![高杉真宙、声優初挑戦でプレッシャー キミスイは「久しぶりに逃げ出したくなった作品」](https://times-abema.ismcdn.jp/mwimgs/a/6/724w/img_a6321aea57264e73fc223db94593bdc2480259.jpg)
アニメファンで知られる高杉真宙が、劇場アニメーション映画『君の膵臓をたべたい』(9月1日ロードショー)で声優に初挑戦。原作は住野よるの同名小説。2015年6月の刊行直後から大反響を呼び、累計書籍発行部数は260万部を突破。昨年7月には実写映画も公開された話題作だ。
高杉演じる「僕」は、他人に興味を持たずいつもひとりで本を読んでいる高校生。膵臓の病気を患うクラスメイト・山内桜良との交流を重ねることで人間として成長していくという少し複雑なキャラクターだが、そんな「僕」を高杉はどのように演じたのか。憧れの声優業に初挑戦した感想や、桜良のように自身に影響を与えた友人たちとの関係について話を聞いてきた。
「明日が来なければいいのに」憧れの声優業にプレッシャー
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ーーアニメファンの高杉さんですが、今回のオファーを受けてどのように感じましたか?
高杉:すごく嬉しかったです。いろんな方が知っているとおり、僕は漫画、アニメ、ゲームが大好きなので、声優のお仕事もずっとやりたいなと思っていました。でも声優としての最初のお仕事が、実写映画も原作も評価されている、こんなにも大きな映画で……緊張や不安もありました。今回やらせていただくにあたって、どうすれば自分が今まで見てきた声優さんの演技に追いつくことができるんだろうと、必死に考えて演じました。
ーー好きだからこそプレッシャーは大きかったり?
高杉:そうですね。自分がやる意味というのも考えますし、こういう風にしたいという理想とできない自分のギャップもなかなか酷いものですし、久しぶりに逃げ出したくなった作品ではありました。明日が来なければいいのに、って(笑)。少し現実逃避をしましたね。15分間くらいですけど(笑)。
「僕」はアニメの中でも表情が豊かではないし、感情の起伏が大きいキャラクターではなかったので、彼の微妙なニュアンスっていうのがどれだけでできたら正解なのかっていうのは考えながらやっていました。難しかったです。
ーー特に難しかったシーンは?
高杉:映画の1番最初の葬式のシーンです。台本だとそのシーンが最初で、そこから過去に戻っていくんですけど、ほとんど順撮りで録らせていただいたんです。本を最後まで読んでいるのでこういう感情だっていうのはわかるんですけど、結果最後に回してもらいました。最後まで録り終わって、元に戻って最初のシーン、と。やっぱりそっちの方が感情としては気持ち良くできました。
ーー実際に自分の声が当たっているのを見てどう感じましたか?
高杉:初めてやった演技を見たときみたいでした。もちろんテンションは上がったんですけど、恥ずかしさが強かったです。自分の必死でやったものというのができあがってそれを見るというのは、ドラマでも映画でも1回目はなんでも恥ずかしいですね。自分の反省点とかも見えてきてしまいます。
高校時代の親友とは今でも仲良し「自転車で鎌倉行こうぜ」
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ーー高杉さん自身「僕」を演じられてどんな男の子だと思いましたか?
高杉:台本と小説を読んだときに、結構複雑な子だなと思いました。人に近づくのも近づかれるのも怖くて、「自分の世界は小説の中で充分」って殻に閉じこもっている怖がりな子。でも、桜良に出会って、自分が小説で読んできた世界にはない考え方を知って惹かれていく。その殻の破られ方っていうのを、自分が表現できたらいいなと思いながらやらせていただきました。
ーー「僕」は桜良に影響を受け成長していきますが、高杉さんが今までの人生で影響を受けた、自分が変わったなと感じた人はいますか?
