10日、けやき坂46(ひらがなけやき)のツアー千秋楽となる幕張メッセの公演が行われた。
ライブのコンセプトは"図書館"で、メンバーはSF、恋愛ドラマなど様々なイメージに合わせた設定で登場、曲間にはページをめくる仕草も見せた。
この日のセットリストは、オープニングの『ひらがなで恋したい』に続き『おいで夏の境界線』(1期生)『最前列へ』(2期生)と、アップテンポの曲が続き、観客のテンションを高めていく。冒頭、"お姫様"の設定で現れた佐々木美玲は、ティアラを頭に載せたまま2曲をパフォーマンス。MCで「実は取れなくなって…」と明かすと、加藤史帆に「付けたいのかと思ってた」と突っ込まれていた。
そんな加藤史帆は、MCで佐々木久美との絶妙な掛け合いを演じ、会場を笑わせた。まず「日本で一番ハッピーな時間にしましょう!」と呼びかける加藤に佐々木が「身体で表現して!」と無茶ぶりすると、加藤は全力でジャンプして応えてみせる。さらに「ツアーで起きたこと」をテーマに佐々木が話を振ると、加藤が初日公演で舞台上の隠し扉に入る際に「ロックが掛かっていて壁に激突しました。最強だから無傷だったけど…」と告白。すかさず佐々木は曲名に引っ掛けて「そこで"ロックをするな"と。…えっ、私がすべったみたい!」と焦っていた。
続く2曲は『こんな整列を誰がさせるのか?』(1期生)、『未熟な怒り』(2期生)と、一転してクールな楽曲。先ほどとは打って変わってシリアスな表情で曲の世界観を見事に表現。ユニット曲のパートでは佐々木美玲、齊藤京子がそれぞれソロ曲を披露。歌唱力の高さで会場を魅了した。また、『ハロウィンのカボチャが割れた』では観客のサイリウムが一斉にオレンジに変わって一体感を演出。『猫の名前』では歌唱メンバー意外のメンバーも猫耳を付けてスタンド席に登場。合図に合わせて「ニャー!ニャー!」と合いの手を入れていた。
ここからライブは折り返し。後半はMCで2期生が会場にウェーブを起こした後、佐々木美玲がセンターのアルバム表題曲『期待していない自分』のイントロが流れると、会場からはひときわ大きな歓声が上がった。そして渡邉美穂が「まだまだ盛り上がれますか!もっともっと声出して行くぞ!」と渾身の力で絶叫。『誰よりも高く跳べ』のイントロに合わせ、佐々木久美が「幕張!跳べ!」と声を上げた。
そしていよいよクライマックスへ。『NO WAR in the furure』『車輪が軋むように君が泣く』では観客も一緒になって歌い、高いテンションのまま本編を締めくくった。
アンコールでは佐々木久美が「ライブに出ていないメンバがいますね。誰ですか!」と会場に呼びかけると、観客たちは「影ちゃん!」と学業専念のため活動休止中の影山優佳の名前を呼んだ。これに合わせてメンバーが「影ちゃん!」と呼びかけると、ステージに影山優佳が登場。
「みなさん、こんにちは。私の口からお伝えさせていただきたいと思って、ひょっこり来ちゃいました」とおどけながら話はじめた影山だが、会場からの暖かい拍手、そして一斉に自分のカラーである赤一色に染まった景色に感極まったのか、涙を浮かべ「迎えてくださって感謝の気持ちで一杯です。このステージに立って思ったことは一つです。やっぱり私、ひらがなが大好きなんだなって。こんなにかわいいし、ファンの皆さんも優しいし、謙虚だし、努力を怠らないし…こんなに"影山"って呼ばないでって言っているのに、いつまで経っても"影山呼び"だし(笑)。ひらがなって、最高ですね。みんながこうして頑張ってくれている分、私も自分の夢に向かって、自分の力で、自分の意志で、これからも進んでいけるように頑張ります。皆さん、これからも私の大好きなひらがなけやきの応援をよろしくお願いいたします!」と訴えかけると、ステージ上の東村芽依らも涙を浮かべていた。
影山のスピーチを聞いた佐々木久美が「せっかく出てきたんだから、一緒に歌いましょう!」と呼びかけ、アンコール曲を披露。影山もブランクを感じさせないパフォーマンスを見せ、スクリーンにその姿が映るたび、客席からは声援が湧き上がった。
最後のMCでは佐々木美玲が「20人で来年もまたここに帰ってきます」と誓い、小坂菜緒は「初のツアーで、ひとつひとつ新鮮でした。成長に繋げられたと思います」と達成感を口にした。そしてキャプテン・佐々木久美は「2018年に入って、ありがたいことにTV番組、舞台、武道館、そこで発表されたアルバムリリース、そしてツアーもやらせていただいて、自分たちは恵まれたことばかりだと思います。それでも自分たちでは何も出来てないと思っていましたけど、皆さんの声援が大きくて、力を与えられている実感が持てました」と挨拶。「ひらがなは本当にライブが大好きで、ここが常に帰ってくる場所。ずっと永遠にハッピーな空間を作り続けたいです。初心を忘れず、謙虚、優しさ、絆で、これからも頑張っていきます」と力を込めた。
ラストはメンバーが到達点として目指す東京ドームに立つことを歌った『約束の卵』、そして全員で円陣を組んでから、客席の間を抜けて全力疾走。そのまま幕張メッセから外に駆け出して行く様子がスクリーンに映し出され、ライブは閉幕した。
先月4日にスタートしたツアーはこの日までに東名阪5都市9公演を実施。これまでのライブでは欅坂46(漢字欅)のカバーも披露してきたが、本ツアーでは『猫の名前』を除く全曲がひらがな欅のオリジナル楽曲で、先月20日に発売された待望のデビューアルバム『走り出す瞬間』の収録の新曲も多数披露。振り入れなどメンバーの大変さも想像されたが、この日のライブでは圧倒的な完成度で会場の空気をコントロール。昨年に続いて2度目の全国ツアー、さらに漢字欅に代わって急遽出演が決定した1月末の武道館3days公演を経て、抜群の安定感と1期生・2期生の一体感を獲得したことを印象づけた。
まさに次なるステージに向けて"走り出す瞬間"を、観客の誰もが目撃したはずだ。
<「走り出す瞬間」ツアー2018ファイナル> セットリスト
M0 OVERTURE
M1 ひらがなで恋したい
M2 おいで夏の境界線(1期生)
M3 最前列へ(2期生)
MC
M4 こんな整列を誰がさせるのか?(1期生)
M5 未熟な怒り(2期生)
MC
M6 線香花火が消えるまで(金村/富田/松田)
M7 わずかな光(佐々木美)
M8 夏色のミュール(井口/高瀬/東村)
M9 居心地悪く、おとなになった(齊藤)
M10 ノックをするな!(加藤/高瀬/東村/富田/渡邉)
M11 ハロウィンのカボチャが割れた(潮/加藤/斎藤/佐々木久/高本)
M12 猫の名前(金村/丹生/松田/宮田)
MC
M13 それでも歩いてる(1期生)
M14 イマニミテイロ(1期生)
MC
M15 期待していない自分
M16 永遠の白線(1期生)
M17 半分の記憶(2期生)
M18 誰よりも高く跳べ!(1期生)
M19 NO WAR in the furure
M20 車輪が軋むように君が泣く
MC
EN1 ひらがなけやき(1期生)
EN2 僕たちは付き合っている(1期生)
EN3 約束の卵
MC
WEN NO WAR in the furure