ロシアワールドカップを戦った日本代表MF乾貴士はスペインのラ・リーガ サンタンデールのエイバルからレアル・ベティスへと戦いの場を移した。乾が新たな移籍先として選んだクラブはどんなチームなのかを紐解いていく。
乾の現地での注目度はかなり高い
ロシアワールドカップで4試合2得点。特に、ラウンド16のベルギー戦で、大会最優秀GK・ティボー・クルトワから奪ったスーパーゴールはサッカーファンの目に焼き付いて離れないだろう。ワールドカップの活躍もあり、乾はヨーロッパ各紙でワールドカップベストメンバーにも選ばれるほどに名を上げた。それだけにクラブ、そしてベティコ(レアル・ベティスのサポーターの愛称)からの乾に対する期待と注目度は相当高い。都内のスペイン大使館で行われた異例の入団会見が、それを裏付けている。
乾が新たにプレーするレアル・ベティスはスペインのアンダルシア州セビリアに本拠地を置く。同じくセビリアに本拠地を多くセビージャFCとかつてはひとつの同じクラブだったが、内部分裂により袂を分かち、1907年に創設された歴史がある。そのためセビージャとのセビリアダービーはあのエル・クラシコを凌いでスペイン史上もっとも激しいダービーマッチといわれている。過去にはサポーターが投げ込んだ2リットルのペットボトルが当時セビージャで指揮を執っていたファンデ・ラモス監督の頭部に当たり、意識不明となり緊急搬送されるなど、様々な事件が起きている。
そんなベティスだが、昨シーズンはリーグ6位に昇りつめ、ヨーロッパリーグの出場権を獲得した。例年ならリーガで中位から下位に甘んじているチームだが、近年では元スペイン代表のマルク・バルトラや、ハビ・マルティネスらが在籍。粒ぞろいの選手が名を連ねていることも上位進出の要因だろう。そして今シーズンは乾以外に、ポルトガル代表のウィリアム・カルバーリョらを獲得し、リーガでも指折りのクラブへとなりつつある。
ベティス躍進の鍵を握る人物が、スペイン人のキケ・セティエン監督だ。昨シーズンは第5節でレアル・マドリードを破り、リーグの台風の目としてライバルのセビージャよりも上の順位になれたことは、セティエン監督の功績が大きい。フォーメーションは主に[4-3-3]か[3-5-2]を採用。乾は左サイドハーフか中盤のシャドーアタッカーでの起用が濃厚とされている。
そしてこのセティエン監督は攻撃的なパスサッカーを好み、クラブ側は「我々のスタイルにマッチする」と乾の獲得を熱望した。一方で乾自身も元々、バルセロナのような攻撃的なパスサッカーを理想として好んでいる。入団会見でも「昨シーズンのベティスのサッカーはすごく魅力的だったのでその中でやってみたかった」と明かしており、そんなベティスから願ってもないオファーが届いたことで移籍へと至った。先日のAFCボーンマスとのプレシーズンマッチでは後半70分からの途中出場だったが、スペイン各紙から開幕戦はスタメン出場と予想され、大きな期待がかけられている。
予想サイトの『SUPERCHOICE』では、乾所属のレアル・ベティスとレバンテの勝者予想は15日19時現在で「ベティスの勝利」が1.73倍、「レバンテの勝利」が2.94倍、「引き分け」は4.39倍とベティスの勝利を予想する人が圧倒的に多くなっている。また、乾のゴール数予想では「0ゴール」が1.56倍で1番人気になっており、2番人気は4.36倍の「1ゴール」。果たして乾は新天地・ベティスで出場機会を勝ち取り開幕戦でゴールを奪うことはできるだろうか。
文・舞野隼大(SAL編集部)
写真・アフロ
(C)AbemaTV