高杉:仕事じゃないんですけど、高校で出会った友人には影響を受けていると思います。今本当に仲のいい友達が2人いるんですけど、だいぶ彼らに救われています。たまたま高校で同じクラスになって出会えて、すぐ仲良くなれて。その2人に出会えてよかったなと思いますね。その人たちがいるからなんとか仕事が持っているところもありますし、そこはお互い様だと思っているんですけど。
ーー今回の出演のことで連絡がきたり?
高杉:連絡はこないです。別に僕の出演作を確認していないと思うので。でも、逆に僕が「明後日これあるんだ」って話したら、必死に練習しているところに邪魔しに遊びに来たりします(笑)。悩んでいたらお互い話聞きますけど、(仕事の話は)基本何も言わないです。そういうところがいい関係ですね。
ーーどんなことをされて遊ぶんですか?
高杉:突拍子もないタイミングで突拍子もないとこに行ったりしますし。「明日山行こうぜー」とか「自転車で鎌倉行こうぜー」とか。
ーーそれは学生時代に?
高杉:それが学生じゃないんですよ(笑)。卒業してからなんです。
ーーえぇ!今も自転車に乗ってどこか行かれたり?
高杉:いや、最近は鎌倉が地獄すぎて、それでこりて行っていないです(笑)。(鎌倉は)表参道から行って往復100kmでした。
ーー(笑)どうしてそんな過酷な遊びをすることになったんですか?
高杉:1回、自転車で府中の方に行っていたんですよ。そのあと、友達が酔っ払って「明日ちょっとチャリで鎌倉行こうぜ」って言ってきて、「いいよ」って答えちゃったので、そのノリを引き継いで行っちゃいました。お互い本当は嫌になっていたのに、言えなくて(笑)。
ーー高杉さんが自転車に乗っていたら目立っちゃうとかはないですか?
高杉:全然!ただ必死に自転車を漕いで鎌倉に向かっているだけなので(笑)。普段も別に全然バレないです。
ーーまさか高杉さんが、って思いますよね(笑)。
高杉:そうですよ、こんな馬鹿なことを(笑)。何歳になっても楽しくこういう事ができていたらいいなと思います。
今も週に何回も会ったりするので。ひどいときは週5、6は会ったりしますし。本当に仲いいんですよ。ご飯を食べに行ったり、2日連続とかでも会ったりしますね。
ーーご飯といえば、作品のタイトルにかけてなんですが、高杉さんってお友達と焼肉に行かれたりするんですか?
高杉:焼肉食べますよ(笑)。ホルモンとか、内臓系が好きです。
ーー意外です!
高杉:そんなイメージありますか?(笑)ハツとか砂肝とか好きです。
ーー勝手にタン塩とかかな、と思っていました……。撮影前に食べたい、高杉さんの勝負飯などもあれば教えてください。
高杉:勝負飯……撮影前とか緊張しているときに食べるのは「しょうが」です。しょうがチップス。緊張するとソワソワしちゃうんですけど、体を温めると集中ができるな、と僕は思っていて。だから、いつもしょうがチップスを食べて体を温めて集中していますね。
ーーでは今回、「明日が来なければいいな」と思ったときも食べてましたか?
高杉:そうですね。パクパク食べてました(笑)。
『君の膵臓をたべたい』ストーリー
他人に興味をもたず、いつもひとりで本を読んでいる高校生の「僕」は、病院の待合室で、一冊の文庫本を拾う。手書きの文字で『共病文庫』と題されたその本は、天真爛漫なクラスの人気者・山内桜良が密かに綴っていた日記帳だった。日記の中身を目にした「僕」に、桜良は自分が膵臓の病気で余命いくばくもないことを告げる。それは、家族と医師以外には病気を隠している彼女にとってただひとり、秘密を共有する相手ができた瞬間だった。最期の日が訪れるまで、なるべくこれまでどおりの日常生活を送りながら、やりたいことをやり、精一杯人生を楽しもうとする桜良。そんな彼女の奔放な行動に振り回され、「僕」の心は少しずつ変化していく。――それは、「僕」の春の思い出。彼女の一生の思い出。
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テキスト:堤茜子
写真:You Ishii