7月29日に放送されたAbemaTV『千原ジュニアのキング・オブ・ディベート』で、作家の乙武洋匡氏による「同性婚・夫婦別姓など結婚の多様性を認めない国の姿勢はおかしいのではないか」という意見をめぐり、激論が繰り広げられた。
乙武氏が「今まで結婚というものが異性愛者にしか用意されていないかったのを同性愛者の方にも用意する。それから結婚する時に同じ苗字にしなければいけないメニューだけから、別々のままでもいいよというメニューを用意すること。これから結婚する人全員に夫婦別姓にしなさい、というわけでは全くないんです。あくまで選択的夫婦別姓の話です。どちらかに統一しろという話なら賛否両論出ると思うんですけども、"今この選択肢がなくて困っている"という人に"そっちの選択肢も用意しましょうか"というだけ。ごく自然なことだと思うんですけど、なぜ踏み切れないのか、時間がかかるのかというのが全く理解できないです」と訴えると、乙武氏を除く7人のパネリストの中で唯一、「そう思わない」と反対の意思を示したのが、自民党の谷川とむ衆議院議員だった。
「同性婚や夫婦別姓といった多様性を認めないわけではないんですけど、それを別に法律化する必要はないと思っているんですね。趣味みたいなもので」。この発言にパネリストたちがざわつく中、谷川議員は「男の人が女の人を好き、女の人が女の人を好き、男の人が男の人を好きという事実であればそれはいいんですけれども、わざわざ同性婚だからといって同性婚を認めますって法律を作る必要はないと思っています」と続けた。
乙武氏が「じゃあなぜ、男性が女性を好き、女性が男性を好きという趣味みたいなものを結婚という法律で保護しているんですか?」と問いかけると、谷川議員は「男の人と女の人が結婚をして子を授かって、家族という形態が出来て。大昔から皆さん同じようなことをして、国を衰退させないように、国が滅びないようにしてきたわけですよね。これは極端かもしれませんが、だからそういうものに対して、わざわざ法律を作って結婚して婚姻関係を結ぶ、ということに僕は意味がちょっと分からないんですよ」と答えた。
MCの千原ジュニア氏が「幸せな人が増えるだけですやん。結婚ができなかったら、税金、相続の問題はどうするんですか」と指摘、作家の鈴木涼美氏も「同性のカップルでは妊娠はしないが、子どもを育てることはできるし、同性婚を認めれば里親制度も活性化すると思う。保守的な人は極端なことを言うが、家族制度が崩壊するとは思わない」と指摘。女優のサヘル・ローズ氏からも「社会がこれだけ発展していく中で、なぜ法律が柔軟性を持って合わせていかないのか。今ある法律も昔はなかったわけですよね。それが作られていったわけで。今の時代、そういうマイノリティ・LGBTの方々が声をあげているわけですから、その声を拾おうとしないことの意味が分からないです」と反応した。
谷川議員が「僕の"谷川とむ"も本名ではなく通称ですが、それで活動できています。夫婦別姓についても、法律化してなんでも枠を拡げていくと、大変な労力がかかってくる。マイノリティの人たちを救いたい気持ちもあるが、すべての国民から税金をいただいてますから、"マイノリティの人たちが、マイノリティの人たちが"と枠を拡げてしまうことを認めたくない国民がいれば、基本的に裏付けをしないと。政策として実現するために必要な国民の理解を得るためにはもう少し議論が必要だと思いますし…」と説明すると、乙武氏は「それは詭弁じゃないですか。参議院の6増案にどれだけの国民が賛成しますか?全然議論が尽くされていない中でアナタ達は法案を通しているじゃないですか。それがなんで夫婦別姓・同性婚の時だけ『議論が尽くされていない』って言い訳をするんですか。おかしいでしょ」と語気を強めて反論していた。(AbemaTV/『千原ジュニアのキング・オブ・ディベート』より)