MMAの老舗であるパンクラスの8.5新木場スタジオコースト大会で、女子ストロー級王座決定戦が行われる。対戦するのは同級2位のヴィヴィアニ・アロージョ(ブラジル)と日本の藤野恵実(4位)だ。
ヴィヴィアニは昨年10月、三浦彩佳に打撃で圧勝。しかしキャリアを見ると一本勝ちが多く、パンクラスでは本領である寝技をまだ見せていないという状態だ。
対する藤野は37歳、キャリア15年目のベテラン。これまで藤井惠、浜崎朱加といった強豪とも積極的に対戦し、また海外でも活躍。早くからケージを主戦場にしてきた。
ファイトスタイルはといえば「愚直」そのもの。真っ向から殴り、組み、倒し、また殴って極める正攻法のスタイルであり、それを支える強靭なフィジカルと精神力が何よりの武器と言っていい。 このところ韓国のROAD FCで闘ってきた藤野だが、5月にパンクラス参戦。強豪ロン・ジェイコブセンとの激闘を制し、タイトルマッチのチャンスを得た。
パンクラスでの藤野はキャラ的な部分、コメントのパワフルさでも注目の的に。前回の試合の際には、日本での女子MMAの盛り上がりに対して「(若い選手に)ババアを追い越してみろと言いたい。(自分や浜崎の世代に)挑戦してこないのはヌルい。ケンカ売ってこい」と挑発している。
さらに「ババアなめんなよ!」の言葉も話題となり、パンクラスはさっそく「BBAなめんな!」Tシャツを完全受注生産。さらにこのTシャツは、大会を中継するAbemaTVと連動しての「#ババアなめんな」キャンペーンでプレゼントされることに。大会放送中、このハッシュタグをつけてツイッター連動コメントを書き込むとプレゼントの対象となる。
予想外のパワーワード化だったが、ヴィヴィアニと藤野の試合自体はとにかくシビアだ。スタンド、グラウンド、局面のキワなど、あらゆる場面で熾烈な凌ぎ合いが展開されることになるはず。 「25分間(5分5ラウンド)削っていく」と、長期戦を覚悟してもいる藤野。いくつもの選択肢がありながら「次が最後かもしれないとずっと思っていて、もし最後になるならこの試合」とパンクラスのタイトルマッチを選んだという。
言葉以上に強いのは、その覚悟。女子MMAが盛り上がる中、藤野は格闘技人生の重さそのものをケージに叩きつける。