰り広げただけに、この超早指し棋戦でも、負けられない戦いになった。
先に白星を挙げたのは大橋四段の方だった。積極的に攻めてくる大橋四段に対し、後手番だった佐々木四段は「待機策とか、後手番の待ちの姿勢をやってみたんですけど、猛攻に耐え切れず、リードを許してしまいました」と、91手で敗戦。苦しいスタートとなった。
それでも先手番となった2局目では、佐々木四段が序盤から攻め込みリード。築いた優勢を手堅い指し回しでしっかりと守り、解説を務めた行方尚史八段(44)も「結果的には完封ですね」と評価した。
そして運命の3局目。大橋四段が振り飛車から仕掛けてきたのに対し、短い時間の中で佐々木四段が冷静に対応。気付けば63手の短手数で、一気に勝ちきった。「今回は上手く指せたのかなと思います。一番でも多く、トップの方々と指したいですし、精一杯頑張りたいと思います」。2016年度デビューの棋士たちの出世レース。先頭を走る藤井七段も、予選Aブロックを勝ち抜き、決勝トーナメントで待っている。佐々木四段にとっては、トップ棋士と対局する貴重な経験だけでなく、一気に名を広める大チャンスがやってきた。
◆AbemaTVトーナメント Inspired by 羽生善治 将棋界で初めて7つのタイトルで永世称号の資格を得る「永世七冠」を達成した羽生善治竜王が着想した、独自のルールで行われる超早指し戦によるトーナメント。持ち時間は各5分で、1手指すごとに5秒が加算される。羽生竜王が趣味とするチェスの「フィッシャールール」がベースになっている。1回の顔合わせで先に2勝した方が勝ち上がる三番勝負。予選は藤井聡太七段が登場するAブロックからCブロックまで各4人が参加し、各ブロック2人が決勝トーナメントへ。シードの羽生竜王、久保利明王将を加えた8人で、最速・最強の座を争う。
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